見出し画像

『子どもが増えた!』~明石市人口増・税収増の自治体経営(まちづくり)~を読んで

私が兵庫県明石市の泉房穂市長を知ったのは、2019年1月の暴言騒動の時だった。市長が住民との進まない移転交渉に業を煮やして、担当職員に言った言葉が切り取られてワイドショーなどで取り上げられていた。その音源を耳にした時、私は、ここだけ切り取って『酷い!』という話ではないな、と思った。

その後、子どもを産んで間もない娘と、電話で話している時だった。娘の後ろから聞こえてくるテレビの音が、暴言市長のニュースを伝えていた。まさに叩かれまくっていた時だ。私は、娘の話を遮って、「今、後ろで暴言市長のことやってるけど、この人、いい人と思うんよね~」と言った。

すると、娘も「うん。私もそう思うよ。愛情深い人なんじゃないかな?」と言った。

暴言は許されることではないが、市長がそうまでして伝えたかったことがあるはずだ。

それから、私と娘の情報合戦が始まった。

まず私が送ったのが、神戸新聞NEXTの暴言全文掲載の記事だった。市長が職員に言った暴言には続きがあったのだ。とくに私のお気に入りは、発言の後半『~2人が行って難しければ、私が行きますけど。私が行って土下座でもしまわ。市民の安全のためやろ、腹立ってんのやわ。何を仕事してんねん。しんどい仕事やから尊い、相手がややこしいから美しいんですよ。後回しにしてどないすんねん。一番しんどい仕事からせえよ。市民の安全のためやないか。言いたいのはそれだけや。そのためにしんどい仕事するんや、役所は』

しんどい仕事やから尊い

相手がややこしいから美しい

美学だと思った。そんな思いで役所の仕事をしてくださってる人が居る。
いや、居た?!

その後、泉房穂さんは辞職し、そして明石市市民から再び市長に選ばれた。

再選の知らせをくれたのも娘だった。それからというもの、娘は明石市長の話題の記事を見つけては送ってくれた。

先日、私が娘に「『子どもが増えた!明石市人口増・税収増の自治体経営(まちづくり)』という本を買ったんだよね。」と伝えると、「あ、その本読みたいと思ってたんよね」と答えが帰ってきた。

一見地味なこの本は、読んでいると元気が出る本だった。湯浅誠さんのコーディネイトで、さまざまな方と対談をするのだが、明石市長の挑戦をいろんな角度から見ることが出来る。

そして、何度も、すごーい!と、うなったり、微笑ましくて笑ったりした。

明石市は、結果として子どもが増えて嬉しい反面、待機児童問題に恒に迫られている状況だ。泉市長が待機児童を市長室に連れてきたら、おんぶして仕事するから、などと言われる場面は、泉市長が小さな子どもをおんぶして公務をしている姿を想像して笑った。

それから、定期健診の時に絵本を子どもにプレゼントするという話では、子どもに選ばせると知って、素晴らしい!とうなってしまった。子どもは自分が選んだ絵本をもらって嬉しいだろうなと思う。それは、自分が選んだものを肯定される、自分が認められる素晴らしい経験になる。

ともすると、いいものを子どもに与えようとする大人が多いなか、子どもが選ぶという経験が出来ることの素晴らしさと、押し付けでない愛情を感じた。

もう、素晴らしいとしかいいようのない施策の数々は、ぜひ読んで欲しい。

娘と常々話すのは、明石市に住みたいね。ということ。
こんな役所だったらいいね。ということ。

市民の為に役所があるという当たり前にことを、改めて気づかせてくれる。

私は3人の子どもをシングルで育ててくる中で、役所の窓口でどれだけ、途方に暮れたことだろう。そして今でも、障がいのある子どものことで、役所の窓口に行って傷つくのは嫌だなぁと思ってしまう。

つい先日も、市(何処とは言わない)から障がいのある子どもに月に2.000円出ていた手当が、1.000円になって、しかも厳しい条件が付きました、と通知が来た。私の目の前にある役所は、そんなところだ。冷たい。

願わくば、明石市がスタンダードになってほしい。

明石市の試みが、全国に広がって、全国どこに住んでも、市民が大事にされる国になってほしい。

そのためにも、ぜひ、この本を読んで欲しい。

もう、知ってほしい、真似してほしい施策がいっぱいなのだ!!


追記:全国に広がってほしいと書いておきながら、実際に全国に広がることがむつかしいだろうという話を。
明石市には、全国の地方自治体からの見学があとを絶たない。けれど、お金のかからないことは真似するけれど、お金のかかることは、真似出来ないという。

お金のかかる施策を、他の自治体に出来なくて、明石市がなぜ出来るのか?というと、泉市長がしがらみがないからだと思う。選挙の時に、「支援団体は?」と聞かれて泉氏は「市民です」と答えたくらいだ。

支援団体があるわけでもない、組織票があるわけでなく、市民に選ばれた市長だから、市民のために働けるのだということを、付け加えておきたい。

だから、選挙は大事。私たち市民の代表を選ぼう!!

書くことで、喜ぶ人がいるのなら、書く人になりたかった。子どものころの夢でした。文章にサポートいただけると、励みになります。どうぞ、よろしくお願いします。