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【水曜日のしかけ#23】おほめ気づき

水曜日はマネジメントに関する「7秒しかけ」を紹介していきます。

今回紹介する7秒しかけは「おほめ気づき」です。
ネーミングから7秒しかけのイメージわきますか?

『白潟さん、おほめと気づき? ほめてその後で気づきを与えるってことかな?』
ピンポン、ピンポン正解です!

メンバーの課題や足りていない点などを本人に気づかせることは、上司の重要なマネジメントのひとつです。

例えば、周りのメンバーから嫌われていることを気づかせる場合に

『○○さん、周りのメンバーが○○さんのこと嫌ってるよ!』

このように直接的な指摘をしたら、メンバーは素直に受け止めるでしょうか?おそらく、受け止めにくいでしょう。

もちろん、鋼のメンタルで厳しいネガティブフィードバックも受け止められるメンバーは例外かもしれません。

そんなときは直接的な指摘ではなく、メンバーに課題に気づいてもらうために7秒しかけ「おほめ気づき」を活用してください。

きっと、メンバーは課題に気づいてくれ改善に向け行動を始めます。

どうして、「おほめ気づき」で上手く気づかせることができるのか?
その理由を紹介していきます。


0 7秒しかけとは(1度読んだ方は読み飛ばしてください)

7秒しかけ」とはしかけ研究家白潟敏朗と白潟総研のコンサルティング経験・ノウハウをベースに、次に示す習慣化の4つの技術を活用し開発したしかけです。

① 小さな行動から始める
~ 小さすぎてばかばかしいと思う行動が習慣になる(小さな習慣) ~

小さい行動はすぐに生活に取り入れることができ、やがて自然と大きく成長していきます。小さいことから始めれば、時間的な負担を気にせず大きな変化への第1歩を踏み出すことができます。

『習慣超大全/BJ・フォッグ (ダイヤモンド社)』

② If thenプランニング(もしXだったらYをする)
~ 「◯◯した時に□□する」で実行率アップ ~ 

簡単にいうと「もし○○だったら△△する」と決めておくだけです。
人間の脳は『XならY』という文章を記憶しやすく、無意識にそれに従って行動できるようになるようです。発動タイミングを決めてしまう、これが習慣化のポイントです。

『やり抜く人の9つの習慣/H・ハルバーソン著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』

【If-Thenプランニングの例】
・ 帰りに電車にのったら、明日見る動画の1行ゴールを書く
・ 行きの電車にのったら、ロジカルシンキング動画を1本見る
・ お風呂に入る前に、腕立て5回する
・ 先輩・上司に声をかけられたら、メモ帳を出す
できたら、自分を褒めましょう「よくできた!」

③ 20秒ルール
~ 始めるまでにかかる時間を20秒短くする ~
何かを始めるまでの手間を20秒短縮すると、20秒分の手間のかからなさが、頭によぎる「面倒くさい」を遠ざけ、「気がついたらやっていた」という達成感につながります。

20秒以内にすぐにやれるように準備することが大事!

④ マジックナンバー4
~ 週4回以上の実践で習慣化しやすい ~
習慣化の4つの技術に加え、最近流行りの行動経済学も活用しています。

特にナッジ理論「行動科学に基づいた小さなきっかけで人々の意思決定に影響を与え、行動変容を促す手法・戦略」を活かすことで、より簡単に実行できる工夫をしたしかけです。

具体的には1秒から7秒で実行でき小さな成功により少しだけ自信がつき、気がつけば習慣になっている、そのような効果のあるしかけです。7秒以内で実行できるので「7秒しかけ」と呼んでいます。

