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【詩】学校地獄

月曜日
数学教師が
黒板に数式を書き始める
数行を書いたところで
咳が出て止まらなくなり
しまいには虚数を撒き散らす
鼻毛のウイルスは指数関数的に増殖し
生徒たちは戦慄する

火曜日
君の後ろの席から
デッカいビー玉みたいな
青い眼、赤い眼が見ている
その後ろの奴らのは
魚の死んだような目玉
その後ろのは
血に飢えた狼の眼
みんな君を見ている
壊れたロボットのように見ている

水曜日
校庭でマラソン
一周目で息が上がっている
その隙間でサッカーの試合
ソフト部も加わり
小競り合いが始まる
体育教師が竹刀を振り回す
卓球部は室内競技なので
比較的上品に振舞っているが
彼女の呼吸だけが荒くなっている
私の心は千々に乱れる

木曜日
化学部が実験室で新しい薬品を調合した
追いつめられた教師が一気にそれを飲み込む
すると見る見る
公序良俗に反するものに変形していった
部員に与えられた罰は校庭300周

金曜日
学校地獄を生き延びた者は
ごくわずかだったが
そのわずかな者たちは
霞が関で霞になったり
エンパイアステートビルで天狗になったり
そして時には
ダライ・ラマの合唱を頭の中で鳴らして
心を鎮めている

土曜日
僕らはこの世の終わりを思いながら
河原で釣りをしている

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