【詩】天神商店街
豆腐屋を継いだ君の背中に張りついている
青い蜥蜴
目玉親父の銀歯が軋む
ここは天神商店街
夜になると
閻魔様が赤い口を開けて待っている
君の鼻から
白い蛇がズルズルと
これは縁起がいい
アコーディオンを鳴らしながら来る
戦争帰りの兵隊のふいごの脚
泥水と雑草で腹はおさまらぬ
閻魔様の口から長い涎
ラーメン屋の親父の尻からも白い蛇
これは吉兆だ
床屋の鏡は歪んでいる
親父の顔も歪んでいる
地獄の竈は石鹸水のあぶく
剃刀一枚で空は真っ赤っか
商店会長が銅鑼を鳴らします
高温多湿のフライパンをぶん回します
ソーセージにされた少女たちが舞踏する
枇杷と油菜と目高の天ぷらが合唱する
万能油にまみれた工員さんたちや
モンスター退治に疲弊した僕らも
今日が縁日の
天神商店街に繰り出します
いろんなお面をかぶって繰り出します
閻魔様が真っ赤な口を開けています
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