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初めての社長業、1年で社員数24人まで拡大させるなかで、これだけは守った方がいいと思った3ヶ条。

去年子会社を立ち上げて、初めての社長業で怒涛の1年だったけど、まあなんとか24人ちょいの会社になりました。

経営学も事業立ち上げのセオリーも知らない、営業も採用も初めてやる中で、とにかく動いてみてこれだけは守った方がいいと思ったことをまとめます。私と同じように体系的な知識がないなかで立ち上げをされる方の参考になれば。逆に、経営学や事業立ち上げの知見があったり、事業計画に対して綿密な調査をしており自信がある人にとっては不要な記事かと思います。

自分が立ち上げる時に、やった方がいいことはたくさんあって時間がいくらあっても足りない中で、世の中のハウツーや成功事例を読んでも「こんなに色々できねーよ!」って思いましたし、事業計画やプロダクトを作るための情報やフレームワークはあっても、じゃあいざ事業計画が出来てからどうするかって話はあんまり見つかりませんでしたので、私の経験からまとめた次第です。書いてみると当たり前の内容なんですが、それだけにわざわざまとめた記事は珍しいかと。思想より日々の業務にやや寄った話になっています。

さて、肝心の学んだことは、

・最初は営業も採用も場数。じーっと頭使ってもしゃーない。

・ただし振り返れるだけのフラグをつけたデータを残しておけ。

・上滑っててもミッションを語り続けろ。回り出すときがくる。

というかんじ。詳しく説明します。

前提として、立ち上げフェーズは売上が立ってないなか資金がみるみる減っていくので、とにかくスピード早く結果を出す必要があります。

また、多くの新規事業はまずは拡大を目指す必要があるので、再現性が大事です。1人でやれることは限りがあるので、人を増やしたり仕組み化する必要がありますが、再現できなきゃ他の人や仕組みに役割を移行できないですから。

最初は営業も採用も場数。

読んで字のごとし。なんですが、実践で上達するってこと以外に、理由が2つあります。

①パターンが見えてきて楽になってくるよ

②仮説を立てたら答え合わせしないといけないよ

①は、営業行くとよく「弊社は特殊なので」「うち特有の課題があって」という言葉を耳にします。これまで自分もパートナーによく言ってました。が、それでほんとに「ええええまじですか!?」ってなることはほぼありません。

特殊なように見えて、構造化して考えると、大体いくつかのパターンに落ち着いていきます。見えてきたのは商談20社前後くらいからでしょうか。そこからは商談相手のサービスと組織図が分かれば大体の課題が決まってくるので大分楽になりました

実はそこに至るまで、馬鹿みたいに会社の見せ方やサービスの練り込みに力を使ってて、最初の商談をしたのって立ち上げから丸々1ヶ月経ってたんですよ。のんびりしすぎ。そこから更に1ヶ月ちょっとで15-20社回って、ログを振り返ってパターンが掴めてきたという感じです。4パターンでそれぞれに当てはまるのが3-6社くらい、みたいな感じ。採用も大体20人くらい面接してパターン見えてきたかも。

②は①の前提。例えば採用だったら「うちが欲しいのはこういう人で、その人たちはここにいて、こういうコミュニケーションをしたらこう思って、結果としてこうなるはず」というようなものを考えて、何らかのエビデンスで確かめたものをここでは「仮説」と呼びます。なんですが、実際には想定通りに進むことは滅多にありません。エビデンスで裏付けていても、です。不確定要素が多すぎるのです。

なので仮説を磨き込んだり、末端の枝分かれを詳細に描こうとするより、幹が60%できたらやってみた方がいい。新規事業ならなおさら。だってその枝、切り落としちゃうかもだし、そもそも幹ごと存在しないかもしれないし。

やってみると仮説の合ってたとこ、違ってたとかが分かるので、それぞれその要因考えて仮説を修正したり、再現性持たせたりできます

なんですが、偉そうに書いてて、実は数ヶ月間そもそも仮説ゼロでした。調査や単発の想定はあっても、こうすればこうなるというストーリーとして繋がる仮説はなくて、漫然と一試行ごとの振り返りをしてた。仮説の磨き込みに時間使って何もしないのと同じくらい仮説ゼロでアクションばっかしてるのも罪深い。なぜならいくらアクションしても点の収穫や情報が集まるのみで、再現性もレバレッジも持たせられないからです。

同じ1キロ走るにも、想定なしでただ走ってたらぐるぐる回ってるだけで前進してなかったこともあり得る。でも仮説がなかったらぐるぐる回ってることにも気づかない。仮説があれば、仮説通りに行かなくても、ズレを認識して仮説なのか走る方向なのか走り方なのか何を直そうかって発想ができます

振り返れるだけのフラグをつけたデータを残しておけ。

これも結局再現性とスピードの話。

うちの会社の場合、初動でキモになるファンクションである営業と採用に関して、システムで勝手にログとして集計されないデータを集めてました。

・採用に関わるデータ→応募数、面接数、内定数、承諾数、面接内容、採用予算(応募者の内容は媒体に残る、入社後は人事システムにログが残る)

・営業に関わるデータ→リード獲得アクション数、商談数、商談内容、ニーズ数、提案数、受注数(受注後は受発注システムにログが残る)

など。当たり前ですね。が、立ち上げフェーズにこれらを記録するの、思った以上にしんどいです。採用管理や営業管理システムを入れる予算もシステム選定する時間もないのでスプレッドシートで管理してたのですが、正直これを入力してる時間でアポ取りたいし、寝たいです。