1 「おほめ気づき」とは

人はできれば、耳の痛い話を避けたがります

批判や否定的なフィードバックは感情的に辛いです。それに直面することでストレスや不安を感じることが多いため、避けたいと感じるのでしょう。

なので、メンバーも上司からのネガティブフィードバックはできれば避けたいはずです。

例えば、「人に嫌われたくない」という認知と「あなたは周りのメンバーに嫌われてる」という2つの矛盾する認知(考えや信念、態度、行動)を同時に抱えてしまうと、

その不一致が不快な心理的緊張(不協和)を引き起こし、この不協和を減少させようとします(認知的不協和理論)。

認知的不協和理論(Cognitive Dissonance Theory)は、アメリカの社会心理学者レオン・フェスティンガー(Leon Festinger)によって1957年に提唱された理論です。

この理論は、人間が二つ以上の矛盾する認知(考えや信念、態度、行動)を同時に抱えると、その不一致が不快な心理的緊張(不協和)を引き起こすと説明しています。

人間はこの不協和を減少させようとする強い動機を持っているとされます。

ただ、上司からするとメンバーが直面している課題を解決してあげないとメンバーを次のステージに移行してあげることができません。

特に、1on1や人事評価面談時はメンバーの課題に向き合わせ、一緒に解決策を考えてあげ、それを実行させるマネジメントをしたいものです。

そこで、極めて重要なことが

メンバーに気づかせる(メンバーが自分で気づく)

ことです。

メンバーに気づかせるためには、いきなり直接的な指摘をしてはいけません

冒頭で述べたとおりですが、耳の痛い話は避けたがります。


まずは、「ほめスタ!

ほめることからスタートです。


7秒しかけ「おほめ気づき」は「ほめスタ!」によりメンバーが耳の痛い話を聴ける状況をつくり「メンバーに気づかせる」ことができるしかけです。


例えば、メンバーの段取りが上手くできない課題を気づかせるためには、次のような感じで「おほめ気づき」を実践します。


上司:
『鈴木さん、最近成長してきたね!』
鈴木:
『マネジャー、ありがとうございます!』

上司:『ただ、段取りをしっかりやれてない感じがするけど、どう?
鈴木:
『たしかに、段取りは弱いかもです』

いかがですか?
『白潟さん、これならやれそうです』

そうですか、ぜひ実践してください。


一方、冒頭で紹介した周りのメンバーから嫌われているような深刻な課題を気づかせるためには、もう一工夫した「おほめ気づき」が必要です。

3連続おほめからスタートしましょう!

次の1on1シーンでの会話を読んでください。

【1回目のおほめ】1週間の感謝
上司:
『佐藤さん、この1週間も一生懸命仕事に励んでくれて本当にありがとう。佐藤さんの頑張りがなければチーム目標も達成できなかったと思います、心から感謝します
佐藤:『マネジャー、ありがとうございます!とても嬉しいです』

上司:『それでは、1on1始めようか?』
佐藤:『はい、お願いいたします!』

上司:『先週のアクションプランは実行しましたか?』
佐藤:『はい、実行しました。その結果A社での仕事は上手くいきました』

【2回目のおほめ】1週間での成長を伝える
上司:
『そうだったね、A社の仕事ではお客様からの難題をしっかり受け止め上手く対応してくれました、佐藤さんの対応は素晴らしかったよ
佐藤:『ほめてもらい嬉しいです、ありがとうございます!』

【3回目のおほめ】1週間で見つけた強みを伝える
上司:
『あと、A社の仕事で佐藤さんの新たな強みを見つけたよ』
佐藤:『えぇー!それは何ですか?』

上司:『お客様目線で仕事できることと、お客様への交渉力があることだね』
佐藤:『言われてみれば、それは自分の強みかなと思えます。マネジャー、私の強みを教えてくれてありがとうございます』

ここまでで、佐藤さんの心の扉が開き、深刻な課題を受け止められそうになってきました

【気づきを与える①】枕詞(クッション言葉)で許可をとる
上司:
『お客様に対する強みがあり、いい仕事をしてくれた佐藤さんに、少しだけ耳の痛い話をしてもいいかな?』

佐藤:『はい、なんでしょうか?』

【気づきを与える②】ほめスタから気づきを与え、問いかける
上司:
『佐藤さんは仕事ができるからだと思うんだけど、同僚や後輩の話を途中で遮り最後まで聴いていないようだけど、心当たりあるかな?』
佐藤:『うーーん、どうなんでしょうか?』

