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【木曜日のしかけ#18】2人の諫言の士
木曜日は経営言動、すなわち社長の言動に関する「7秒しかけ」を紹介していきます。社長の言動は幹部や社員のモチベーション、社長への信頼度に大きな影響を与えます。
今回は7秒しかけ「2人の諫言(かんげん)の士」を紹介します。
社長に諫言(かんげん)してくれる人物を2人持ってはどうかというしかけです。
諫言とは、目上の人をいさめること。また、その言葉
社長、すみません。7秒しかけの紹介なんですが、
「2人の諫言の士」は7秒では実施できません。
全ての社長が「裸の王様」になる最大のリスクを抱えています。社長が「裸の王様」にならないためには「諫言の士」が必要です。
社長にいい情報だけでなく、悪い情報もはいり課題を的確に把握し、適切な対策がタイムリーに打てるような経営をしてもらいたい!
そんな私の社長へのおもいで「2人の諫言の士」をしかけにしました。
既に「2人の諫言の士」がいる社長、素晴らしいです。
ここまで読んでもらいありがとうございます。
そうでない社長はもう少しお付き合いください。
1 どうして「諫言の士」が必要なのか
私の30代前半のころの話しに少し付き合ってください。デロイトトーマツグループにて企業内起業で社長になる前、新規事業開発を一緒にやってくれるコアメンバーを探しているころの話です。
白 潟:『Sさん、今度の新規事業一緒にやりません?』
Sさん:『白潟さん、ごめんなさい。私は遠慮します』
白 潟:『そっか、新規事業に興味ないですか?』
Sさん:『いや、興味はあるんですが…』
白 潟:『えぇー!他に何か理由でもあります?』
Sさん:『言っちゃってもいいんですか?』
白 潟:『いいですよ』
Sさん:『白潟さんにはついていけません』
白 潟:…(ショックでしばし呆然としていた)
Sさん:『白潟さん、この前辞めたYさんの陰口、私に言ってましたよね?あれを聞いて白潟さんにはついていけないなと感じました』
白 潟:『…そうですか、Sさん指摘してくれてありがとうございます。ダメな上司ですね、ごめんなさい』
Sさん:『いや、そんなことないです、白潟さんには色々と学びとてもお世話になってますし、私が問題起こした時もいつも助けてくれたのですごく感謝してます。ただ、新しい事業は白潟さんが命がけでやる事業だと思うので私は一緒にやらない方がいいと思ったんです』
信頼しているメンバーから始めてもらった諫言、私にとって一生忘れられない言葉。27年以上たった今でも鮮明に覚えています。
Sさんは私にとって最初の「諫言の士」でした。
それからは退職した社員の悪口・陰口を言うのをやめました。Sさんの諫言のおかけで信頼を失う言動をひとつ減らすことができ、Sさんには感謝しかありません。
幸いにも社長になる前に自分の非を正そうとしてくれた「諫言の士」の価値を強く感じた私は、社長になってからも2人以上の「諫言の士」を持ち続け経営をすることができました。
お陰で新規事業であるISOコンサルティングでは日本1の実績を残すコンサルファームになれました。
さて、ここで話しを変えます。
日本の歴史には暴君はめったに出てきませんが、中国の歴史にはしばしば暴君が登場してきます。
我々は、中国の歴史から学べます。
日本の歴史にはめったに出てこないが、中国の歴史には暴君がしばしば登場してくる。
その代表格が秦の始皇帝、隋の煬帝といったところであるが、実は彼らは必ずしも凡庸な人物であったわけではない。それどころか、こと能力という点では、やり手の人物であったと言ってよい。
ただし、彼らには争臣(諫言の士)がいなかった。だから、やることに歯止めがかからなかったのである。してみると、争臣(諫言の士)の有無もまた名君と暴君の分かれ目になるのかもしれない。
名君と暴君の分かれ目になるくらい重要な人物それが「諫言の士」です。
歴史上最も有名な諫言の士は、唐時代の皇帝太宗に仕えた諫議大夫の魏徴でしょう。魏徴は太宗の怒りが激しい時も顔色一つ変えることなく直言し続けたと言います。
名君の陰に名臣あり。17年の間、諫言の数は200回以上に及んだとされます。
太宗の偉いところは、いかなる厳しい諫言にも耳を傾け、自らの非を正そうと努力したことです。
中国史上、比類なき名君といわれ、太宗の治世は「貞観の治」と称えられました。そうして唐は289年という中国史上、最長の統一王朝になります。
社長が唐の太宗のような名社長になるには、魏徴のような「諫言の士」が必要です。社長「諫言の士」を持ちましょう。
2 「2人の諫言の士」のもち方
『主人への諫言は1番槍よりも難しい』
徳川家康の言葉です。
生死をかけた戦場では死に物狂いで敵陣に突入していかなければ1番槍の功は得られません。家康は、その1番槍よりも諫言の方が難しいと言っています。
社長にとって極めて大切な「諫言の士」ですが、自分の側に「諫言の士」を置くのはとても難しいことです。
どうすれば「諫言の士」が持てるのだろうか?
