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【キャリア選択】20代でアナウンサーからナレーターになる選択をしたわけ

今年の春から新しい道を歩んでいる方の中には、「果たしてこの選択でよかったのだろうか…」なんて思っている方もおられるかもしれません。私もそのように思った春もありました(笑)ですが、今となってはこれまでの自分の選択にとても満足しています。

そこで、もしかすると20代で私がアナウンサーからナレーターになる道を選ぶに至った過程に、その満足へのヒントがあるのかもしれないと思い、今回noteにまとめてみることにしました。

思いのほか、赤裸々な内容になってしまいましたが(笑)、もしキャリア選択時のみならず、何かしらの選択の決断が迫られている方がいらっしゃいましたら、その考える過程の一助になれば幸いです。


経歴のおさらい

まずは、簡単に石井しおりという人間の経歴を振り返ります。私の20代をぎゅっと詰め込みました(笑)

契約アナウンサー時代|KBC九州朝日放送

私は上智大学を卒業後、まずKBCに契約アナウンサーとして入社しました。当時はまだ女性アナウンサーを“契約社員”で採用するローカルテレビ局が多かったので、いたって自然な形でした。

『女性アナウンサーは、なぜ契約雇用が多かったのか?』

ご存知の通り、アナウンサーになる道は非常に狭き門です。ですから、多くのアナウンサーを目指す学生および就活生は、内定を得られるまで日本全国のテレビ局を受け続けるというのがよくある例です。(※但し、かなりお金がかかるので、受ける範囲には個人差があります。)

その結果、最終的に何れかのローカル局に内定をもらうことができた人間のみアナウンサーになれるわけですが、いざ働いてみると、思い描いていた理想と現実のギャップや生活環境に馴染めない(地元でない、親族もいないなどご縁のない地域であることが多いため)などの理由から、早期退職者が多かったのです。

決してそれが悪いと言っているわけではなく、時代がそうでした。ただ、実際に私と同じ2011年新卒入社で全国に羽ばたいた女性アナウンサーの内、現在も当時と同じ局で働いている同期はごく僅かだなという印象です。

仕事内容としては、ラジオ・テレビ・イベントと幅広く担当させていただきました。しかしながら、”KBCの核兵器”と言われてしまうほど少々ズレた発言ばかりしていた私は、今思うとひたすら滑車の中を走り回るハムスターのようだったなと…「先輩方のように面白くならなきゃ!」と毎日必死でしたね。(「面白い」は、なりたいと思ってなれるもんじゃないのに。笑)

タレント時代|福岡

その後、契約期間(3年)は満了するも、福岡という地のブラックホール的な魅力(笑)にすっかりハマってしまった私は、引き続きKBCで働きたい旨を伝え、フリーという立場でそのまま各番組を継続させていただきました。

ありがたいことに休む暇なくお仕事をいただいていましたが、当時25歳の私はどこか“フリーランス”という立場に不安を抱き始めました。また、同期入社の他社員らは正社員だったことから、“正社員”というものへの漠然とした憧れもあったように思います。

正社員アナウンサー時代|uhb北海道文化放送

その頃、たまたまuhbがキャリア採用(正社員)をしているという情報をuhbの中村剛大アナウンサー(就活同期)から聞きつけ、力試しで受けてみることにしました。というのも、実は学生時代はuhbの内定というゴール間近で不合格通知をもらっていたのです(笑)

結果的に、4年間のKBCでの経験が評価され、4年越しに合格通知をいただくことができたため、福岡を離れ、北海道へ引っ越すことになりました。内定に至るまで、当時のuhb人事部の方には少々ご迷惑をおかけしてしまったので、それでも入社させてくださったuhbには今だに頭が下がります。

uhbではKBCとは打って変わって、報道寄りの業務が多く、事件や事故、災害現場からの中継や報道番組のキャスターをやらせていただきました。ちなみに、当初抱いていたはずの正社員への憧れは、入社間もなくそれぞれの立場の良し悪しがあると身をもって体感でき、私は正社員でない方が力を発揮できるのかも…という結論に至りました。詳細はここでは割愛します(笑)

フリーアナウンサーという選択肢

今でこそ、元テレビ局アナウンサーがベンチャー企業の広報やメディア露出担当になるというようなケースが増えていますが、元来局アナのネクストキャリアとして多く選択されるものとして、フリーアナウンサーがあります。

私もその道を全く考えなかったわけではなく、某フリーアナウンサー事務所の方をご紹介いただき、お話を伺いに事務所を訪ねたことがありました。

しかし、その時に感じたのは、「私は場違いだ」という明らかな違和感(笑)東京でフリーアナウンサーとして活躍するためには、やはり容姿(足りなければ、強いキャラクター)は重要な要素であると、口には出さないものの事務所側のプライドのようなものもじんわりと感じ取り、息を潜めるようにその事務所を後にしたことを今でも鮮明に覚えています。

