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家族持ちで独立するのは不安だなと思いながら、やってみたら、会社員的でフリーランスないいとこどりの働き方が作れた話

ある程度仕事の経験を積んできて、中堅となり、フリーランスとして独立するか会社員でいるか悩んでいる方、多いと思います。僕はずっと悩んでいました。
昨年5月にトライしてみて、いま実践している僕の働き方が踏み台、あるいは参考になるかもしれないので、年間契約+単発+自主事業でつくる自分経営型の働き方をしている僕の事例をお伝えします。

いろんなものから自由になるべく、まずは会社を退職し、個人事業主となったのが2019年5月、そして家を解約し、無拠点暮らしを目指したハウスレスになろうとし、7月31日に家を解約したのでした。

それから1年が過ぎ、現在は福岡市から長崎県の五島列島に移住し、会社員とフリーランスと法人経営の3つの形を組み合わせたスタイルで働いています。

それぞれにおもしろみがあり、メリットデメリットもあります。
ストレスなく、自分の好きなところに住んで、好きなように働くのは、僕にとって生きる上で大切なこと。あくまでも僕の事例としてですが、ご紹介します。
ある程度(3〜10年)の経験と技術、信頼を積み重ねると同じようなことができるはずなので、参考になれば幸いです。

そもそもどんな経歴

大学・大学院で教育心理学を専攻し、態度変容、質問行動について学んでいました。ひらたくいうと、興味を持って自分で学んでいく、成長していくには?といったことがテーマでした。
その後、イベント会社で企画と運営を10年行い、まちづくりや事業企画とそのアウトプットとしてのイベントやデザインを行う会社に7年勤務。退職してフリーランスになりつつも、年間契約で前職と関わり続けて2年目となります。

仕事の業種について

もともとは企業の販促イベントの企画制作、テーマやコンセプトの設定、仮設空間を考えたり、参加者の導線、体験、それらの伝え方を考えていました。リアルに人を動かす視点とその運営体制づくり、仮設のイベント空間をどうやって魅力的に作るのか、世界観をどう表現するのかを中心に考えていました。
それらをもっと広範に、かつ上流で取り組みたいと、まちづくりや事業企画について学びながら、そのアウトプットとしてのイベントを行ってきました。
事業企画の流れで、ウェブメディアの企画や編集を行ったり、プロジェクト全体の進行を管理することも増えています。
現在は、ウェブメディア関係で4割、事業企画が3割、イベントが3割といった構成で仕事をしています。

最近のお仕事はこちら
詩人・最果(さいはて)タヒさんとコラボレーションしたインスタレーション展示「最果タヒ 詩のインスタレーション」の空間演出

天神イムズで詩人・最果タヒさんのインスタレーション 九州初(みんなの経済新聞ネットワーク) - Yahoo!ニュース 詩人・最果(さいはて)タヒさんとコラボレーションしたインスタレーション展示「最果タヒ 詩のインスタレーション」が7月10news.yahoo.co.jp


大分県の国東半島を巡るサイクリングルート「仁王輪道(におうりんどう)」の企画・コース策定・プロモーションなど

国東半島仁王輪道⼤分県北東部に位置する国東(くにさき)半島。国東半島を構成する4市町(豊後⾼⽥市、国東市、杵築市、⽇出町)からなる国東半島kunisakicycle.jp


福岡の今と未来をつなぐWEBメディア「フクリパ」のプロデュース

フクリパ|福岡の今と未来をつむぐフクリパ|福岡の今と未来をつむぐフクリパは、飛躍するまち福岡の様子をお届けするウェブメディアです。福岡のリアルな「今」を紐解き、「未来」へ思いを巡らせる情fukuoka-leapup.jp


現在の働き方


会社員、フリーランス、法人経営の3つを組み合わせた働き方です。
それぞれを並べるとこんな感じ。

働き方の表


①会社員型=前職の企業との年間契約
チームのマネージャーとして、業務の獲得、進行、チーム管理をフルリモートで行っています。マネージャーが社外の人間になっている形です。会社自体への出社は3−4時間×3−4回なので、延べ2日程度。ただ、打合せや作業は行っているので、業務としては週に3日程度のボリューム感です。

年間契約で毎月定額の収入となるため、サラリーをもらっているのに近いです。
下記の業務に加え、会社の会議にも参加したりします。
・チームの目標達成の実現
チームの目標の売上(粗利)がありますので、それに向け、営業を行い、業務を獲得していきます。幸いなことにもっとも多いのがこれまでに繋がりのある方々からのご相談、ついで、行政公募への参加、民間企業のコンペとなります。こちらから仕掛けて売上をつくっていくこともありますが、基本はお声がけいただくことが中心です。広告代理店さんと組んだりすることもあります。

