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会議設計のキホン。vision作成アナザーストーリー

みなさんこんにちは、坂本です。

今回は、前職の先輩、佐藤さんによるvision作成のプロセスの公開を受け、
Visionを作成するために行った会議を
どのように設計し運営したのかについて公開したいと思います。
なお、本記事の構成については、佐藤さんの記事を
一部オマージュさせていただきました(笑)

全員の意志を取り込んだり、意見を組み上げたりする会議をどのように行うかという点において、なにか役に立てるのではないかと思い、書きました。
(会議という単語を使いつつも、ワークショップ的な要素も強いです…!)

わたしは会議やワークショップについて、なにか指導を受けた経験はありません。したがって方法は全て我流になりますので、その点ご了承くださいませ。

え?もうすぐ辞めるって知ってますよね…?


わたしは、2018年1月末まで新卒入社したgCストーリーという会社に勤め、
看板の施工管理業務を行う部署で、
コンプライアンス業務のプロマネを行っていました。

居心地のよい会社でのやりがいの多い仕事ではあった一方で、
様々な要因とタイミングが重なり、
11月上旬に直属の上司に退職の意を伝え、1月末での退職が決まりました。

*辞めた経緯については、こちらのnoteをご覧ください。

退職日が決まってほんの少しの日にちが経ったころ、
他部署であるエナジー事業部のリーダーから会議に招待され、
なんだろう??と思いながら会議室へ。

エナジー事業部のリーダーと1人のメンバーと、
他部署であるわたしの3人で始まった会議。
リーダーが口を開きます。

「……さかもっちゃんさ、うちの事業部のVISIONと戦略作ってくれない?
「……!?」

gCストーリーは、風通しが台風並み(?)によいので、
直属の上司に退職の意を伝えた時点で、特にリーダー層の社員にはわたしの退職は伝わっているはず。
退職する人間にそんなこと頼んで大丈夫…?というのが
正直な感想でした(笑)

当時、わたしが設計・進行していた所属チームでの
「営業会議がおもろくて、良いアウトプットに繋がっているらしい」という噂が社内でじわじわと広がり、幹部による経営会議の話題に取り上げられたり、経営企画室のメンバーや他チームの会議運営の担当が見学に来たりしていました。

わたしに相談を持ちかけてくれたエナジー事業部リーダーも
その噂を聞きつけて依頼してくれたそうです。
(なお、良いアウトプットが上がっていたのは紛れもなく、チームのメンバーが素敵だったからです…!)

改めて、課題を整理してみよう!

まずは、1月末という退職日をわたしの口から共有(笑)

なぜvisionを作成しようと思ったのかという背景や
もやもやしていることをヒアリングし、
今後どのような方針で会議を行うかを以下のとおり決めました。

【方針・行うこと】
① Vision・missionを設定する
もやもや)売上目標など数字を追い続けて現場に出る日々では、
     全員が疲弊していきそう
原因)所属メンバーが、売上目標など数字よりも、
   どんな貢献ができているかにモチベートされる傾向がある
理想)「私たちはこんな世の中を作るために日々頑張っているんだ!」と
   わくわくしながら働ける

② チーム全員が揃った状態でミーティングを行う
もやもや)仲は良いが、チーム感に欠ける
原因)日々それぞれが施工の現場に出ており、顔を合わせる機会が少ない
理想)お互いに対しての安心感・信頼感がより強くなっている

③ 作成されたvisionに、全員の意志が含まれるようにする
 会議を通して「アイデアを生み出し、場に出す力」を高める会議にする
もやもや)いつもリーダー層の意見で物事が決まってしまう
原因)リーダー層が若手が出した意見を潰してしまうときがある
   会議中に若手メンバーに意見を求めても出てこない
理想)入社年次・役職に関わらず意見を言い合える
   若手メンバーそれぞれにもチームを引っ張る意識がある

会議は手段。目的を明確にしよう。

会議には◯種類の目的がある!というネットの記事はたくさんあります。
◯に入る数字は、3,4,5,6など様々です。
どれが本当なのでしょうか(笑)わたしもわかりません(笑)

いくつか取り上げてみると、会議の目的は

◯情報共有(報告・連絡)
◯課題発見・解決
◯アイデア出し
◯意思決定

などになるかと思います。

近年では、SlackやChatWorkといったビジネス用のチャットツールなどのおかげで情報共有を効率的に行えるようになり、情報共有の会議は行わない会社や、「社内外問わず会議は15分まで」といったルールを設ける会社も出ています。

(こんな記事も見つけてしまいました…!)