「諫言の士」は社外でもいいかと思います。
『そっか、社外もありか』
はい、社外取締役が諫言の士というケースです。
社長が信頼・尊敬している経営者にお願いするのはありかもです。
その時の依頼の仕方がポイントです。
『私の経営の間違いを指摘してほしい』『良い意味でのブレーキ役になってほしい』と依頼し、社外取締役に就任してもらえばうまくいく可能性は高いです。
一方、経営者でない外部パートナーにお願いするのもひとつの方法です。
株式会社フォーバルの創業者、大久保秀夫会長は著書でこう述べています。
伸びている会社の社長は、必ず外部にパートナーを持っています。ただし、ビジネスのパートナーではありません。損得関係を抜きにしたパートナーです。
それも、社長の外部パートナーだからといって、別に経営者でなくてもいいのです。
自分自身が裸になって、悩みを相談できる相手であり、自分がどれだけ偉くなったとしても、苦言を呈してくれるような相手です。
特に、自分が偉くなったとしても、外部に○○君といってくれる人がいるというのは、とても大事なことです。
大久保会長の外部パートナーは京都の住職と友人の勤務医だそうです。
外部の「諫言の士」もいいですが、やはり社内にも「諫言の士」はいた方が良いです。そうしないと、組織開発や幹部育成など内部情報に精通した上での諫言はしてもらえません。
それでしかけは「2人の諫言の士」にしています。
社内に「諫言の士」をもつ場合は、まず2つの前提条件を整備しましょう。
① 風通しの良い組織をつくる
② 幹部や社員の意見に、社長が喜んで耳を傾ける人間になる
社長ぜひ、多くの幹部や社員に7秒しかけ『〇〇さんの意見をきかせて』を実践してください。継続的に実践していけば2つの前提条件を整備できます。風通しの良い組織づくりは、もう一工夫必要ですが…
前提条件が整備できれば、社長が誰よりも信頼している幹部に「諫言の士」になってもらいましょう。
そのためには
① 幹部の意見や提案を社長が遮らずじっくり聴く
② 耳の痛い話を聴いても社長が幹部に怒らず、感謝する
この2つを完全に実践しながら、その幹部につぎのようなお願いをします。
【お願いの例】
〇〇さん、大事なお願いがあります。
私を裸の王様にしないでください。
そのためには、〇〇さんの力が必要です。
ぜひ、私に〇〇さんの力を貸してください。
私が間違った言動をした場合は、ぜひ諫言をしてください。
○○さんには2つの約束をします。
・ ○○さんからの耳の痛い話を必ず最後まで聴きます
・ 聴いた後○○さんに絶対怒りません
○○さん、ぜひ私の「諫言の士」になってください。
そしてビジョンが体現できるような組織を共につくっていきましょう。
こんな感じでお願いすればその幹部は「諫言の士」になってくれるのではないでしょうか。
社外の「諫言の士」がいない場合、もう一人の「諫言の士」は別の幹部でもいいですし、社員になってもらうのもありでしょう。
幹部は経営的な目線からの諫言、社員は現場から見た諫言をしてくれるでしょう。
社員から「諫言の士」を選ぶ場合は特定の社員でもいいですし、全員が「諫言の士」という考え方もあります。
特定の社員の場合は、幹部のように個別にお願いする必要はありません。
社長が質問したら耳の痛い回答をしてくれる社員を「隠れ諫言の士」に認定し定期的にコミュニケーションをとり諫言をもらいます。
ちなみに、私にも「隠れ諫言の士」である社員が有難いことにいてくれます。
全員を「諫言の士」にする場合は、社長が社員と接する機会をできるだけ多くもち、多くの社員と顔を突き合わせ話をしてください。
そうして、社内をグルグル回っていれば自分がどう思われているのか、社員の顔や話し方で本能的にわかります。
人の輪の中に入ったとき、自分が受け入れられているのかそうでないのか、感覚的にわかります。そういう経験は誰しもあると思います。
社員を鏡にして自分の至らなさを知るという感じです。そうすると、社長にとっての諫言の士は社員、全員になります。
「2人の諫言の士」の紹介は以上でおひらきです。
社長に「2人の諫言の士」ができ、有益な諫言が社長に届くことを心から願っております。
実践したらX(Twitter)への投稿、またはNoteへコメントしてもらえたら嬉しいです!
今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。
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それでは、また明日!明日はフツーの会社のすごいしかけです。
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