・プロジェクトの進行
業務の進行にあたっては、社内の他のチーム、スタッフと連携することが半数以上、それに外部の方も連携して進行します。具体的なアイデアや企画をだしたり、詰めたりもしながら、全体のマネジメントを行っています。

・チームのスタッフの管理、業務状況の管理
僕が抱えているスタッフは1.5名、僕を入れて2.5名のチームです。0.5名なのは他のチームと兼務の方がいるため。
経費の申請書や残業、有給の取得等の許可、業務状況の進捗管理を行っています。

②フリーランス型:単発での受託事業
企画やイベント、編集等での受託でのお仕事です。
①の職場と競合するとトラブルのもとなので、基本的には新たなつながりでの方や知り合いだったけれど初めてお仕事するといった新規の方と行っています。
収入としてはボーナス&お小遣い的な位置づけにしており、生活のための収入計画には入れてません。年間でいうと年間契約の月額をベースとして、その2−3ヶ月分くらい。会社員ではないので、ボーナスがないため、そのためにちょっとがんばるかな、というイメージで取り組んでいます。
③の自主事業と①が基本の収入源であり、時間を注ぎたいものなので、個人での受託は売上分が収入となるため、法人に比べると圧倒的に金額がよく、ありがたいのですが、この数を増やそうと積極的に取り組んではいません。
基本は自分ひとりで済むか、楽しそうか、仕事の関係者のことが好きか、を基準ににして、粛々とやっています。

③法人経営型:自分の会社での事業
現在はまだ準備中ですが、8月28日よりキャンパーバンのレンタル事業“OSOTO”をスタートします。場所は福岡。通常のキャンピングカーではなく、バンタイプの車両を木材を使ったラフで、いい感じにデザインした車両を貸し出し、福岡やその近郊を楽しんで頂くものです。
融資を受ける必要があったり、資格等もとるので、会社はこのサービスのために作りました。
コロナの影響で立ち上がりが遅れていますが、それと同時にwithコロナに対応した旅の形として可能性を感じています。
開業後にはもう少し時間の割合が高まるはずです。一番力を入れるべきところだし、やりたいことなので。
こんな車です。しばらくは自分で楽しみながらテスト運用します。楽しみ!

外観

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実現に向けてどう取り組んでいったか

当初は海外移住を視野に入れていたのがきっかけでした(現在は長崎県の五島列島に移住、海外移住は2〜3年後を目標にしてます)。我が家のプロジェクトリーダー的存在である奥さんにより、移住実施令が発動。ビジョンや目標の設定は彼女、実行部隊の私と役割が分かれています。僕にはあまりビジョンがないので、実に適切な役割分担。
このあたりについては福岡移住計画さんに取材いただいた記事に詳しく載っていますので、ご覧ください。

移住や独立などのチャレンジは若くて独り身だと、比較的自由度高いのですが、家族を持っていると、養わねばならいため、毎月の収入のベースが必要。もしくはしっかりとした貯蓄。きちんと貯蓄できていなかったこともあり、収入のベースをどう作っていくかが課題でした。
それには、年間契約で収入のベースを作っておくのがベスト、いわゆる会社員です。

そこで、世の中の企業について考えてみます。企業の目的は適正利益を獲得し、成長し続けていくことです。社員にはたくさん働いてもらって、チーム人員を増やして、組織を拡大し、そこからより多くの利益を生み出していくこと必要になります。それらをやる上では、社員という形がやりやすい。
また、社員には技術を習得させる育成コストも支払っていますし、企業や業界の情報もたくさん有しているというコスト以外の面でも社員として会社に所属させておくメリットは多々あります。

しかも、僕の前職、働く側にとって魅力的。
マネージャークラスは完全フレックス(会社規定の会議以外出社不要)で、やり方も基本は自由でしたので、まったく不満はありませんでした。さらに競合しなければ複業もOK。業界の中でも自由度が高く、給与も業界平均よりも高くて、むしろ理想的なくらい。
(入社したい方いらっしゃればご紹介します!!
リンクもつけておきます

個人にとって条件もいいし、会社にとっても社員のままがいいという環境でしたが、自分の時間を作るという面で課題がありました。理想とする自由な働き方のためには会社の仕事以外のことに注ぐ時間が必要になるのです。

その時間の捻出のためには、会社で働く時間を減らすこと。それは自分の売上目標を下げることがシンプルな解決策です。

売上目標の設定には会社が直接的に負担する、社会保険、年金、雇用保険等、社員全体で割るものとしてはオフィスの賃料や光熱費、備品類、コストセンター系の方の人件費等をが反映されています。今後の事業拡大に向けた投資費用なんかも含まれますね。

そうすると自分の給与=売上目標とななりません。給与をちょっと下げても、思うほど売上目標は下がらないのです。時間を確保しようと、単純に目標金額さげていくとと暮らせるだけの給与にはなりません。

