見出し画像

宇多田ヒカルが好きで好きでどうしょうもない話

そういう言い方をすると、重症度の高いフアンって感じがするんだけど。間違ってないので、このタイトルのまま続けます。

子どもの頃からずっと宇多田ヒカルのファンで、いまだにテレビ出演情報にきゃっきゃしたり、新しい曲にどきどきしたり、している。

──好きで好きでどうしょうもない

そうとしか言えないから、わざわざnoteに書くものでもないと思っていたんだけど、発売されたばかりのアルバム「初恋」を聴き始めたら、やっぱり書きたくなった。その思いをうまくまとめられる気はしないけれど。

私にとっては、ただもう理屈でなく、心揺さぶられるアーティストなのだ。

最初のアルバムの「First Love」がめちゃくちゃに売れた時。
流行りに乗っかった母がCDをレンタルしてくれた。
それをダビング係だった私がカセットテープに録って(カセットテープだったんですよまだ!)、一生懸命ラベルに曲名を書いた。
小学6年生の冬である。
当時はまだ英単語なんて教わっていなかったから、英語で書かれた曲名の意味は一つもわからなくて、「この英語、中学生になったらわかるようになるのかな~」と、呑気に考えていた。中学生になってから、改めてラベルを見直したら、単語の途中で大文字と小文字がばらばらに混ざっていたりして、ひどいことになっているのに気づいた。何故見た通りに書かないのか。半端にアルファベットを知っていると、こういうことになるから恥ずかしい。そのあたりがやっぱり小学6年生である。

そんな感じの小学6年生だったのに、宇多田ヒカルの音楽は衝撃的だった。
幼いなりにも音楽は歌詞を読んで、共感して好きになるタイプだったから、英語交じりの曲じゃあ全然意味はわからんちんだったはずなのに、何度も聴いた。
「Movin'on without you」なんて、小学生には縁のなさそうな大人っぽい曲だったし、Bonnie&Clydeが歌詞に出てきたところで何者かも知らなかったのに、隅から隅まで聴いていた。
特に好きだった歌詞は「Another Chance」の

口笛ふけない君
静かにくちずさんだメロディー
playbackしてる

だった。その表現がすごく好きだったのを、今でもなぜか覚えている。
共感できる歌詞はあんまりないのに、惹きつけられる音楽。
今まで聴いたことがないタイプの音楽。
子どもなりにそんなことを感じていた。

あれからずっとずっと、聴き続けている。
もう20年近く経とうとしているなんて。
人生で一番長く、性懲りもなく好きで、憧れ続けている人だと思う。今も昔も、あなたの音楽や価値観に心揺さぶられ、大切なことを教わり、世界を広げてきた。

成長とともに、彼女の歌詞への「共感」が増えて、寄り添ってくれる楽曲にたくさん出会った。
ジャケット写真やMVの姿に憧れて、彼女の写真を手に美容院へ行き、「この髪型にしてください」と頼んだ(今でもたまにやる)。
ごくたまに出演するテレビ番組を見れば、その人懐っこさをますます慕わしく思ったし、その反面、ブログやツイッターでの言葉には、思慮深さと教養の高さを垣間見て、そんな風になりたいと思った。
海外生活の長さ故の日本の違和感を率直に話してくれるのも好きで、世界がもっと広く日本にある常識がすべてではないことを知った。

活動休止の時は泣いたし、一昨年復帰した時も号泣だった。未だに「Goodbye Happiness」のMVや休止前のコンサート映像を見ても泣ける(だからそういうところが私はいちいち重い)。
そして今も、新たな音楽を生み出して、自ら歌ってくれる。
それを聴くことができる幸せ。

音楽がいいことはもちろんなんだけど、その存在が、音楽が、言葉が、今日もこの世界にある(大げさかな~)ことが、嬉しくてたまらない。
帰ってきてくれてありがとう。これからも、あなた自身が楽しめるような音楽活動を続けてね。

復帰以来、どの曲を聴いても、私の根っこのところにはそんな思いがある。

私的な感情の話ばかりしてしまったけれど、少し曲作り(歌詞作り?)の魅力にも触れておく。
この前の『SWITCH』でのインタビューで

「普遍的な感じにしようと思って、あまり自分の体験からといった発想も無く書いた歌が、後になって『ああ、私の中にそんな気持ちが強かったんだ?』と、自分の原点的な感情に気付かされることもあって」

と語っていたのがとても印象的。詞の世界の広がりは、そこにあるんだなと思って、すごく腑に落ちるインタビューだった。その手法って、もうさ、文学じゃん。作詞家っていうより、文学者じゃん!! と思ったら、先に引用した箇所のちょっと後のところで「私小説っぽい作風」って言っていたので、ひたすら頷くしかなかった。さすが、自己分析が深い。

楽曲作りだって、天才的なのだと思うけど(音楽は門外漢だから、専門的なことはわからないけど)、心の中にあるものを言語化するのが、彼女は抜きん出て巧みだ。言葉の選び方が、知的で、情緒があって、美しい。そして、言語化されたものが、普遍的に通じてしまうから、こんなにも世の中に受け入れられているんだと思う。

冒頭で「理屈でなく、心揺さぶられるアーティスト」だと書いたけど、もう少し掘り下げれば、音楽が、歌詞が、価値観が、その生き方が、彼女のあらゆる面が、いちいち私の心をつかんで離さないのだ。

それが言いたくて、こんなに長くなっちゃった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
少しでも私の宇多田ヒカル愛が伝わっていれば、光栄です。

追伸 「パクチーの唄」が予想をはるかに超える完成度でびっくりしてる。イントロから衝撃だった。やっぱりすごいんだよ、宇多田ヒカルは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?