が、立ち上げ初期は自分1人の頭の中で何となく把握できることもあるでしょうが、ある程度を超えたら無理です。拡大を念頭に置くなら重要な仕事だと信じてやりましょう。「立ち上げ期で忙しいから後回しでいいよね」は唱えがちな呪文ですが、封印してください。後々の成長速度に響きます。

そしてメインの効用は、後から仮説を修正したり新しく立てた時に、外部情報じゃなく自社データで裏取りができるようになること。外部情報より不確定要素がかなり少ない純度の高く、実地調査済みのデータなので、仮説の精度がめっちゃ上がります。すると、調査の稼働も省けるし、手戻りを恐れずにやれることを実行できます。これはでかい。

イメージしやすいのは、営業で初めてのお客様との商談でも、業界・担当者の部署名・サービス内容などから相手の課題を先に予想していきなりプチ提案書を持っていけたり。すると当たれば提案のために再度訪問するのを省略でき、受注スピードが上がる。つまり、早く売上が上がるということ。再訪問するとなると大体一、二週間先のアポになるので、その分飛ばせるのはめちゃくちゃでかいです。うちは立ち上げ期から1ヶ月数百万資金が溶けてたので、一週間早く売上が上がるだけでも相当な効果があります

立ち上げ2-3ヶ月でパターンが見えてきてから後悔したのは、営業ログに担当者の部署名を書いてなかったこと。「いや、普通書くやろ…」ってツッコミ受けそうなんですが。いや、あの、その、名刺見返して書くのめんどくさくて。大体長いし。

なのですがこれは記入し直しました。しんどかった。。。理由は、パターンが見えてきたとき、「先方部署の立ち位置やミッションによってニーズの毛色が違うな?」と感じて、その検証をしたかったからです。今となっては営業一般の常識なのですが、思えば営業は一冊の本も読まず体当たりでやってたのでこの時初めて気付きました。営業の入門記事を後から読んだら真っ先に書いてありました。セオリーを先にインプットしとくのは大事ですね。

「何が振り返りに必要な情報か」がほんとに分かるのは後になってからではあるんですが、まずは今持ってる仮説を確かめるために必要なデータはマストで取っておくこと。迷ったらバラバラな状態ででも紙でも情報は保存しておきましょう。最悪、あとから根性で名寄せすることもできなくはないです。

特に定性データに注意してください。定性データは意識しないとログとして残りづらいし、単発だと検証に使えず印象論にしかなりません。が、集めれば傾向が見えて、かつ自社の状況にフィットした独自の強力な武器になります。

デジタル業界であれば、大体の情報はメールやSlackなどのやりとりとして残ってると思うので、ログに残らない口頭や電話でのやり取り、自分の思考などをメモで残しとくだけでもいいと思います。

そして四半期一回は仮説と突き合わせながら実績データを振り返るのをお勧めします。PDCAのスピードって意味以上に、それ以上のスパンになると根性で名寄せするのしんどくて死にます。どうせなんだかんだ言っても立ち上げ期に綺麗にデータを取っといてるわけないので。

上滑っててもミッションを語り続けろ。

体感として、チームが5-10人を超えた頃からの拡大スピードに大きく影響する感じ。社長がミッションに入れ込んでいることが前提で、初期は社長の感覚で一緒に働きたい人を採用すればまあ上手くいきます。が、10人採用時点でうちでは200応募捌いてて、これはもう社長が経営しながら1人で回せる数ではありません。そのため、社長のその感覚に再現性を持たせてチームで採用する必要があるんですね。その時に必要なのがミッションの浸透。そのために必要なのが、社長が何度も何度もしつこく繰り返しミッションを語ること

また、これは営業側にも効いてて、自社のミッションに対して共感してくれるお客様、少なくとも嫌がらないお客様は、自社にとっても社員にとってもいいお客様である可能性が高いです。これも社員数5-10人くらいになったとき効いてきます。

だいたいこのくらいになると離職がちらほら見えてくるんですが(10人で1人辞めたら離職率10%って考えたら当たり前)、いいお客様と取引できてると、離職や社内のフォロー稼働が抑えられるんですね。いいお客様といい仕事ができていれば、基本社員も会社もコンディションいいので。そしたら後は現場に任せておいた方がうまくいくので、社長は会社を前に進めるためのアクションに時間を割けます

ミッションを語るのは気恥ずかしいし、私は最初言いながら実現できるのか半信半疑だったし、いまいち相手の反応もぽかーんって感じだったり鼻で笑われたり。なのですが、言い続けるうちに自分も信じてくるし、信じてくれる人にも出会えて、信じてくれる人だけと付き合えばいいってわかるし、そしたらもうその時点で実現に向けて前進してます。これはほんと言い続けてたから実感できたこと

で、社員もお客様も信じてくれる人が集まっていること自体が採用競争力になり、それが営業競争力にもなるので、今後も好循環が回り続けるはず。

詳しくはこちらのnoteに書きましたので、よろしければ。

まとめ

・新規事業のキーワードは「再現性」と「スピード」。

営業も採用も場数。ただし仮説を持って場数を踏め。仮説ゼロでアクションばっかしてるのは、仮説の磨き込みに時間を使って何も動かないのと同じくらい罪深い。

忙しくてもデータを残せ。特に定性データは集めると独自の財産になる。四半期一回振り返れ。どうせデータを綺麗に収集してないだろうから、それ以上貯めると死ぬ。

やっぱりミッション大事

長くなりましたが、立ち上げから1年間についてはまだ振り返りたいもやもやがあるのでまた書きます。みなさま良いお年を。

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