そこで、前職の会社にフリーランス契約でチームマネージャーを努められないかと相談しました。①のやつです。
その場合、会社としては外部への委託となるので、社員を雇う際に発生する保険や年金等の負担がなくなり、管理費が下がるため、売上の目標値を下げることができます。

個人事業主の場合は、会社からの支払い(給料額面)を会社員の場合と同等とした場合、それらを自分で負担する金額は増えてしまいますし、ボーナスもなくなるので収入は下がります。ただ、会社側支払う費用が減ることで、売上の目標値も下げることができます。将来的な安定は失いますが、その分、働く時間が減り、時間的な自由を得ることができるのです。

とはいえ、この働き方、すぐに認められるわけではありません。
ただ、世の中の流れが後押ししてくれます。
工場等の大きな機器や会社の規模が必要なのづくり系ではない、僕らの業界の場合、ある程度経験を積むと独立という形が増えてきます。お客様の目処さえついていれば、自分の体とPCさせあれば業務ができるからです。特に昨今は、即戦力となるフリーランスのニーズは高まってきています。
人材の流動化は社会の問題の一つとなるほどであり、雇用以外の働き方を望む人が増えています。関わりが0になって、新たに外から採用するよりも、会社の文化や必要な技術を持っているのならば社員だけではなく、外部の仲間を増やすのもあり、という方向にシフトしつつあります。

社会的な背景や僕と会社の希望などを交えた意識合わせは、3ヶ月かけて、数回の協議を行いました。
その結果、同業種での競合にならないこと、既存のお客様と仕事しないこと、チームマネジャーとして会社の人材の育成やチームの管理も行うことを基本的な条件としつつ、新たな働き方のモデルケースとなることを条件に合意し、現在に至っています。

この働き方の場合、かなり会社側が優遇してくれいることもあり、他のマネジャー以上に実績を出す必要があります。短時間でしっかりとした売上を作っていくためには、業務体制や段取りを見直し、短時間で結果に結びつくものに改善しつつ、アウトプットとしての品質はあげていかねばならず、責任感とプレッシャーも大きいです。


契約はまずは2年とのことだったので、今年度の終わりには契約の形は変える予定です。いつ話を切り出すか、信頼関係とビジネス関係を組み合わせて丁寧にやって、いい形にせねばです。
このような取組の場合、育ててくれていた会社とよい関係を持ち、応援してもらえる形で、仕事づきあいもしながら、新たな世界に足を踏み出していくのが最適だと思います。

これからの組織はフリーランスと社員の組み合わせになる

個人的にはこれからの組織運営は、高度経済成長期のスタイルを切り替えて、雇用だけではなく、フリーランス契約で仕事をとったり技術を提供したりする中堅層、社員雇用で技術を学び育てていく若手層及びバックオフィス業務の方々といった組み合わせになって行くと思っています。フリーランス契約もただの外部というよりは、ゆるやかにつながった半分身内的な関係。その法人のビジョンややってること、人の魅力=ブランドでつながった関係というのでしょうか。

労働のポートフォリオ分散は未来への可能性とともに、会社は未来永劫続かないかもしれないし、成長し続けるとは限らない現在の状況を考えるとリスク分散にも繋がるし、縛られないことで、緊張感、責任感とともに自由も得られます。チャレンジではありますが、ひとまず家族3人で暮らしていけてます!

これからどうしていく?

次年度に向けては、こんなことを考えています。
(1)自主事業の拡大
キャンピングカーのレンタル事業”OSOTO”。最初は2台ですが、はやく台数を増やしたい。それと五島列島でもやりたい。また、この事業を活かしつつ、地域での観光や働き方をつくる取組もつくっていきます。

さらに五島で企業向けのワーケーション施設をつくりたいのです。古民家を1棟購入して、そこに企業の社員さんが家族で泊まれるような施設。島の魅力ってすごいんです、ほんとに。なので、それを味わいつつ、福岡から40分で来れる利便性を活かしたワーケーションの施設を作れたらと思っています。ただし、お金はないので、銀行次第。

(2)複数企業との年間契約(週1、2日勤務×2−3社)を目指す
現在の年間契約を軽くしつつ、もう1社、2社とパートナー契約できればと考えています。
曖昧な妄想やこんなことやりたいという未来を形作り、それの実現まで推進できるのが僕のできることなので、短期的な受託案件と、長期的に取り組む案件を扱う企業と組めたらと思います。

(3)ほそぼそと短期的な受託案件を続ける
お声がけ頂ける方々もいらっしゃいますし、短期ものは負荷高めの脳トレといった感じで、定期的にやっておくと脳みそがなまらないので、やり続けたいです。

こういった価値観に共感、理解していただけるみなさまとよいお仕事ができれば幸いです。ご相談あればぜひ!


サポートいただいた分は離島の暮らしをもっとおもしろくするために使わせていただきます。その成果を観に遊びに来てくださいね。