いずれにせよ、会議はあくまで手段であり、何のために行うのかということを明確にしておくことが、時間最小で最大の成果あげる会議を設計するうえで重要でしょう。(当たり前すぎて申し訳なくなってきた。笑)

会議には目的がある!のではなく、
ある目的を達成するため・課題を解決するために、会議を行う、すなわち、複数名で集まって会合するという手段をとっているのです。

また、目的を明確にしたうえで、
「本当に会議を行う必要があるのか。本当に会議でなければならないのか」と問うことも大事です。

(そのため、先述のとおり、まずはもやもや感をヒアリングし、目的を設定しました。)

さて、再度確認ですが、今回は
「visionを設定することで、メンバーがより、わくわくと働けるようにする」という目的のための手段として会議を行うことを決めました。
また、方針として「会議を通して、チームの結束力と個々の発想力を向上させる」ことも決まりました。

これらが確認できたら、あとはパーツを組み合わせ、会議の準備を行うだけです。

参加するメンバーを決めよう

ここでも当たり前のことを大きな声で言いますが、
目的・内容によって、誰を会議に呼ぶかを選ばないといけません。

極端な例ですが、稟議を下ろす会議に、新入社員を出席させるというのは双方にとって大きなメリットはないですよね?

会議は非生産時間であること、人数が多いほど意思決定が困難になることから、可能な限り必要最小限のメンバーであることをわたしは重要視しています。

*2014年の記事になりますが「グループの人数が7人を超えると、1人増えるごとに意思決定の有効性が10%下がる」とも言われていますね。

今回は「メンバーがわくわくと働けるようなvision」を作るうえで、プロセス・決定内容いずれも、全員が納得感があることが最重要でした。
納得感は、情報を公開し、透明性が高い状態にすることによって醸成されます。したがって、一般的な会議の場合、議事録や発言録・音声データの公開、質問や意見の時間を会議と別途設けることなどによって、十分透明性を担保できると思います。
しかしながら今回は「作成されたvisionに、全員の意志が含まれるようにする」という方針があったため、メンバー全員の出席としました。

また、visionというある種キャッチコピー的な要素がある文言の作成において、エナジー事業部のメンバーやわたしで行うのには無理があるという判断で、マーケティングや編集を行っていた佐藤さんに会議の参加をお願いしました。

メンバーの特性を確認しよう

今回、チームカラーやメンバーの特性を事前にヒアリングしました。
そこから、会議でのグランドルール*や配慮すべき事項を決めます。

【チームカラー】
・動物園のイメージ(笑)個性が強く、元気がよい。
・素直さ、目標への強い達成意欲があり、よく流行語が生まれる。
 (流行語:「おっしょーい!」「鬼速PDCA!」など語感のいい言葉)

これらから導いた配慮すべき事項
・目標や目的、今日の流れを会議の冒頭で理解してもらえるとよさそう。
・語呂の良い言葉づかい、共通言語を作れると楽しめそう。
・堅い雰囲気よりも、ポップで勢いがあり楽しい雰囲気がよさそう。
→グランドルールとして我慢しない(お手洗い・飲み物など)を含める。

メンバーについては、「入社年次・役職に関わらず意見を言い合える」「発想力を高める」といった目的があったので、
・普段の会議のときどんな様子か(話す量・テンションなど)
・チーム内でどのような役割を担っているか
についてざっくばらんにヒアリングしました。

【各メンバー】
・事業部長:話す量は多いが、ひとの意見もよく聞きよく質問する。論理的で頭の回転が速い(他のひとよりも結論を見つけるのが早い。)とにかく勢いで物事をこじ空けていくタイプ。
・施工管理リーダー(依頼者):柔和で聴き上手なタイプ。全体を見て若手に話を振るなどバランスを取る。意見するときは意見する。
・メンバー(唯一の女性):施工パートナーとのやり取りを多く行っている。どちらかといえば感覚的でアイデアをよく出してくれる。
・メンバー(リモート):いい・違う・分からないなどはっきり意思表示する。明るさと人あたりの良さで、社内外問わず好かれるタイプ。
・メンバー(新卒3年目):会議での口数は少ない。最も現場に出ており、施工に関して最もよく理解している(ので、思うところはあるのでは、とリーダー。)。
・メンバー(新卒1年目・依頼者):現場での経験は豊富だが、新卒1年目ということもあってか、スピード感のある議論の場合は話を理解している間に議論が展開することがあるそう。共感力がありひとのことをよく見ている。

これらから導いた配慮すべき事項
・思考のスピードにばらつきがある(推し進めるタイプと着実なタイプとがいる)ので、全員が理解できていることを確認してから次の議題にうつる
 なるべく全員が平等に意見できる時間・手法をとる。
→アイデアを考える時間・発表する時間・議論し展開させる時間など、話の流れを細かく区切って議論のスピードを調整するとよいかも。
・心理的に安全で発言しやすい空間をつくる。グランドルールに「否定・批判・非難しない」を含める。

