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比べなくていいのに。

お仕事小説の主人公ってさ、どうしてあんなに熱血でパワフルで粘り強いんだろうね?最初はそんなんじゃなくても、山場を迎えればすごく頑張る。読みながら、それに比べて自分は…なんてつい思ってしまう。

『わたし、定時で帰ります。ハイパー』、ドラマにもなった小説の第2弾で、たまたま図書館で見つけた一冊。定時帰りがデフォルトの管理職がブラック企業と戦うというのがざっくりしたあらすじ。主人公は、毎日定時帰りしながらも、仕事はできるみたいだし、頭も悪くないし、度胸もあるそんなカッコいい女性なんだよね。


小説なんだから、読んでてスッキリしたいし、愚痴りまくる主人公なんて全然面白くないんだから、物語としてこれで正解だと思う。問題は主人公と自分を比べちゃうってこと。彼女と比べて自分は、毎日うだうだと惰性のように会社に行って何も出来ていないなぁってしょげながら読んでしまった。


どうしてわざわざ架空の存在と張り合おうとしてしまうんだろうね。子どものころから比べたり、比べられたりしてきたからかな。その癖が抜けなくてときどき苦しくなる。もしこの先、あなたやわたしに子どもができたら「あなたはあなただよ」「比べて自分を下に落とさなくていいんだよ」そう伝えてあげられたらいいね。

……
こんなこと思ったのは物語の山場を登りかけたころ。そのあと終わり掛けにいい言葉が書いてあった。とても平凡で温かくて、心に突き刺さる一行。読んだらあなたも、わたしと同じような泣き笑いの表情になるんじゃないかな。


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