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自由な形式で書かれた詩を収めています。幻想的な詩、物語的な詩、ナンセンスな詩など。
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2022年4月の記事一覧

南十字星

猛スピードでハイウェイを走っていると 母さんの声が聞こえる (自分を大切にしなさい) 日が…

汐田大輝
2年前
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夢の涯てまでも

全世界から 飛行船に乗ってやって来た紳士淑女たちは 期待に胸を膨らませて 広場の巨大テント…

汐田大輝
2年前
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近視眼

羽根の折れた蝶は 死角に蜜を見つけた 出口のない洞窟をさまよい 白亜紀のコンタクトレンズを…

汐田大輝
2年前
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異形

夕暮れどき お寺の門前で父と子がいい争っていた (お父さん、どうしてそんな姿に) (おまえ…

汐田大輝
2年前
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永遠に続く汽笛

これは約120年前 大陸横断鉄道が栄華を極めていた時代の話 ジェファーソン駅に発車の鐘が鳴り…

汐田大輝
2年前
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実存

教授のウワゴト 今日もつまらなかった 汗がジトジト この電車 冷房が効いてない ボーっとして…

汐田大輝
2年前
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黄色い潜水艦

さえずりの響き合う森の道を歩き 塗料の剥がれたお屋敷の扉を開けると そこはもう 黄色い潜水艦の中だった サイズの合わない服を着た人が大勢いて カラフルな髭をたくわえていた 奇妙な会話が聞こえる (君は生まれる前、何をしていたんだ?) (俺はコヨーテだった。草原の狼さ) (そうかい、俺なんか、野ウサギだ) (違う。おまえこそコヨーテの王だったのだ) (マジか? じゃあ、コヨーテのために一曲) 動物の毛皮を被った男がギターを鳴らす 楽しげで調子はずれの歌がはじまる (さあ