【決めたこと】
・グランドルール:会議における場のルール
 ①否定・批判・非難しない
 ②我慢しない(お手洗い・飲み物など)
 ③アイデアは質より量!!!
・進め方で配慮すべき点
 全員が理解できていることを確認してから次の議題にうつる
 なるべく全員が平等に意見できる時間・手法をとる

「(アイデアは)質より量!」という言葉については、発想力を高めるための狙いと、上手く行けば流行語になるのではと思い設定しました。

結果、会議中だけではあるものの、共通言語にはなったのではと思います。

大まかな流れ・やることを決めよう

今回の会議の大まかな流れはこのようにしました。
スケジュールの都合で複数回に分けています。

①前提条件とゴールの確認/チームビルディング(30分)
②アイデアの発散(2時間)
③アイデアの収束(2時間)
④結論・アクションの決定(今回はvision作成・選定)(2時間)

今回の会議は、の目的をあえてカテゴライズするならば、
「課題解決」や「アイデア出し」にあたると思います。

「課題解決」や「アイデア出し」の会議においては、
9割方上述の流れを使っています。(この流れのやり方しか知らないという説が大きい…(笑))
各コンテンツの時間は、目的や状況によって異なり、全てを15分で行うこともあります。
(チームビルディングは今回の目的・方針があり採用しました)

ざっとした言葉で説明すれば、
行うことをみんなで確認して、アイデア出しあって、取りまとめる。
という流れです。

各会議のフレームを作成しよう

会議の流れを次に決めました。今回は、

①(5分)本会議の目的共有・グランドルールの確認
②(15分)発想力を高めるワーク
③(30分or90分)コンテンツ
④(5分)本会議のまとめ・アクションの確認
⑤(5分)予備

としましたが、こちらも他の会議でもほぼ同じ流れを使っています。

発想力を高めるワークの部分がまるっとなかったり、
チェックイン(そのときの気分や、会議に期待することを一人ずつ一言だけ話していくコンテンツ)を行ったりしています。

基本的に、わたしの設計する会議では、全員が安心して参加し安心して話せる状態をつくるために、チェックインを行うことが多いです。

発想力を高めるワークは、面白法人カヤックさんから発売されているブレストカードを使用しました。

なぜこれを使用したかというと、わたしが好きだからです!!!!!!!
というのが一番の理由でしたが、しいて言えば、チームカラーとしてノリで楽しめるものが合っているだろうと思い、気軽に取り組めるこちらを使用しました。

(ブレストってなに?というのは調べてください(笑))

①前提条件とゴールの確認/チームビルディング

さて、ここからは各コンテンツについて解説(?)します。

前提条件の確認というのは、使う言葉のイメージを揃えるということで、円滑な会議にするために気を配っていることの一つです。

例えば「地方」という単語を使う会議において、
名古屋・福岡といった地方都市をイメージしているひとと、
過疎化の進むいわゆる田舎をイメージしているひとがいるような状態を避けるために行います。

場合によっては、あえて認識を統一せず余白をもたせることで生まれるアイデアに期待することもありますが、意思決定においては揃えるほうがいいと個人的に感じています。

今回、missionやvalueという混同しやすい言葉も合わせて
言葉の意味をメンバーで確認しました。

一般的な定義である

mission:成し遂げたいこと。企業が果たすべき使命。目的。存在意義。
vision:将来的な企業や社会の方向性。志。方向性。
value:組織において大切にしたい価値観。

で全員の認識が統一されました。

ちなみに、イメージを統一するためには、言葉の定義を確認するよりも、
具体的な例を上げて、しっくり感を確認するということをおすすめしています。

今回は、他社事例を眺めて「こういうやつ!!!」と言い合う時間を設けました。

ちなみに、わたしの好きな組織のひとつで、オンラインカウンセリングサービスを展開する株式会社cotreeではこんな感じです。

mission:ひとりひとりの物語を取り戻すための支えとつながりをつくりだす
vision:やさしさでつながる社会をつくる
value:やさしくある/頼りになる/愛し、愛される/しなやかである/希望を持つ/遊び心を持つ

いや〜、素敵です(笑)

②アイデアの発散

次に、アイデアの発散を行いました。要は、とにかく意見を出してみよう!という時間です。

流れとしては

①問い(後の切り口)の共有
②個人でアイデアを出しまくる
 ―1つのふせんに1つのアイデアを記入
③アイデアの共有
 ―同じものは重ね、近いと感じるものは近くに置く
④乗っかりタイム
 ―出てきたアイデアを見て、組み合わせたり、新しく思いついたことを追加したりする
⑤まとめ

でした。今回、発想力を鍛える目的があったため、「乗っかりタイム」という仰々しい時間を設けました(笑)