上司:『また、同僚や後輩の話を聴いた直後に否定し、反対意見を言ってるようだけど、これはどうだろうか?』

佐藤:『たしかに、それはやってます。同僚や後輩の意見が明らかに間違っているので修正してあげてます。あ、そっか、途中で遮って否定してることもあるかもです』

【気づきを与える③】ほめスタから気づきを与え、問いかける
上司:
『そうですか、理論上は佐藤さんが正しいと思うんだけど、話しを遮ったり、話した直後に否定されると、同僚や後輩はどんな気持ちになるかイメージわく?』

佐藤:『はい、やはり、あまりいい気持ちじゃないと思います』

【気づきを与える④】感謝から最後の気づきを与える
上司:
『そうだよね、理解してもらいありがとう。最近、周りのメンバーから佐藤さんの評判が良くないようです』

佐藤:『そうですか、評判良くないですか』

(しばし沈黙)

佐藤:『マネジャー申し訳ございません、みんなの話を遮らないよう、直後に否定しないよう改善していきます』

上司:『そうか、改善してくれるかありがとう、頼んだよ』
佐藤:『はい、かしこまりました』


いかがですか?


上司:
最近、周りのメンバーから佐藤さんの評判が良くないです』
この会話から始めたら、佐藤さんは上司の指摘を受け止め自分の至らなさに気づいてくれたでしょうか?

おそらく、素直に受け止めず気づくことはないでしょう。

なので、
まずは、「感謝⇒成長の伝達⇒強みの伝達」の3連続ほめからスタートします。

つぎに、枕詞(クッション言葉)で許可取得⇒ほめスタ&指摘&問いかけ⇒感謝&最終指摘の伝達で気づきを与えます。

フィードバックする内容によって、ほめスタの数を増やしたり少なくしたりはありますが、「ほめスタ!」から始め「おほめ気づき」を実践すれば、メンバーは自分で気づいてくれるでしょう。

気にいってもらえたら、ぜひ実践してください。

2 アンカー(「おほめ気づき」を思い出させるきっかけ)

きっかけがなくても「おほめ気づき」を実践できる上司は、今すぐ実践しましょう。

きっかけがあった方が「おほめ気づき」を実践しやすい上司は
メンバー」をきっかけにしましょう。

次の条件に合うメンバーをきっかけにしてください。

・ 人間関係ができている
・ コミュニケーションを取っている
・ 話しかけやすい

3 今すぐ準備しましょう

準備しなくても実践できる上司は、今すぐ実践しましょう。

そうでない上司は「おほめ気づき」を実践するには
次の準備が必要です。今すぐ準備しましょう!

① 週4回以上の実践状況のチェックシート作成
前述したマジックナンバー4(週4回以上の実践で習慣化しやすい)を実践する準備です。週4回も実践しないかもですが、準備の例を次に示します。

・ 「XXさんに「おほめ気づき」と4枚のふせんに書く
(実践したらふせんをすてる!)

・ 1枚のふせんに「おほめ気づき」と4回のチェック欄を書く(実践したらレチェックをいれる、4回チェックしたらすてる!)

② ①のチェックシートを手帳に貼る、またはパソコンに貼る

4 いつから実践しますか?

おほめ気づき」いつから実践しますか?
実践したいと思った方は今ここで実践時期を決めましょう!

・ 明日から
・ 来週の月曜日から
・ 来月から

決めた実践時期を手帳やカレンダーに書き込みましょう。
おほめ気づき」実践と記入した付箋を手帳やパソコンに
貼ってもいいです。 

おほめ気づき」の紹介は以上でおひらきです。
皆さんの気づかせる力の更なる向上を心から願っております。

実践したらX(Twitter)への投稿、またはNoteへコメントしてもらえたら嬉しいです!

今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。

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それでは、また明日!


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