【秘】自分に下した市場評価

フリーアナウンサー事務所で感じた「明らかな場違い感」。その理由ともなる、当時自分自身に下した市場評価を、恥を捨ててここで明かします。

まずは、容姿。自分を冷静にランク付けすると、おそらく“中の中から…頑張って、中の上…”。残念ながら、今一つパッとしません(苦笑)

次に、キャラクター要素。私って、残念ながら本当に面白みのない普通の人間なんですよね(笑)アナウンス技術においても、生中継とニュース読みは比較的得意な方でしたが、大概のジャンルが及第点レベル。その他、野球、サッカー、競馬、映画…など何でもよいですが、何か一つでも他の人に勝る深い知識や経験があればよいものの、”広く浅く”の知識しかありませんでした。(ただ、この広く浅くの知識は、幅広いジャンルを担うナレーターという職業にはとても活きているなと感じています。)

その結果、フリーアナウンサーというジャンルでは私は食べていけないと判断。これが、私なりの市場価値に対する自分に下したジャッジでした。

一方、アナウンサーとして伝える“ナレーション”では、ありがたいことに一定の評価をしていただけていました(例:FNSアナウンス賞 ナレーション部門 ブロック1位 総合2位)。ただ、これは「アナウンサーという枠の中だから評価されているだけ」と理解していたので、この枠組みを取っ払ったら自分のナレーションはどう評価されるのか知りたいという思いが芽生え始めます。これが、ナレーターを目指したいと思った一つのきっかけです。

また、タイトルにも記したまだ20代である(当時29歳)という年齢も大きく影響しました。大学生の頃から活躍する人もいるフリーアナウンサー業界では29歳という年齢は決して若いとは言えませんが、ナレーター業界では圧倒的な若さです。次に続く最終的なキャリア選択をするうえで、このタイミングはベストだったのだろうなと今では思います。

複数の選択肢

人生一度きり!興味のあることには全てチャレンジしてみようと、この時実はナレーターを目指す以外に、二つの選択肢がありました。

一つは、ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドでステージマネージャーとして働く道。自分の人生において重要な“ディズニー”という存在に、いつか何かしらの形で関わりたいという夢があったからです。(大学推薦入学時の論文タイトルは、「私はディズニーで育った」。入学させてくださった上智大学様には、感謝しかありません。)

もう一つは、福岡でもう一度働くという道です。もし福岡でまた働けるのならば、明日にでも薬院か平尾辺りに住んで働きたいと思うほど、福岡そしてKBCの存在は私の人生においてとても大きな存在だからです。そして、根気強く育ててくださったことに対して、微力ながら何か少しでも恩返しをさせていただきたいという気持ちもありました。

これら三つの選択肢、それぞれへの想いに優劣がなかった私は、全て全力で向き合えば、どこかのタイミングで自然と道が拓けるはずと、北海道から度々東京や福岡へ足を運び、面接や面談を重ねました。すると、運良く日本テレビ「ZIP!」の新ナレーター募集というタイミングと重なり、不思議とナレーターへの道が一歩抜けることになりました。

選択時に大事にしている感覚

アナウンサー、ナレーターに限らず、どのような職業や立場であっても(個人差はあるものの)自分の未来の選択を迫られる機会は人生で何度か訪れます。特に、私自身もまさにその過渡期ですが、結婚・出産というのは大きな選択の一つですよね。

そんな時、自分のやりたいことを念頭に置きつつも、いかに正確に自分の市場価値を見極められるかも重要ですが、さらに私は「それは面白いかどうか」という感覚を大切にしています。思えば、福岡から北海道へ行くときも、アナウンサーからナレーターになる選択をした時もそうでした。

「一般に、配属先として誰もが羨む福岡・北海道という地に住めるなんて、東京出身者が日本を縦断するなんて、面白いじゃないか!」

「アナウンサーで顔出しもしていた人が、20代で裏方とも言われるナレーターになる決断をするのは面白いんじゃないか?!」

「面白いと感じるか」は私の中で大切にしている感覚なのだと思います。そして、今ありがたいことに、過去の選択に何一つ悔いなく過ごせています。

ただ、決して今のナレーターとしての仕事量や自分の技術力に満足はしていません。365日、ナレーションおよび声にまつわる仕事をしたいと思っている中で、おそらく100日程しかその仕事ができていない今に、ちっとも満足はしていないのですが、悔いは全くありません。自分が今後どれだけ成長できるかという、未来への期待と課題があるだけです。

もし今何か選択を迫られている方がいらっしゃったら、周囲の友人や家族、先生などに相談するもよし、占いに行ってみるもよし、何でも思いつくことはぜひ全てやってみてください。考える際の一つの選択肢として、全力で好きなことに向き合ってみる、「面白い」と感じるものを探ってみるというのも、良かったら取り入れてみてください。

貴方が一番しっくりとくる選択肢に出会えますように。

ナレーター 石井しおり


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