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自由な形式で書かれた詩を収めています。幻想的な詩、物語的な詩、ナンセンスな詩など。
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2022年9月の記事一覧

変声期 【幻想詩】

この辺りまでくると 樹木はみな 青ずんでおり 葉の鳴る音が金属質である 幹から溢れた樹液が…

汐田大輝
1年前
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恐竜図鑑 【幻想詩】

この部屋に閉じ込められて 十年が経った。 もう雨は止んだようだ。 生あたたかい風が吹いてい…

汐田大輝
1年前
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ぶらんこ 【幻想詩】

記憶の奥を漕いでいると 懐かしい波の音が聞こえてきて ここは 昔使っていた納屋 小さな鬼たち…

汐田大輝
1年前
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孵化 【幻想詩】

農家で手に入れた卵を 生のまま呑み込もうとしたら 喉のあたりで孵化した コココココ コココ…

汐田大輝
1年前
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ヘンリー君の火の輪くぐり 【詩・ファンタジー】

ブリキのオルガンを踏み鳴らせば 素っ頓狂な電子音 場末の小劇場で 金曜日だけ開幕するカーニ…

汐田大輝
1年前
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思ってもみなかった事態 【自由詩・ナンセンス詩】

空があまりにも青いので 天国の裏側がよじれて 核融合が始まりました (エネルギーは尽きるこ…

汐田大輝
1年前
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午後の授業 【詩・ショートストーリー】

「日本一海に近い駅」 が、 この日本にはいくつかあって、 競い合うようにして海に近づいている、 らしいです。 そのうちのひとつが 先日 「ついに水没した」 と聞きました。 今はそこは 「日本一海に近い駅の跡」 になっていて 日本中に数多ある城跡と同じように、 そこはかとない無常感を ただよわせています。 今後、全国に 「日本一海に近い駅の跡」 が増えていけば 「ツアーの企画も検討している」 と どこかの旅行会社の方が おっしゃっていました。 詩碑でも立てておけば 格好が