そして、ここで重要なのが「切り口(問い)の設定」です。
アイデアを出してもらうために、どんな問いを用意するか。ということ。

visionを作成するという目的にも関わらず「visionの文言を作ってみよう!」という切り口ではあまりにも難易度が高い。

この難易度の高さは、
・アイデアの出しづらさ
・アイデアの取りまとめの難しさ
などがあります。

そのため、アイデアを出しやすく、取りまとめやすい。かつ目的にたどり着ける切り口を準備する必要があるのです。

これらに関しては、感覚的に行っているため上手に言語化できていませんが、

mission/vision/value の定義から、
「企業が果たすべき使命」や「将来的な企業や社会の方向性」を
エナジーは◯◯に対してどんな価値を与えている・与えたいのか?
という切り口に変換しました。
◯◯には「社会/gC/パートナー(協力会社)/顧客」のキーワードを入れて、それぞれ15分程度時間をとりました。

また、自分たち(エナジー事業部のメンバー)が◯年後どうなっていたいか
という切り口も用意しました。

これは最も良い未来を想像することで、visionを作成するプロセスにもよりわくわくしてもらえたら、というねらいです。

③アイデアの収束(2時間)

出てきたキーワードはこのようなものでした。

エナジーが与える価値について
■社会に対して
環境問題への貢献、太陽光業界への貢献、施工業界への貢献、雇用の創出、gCとしての社会貢献
■gCに対して 
数字の基盤、成長促進、活気・バイブス、未来の開拓、採用、世の中への貢献
■PN(協力会社)へに対して 
会社の発展、働きがい、職域発展、視野の広がり、安定した仕事の供給
■エナジーメンバーの◯年後
ベンチャーマインド、プロ意識、仲良し、バブリー、誇り・やりがい、最先端、ちゃんとしているわくわく・たのしい、元気、自由

このキーワードをどうvisionに繋げるか、という点が最も悩んだ点でした。

キーワードを元に、メンバー全員の想いを聴きながらまとめるという何とも参考にならない方法(笑)

しかしながら、問いは
「どんな世の中をつくる事業なのか」
「世の中に対してどんな貢献をするのか」
といったテーマだったように記憶しています。

出てきたキーワードのうち、どのキーワードに最もわくわくしたり、熱量を持って取り組みたい!と思ったりするか、というところから絞っていったので、事前行ったブレストによって、それらがすでに統一されており、話がスムーズだったと思っています。

結果、以下のような内容にまとまりました。

◯環境への貢献エナジーの事業は「持続可能な地球をつくる」ことであり、「子孫が今と同じように暮らしやすい未来をつくる」ことである。

→これに対して、 
◯再生可能エネルギーを増やすこと 
◯省エネルギー 
の2側面から貢献する。

・具体的な指標としては、COP21で定義されたCO2削減目標がある
→今後、目標・戦略を立てるのであれば下記のような指標がよいのでは? 
カーポート:◯◯GW/年のエネルギーを創出  
草刈り  :◯◯GWを1年で管理

・再生可能エネルギーを増やすということ=CO2を減らせるということ
・ソーラーカーポートは中古・リフォームでも太陽光発電を可能にした
 また、屋根上でなければ太陽光発電ができないという常識を覆した

◯太陽光業界への貢献4方(CL・PN・gC・施主)よしの、「持続可能な地球をつくる」という目的に誠実・真摯である業界へ。
・太陽光業界自体のイメージの変革

ここで気をつけたことは、
・全員に話を平等に降る
・なるべく平易な言葉に言い換える

ということでした。

前者は、メンバー全員の意志を含めたvisionにしたいという要望があったからです。
後者は、難しい言葉や意味の広い言葉を使用して作成したvisionの場合、社外に広まる際に、意図しない意味を持ってしまう。ということを避けたかったからです。

都度、メンバーのみなさんから意見を聴くたびに「それはこういうことですか?」という言い換えや確認を行って、ニュアンスが異ならないように配慮しました。

④vision作成・選定

②・③の工程を行うなかで、最終の文言をこの人数で決めるのは、不可能だと感じたことや、最悪の場合はわたしの退職までに日程が取れない可能性も考え(笑)、
社内で、エナジー事業責任者の壁打ち相手を行っており、コピーライティングもできる佐藤さんに相談をするにいたりました。

ここから先は、ぜひ佐藤さんのnoteをご覧ください!(宣伝かつ楽をしたい気持ち)

さいごに

個人的には、入社から退社までで1,2位を争う楽しく幸せな仕事でした(笑)

その後どうなったのか、「質より量!」のマインドはまだ続いているのかなど気になることはありますが、
関わるみなさんに納得感のある結論を。というファシリテートしがいのある場をいただいたことに感謝したいです。

さて、この記事が誰かの役に立てれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!


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