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Dead by Daylight Mobileから学ぶ”ゲームの楽しさ”

まず最初に。この記事はゲームレビューじゃないよ。
サッカーのコーチがスマホゲームから学んだ”ゲームというものの楽しさ”を書いてる記事。

さて。


前置き

『Dead by Daylight(デッド バイ デイライト)』というゲームをご存知?
PC版からプレステ版があって、最近ではSwitch版も出た、かなり人気のあるテレビゲーム。
ホラー調の作りだけど、簡単に言えばホラーゲームじゃなくて隠れんぼ+鬼ごっこゲーム
鬼1人、逃げる人4人、の計5人で隠れんぼ+鬼ごっこ。何人か逃げ出すか、それとも鬼が全員捕まえるか。そんな単純な内容。

芸能人でもプレー配信したりしている人も多い。
狩野英孝、本田翼、後藤真希、サンシャイン池崎、などなど有名な人もプレーしていて、なんとあの美川憲一まで!

そんな Dead by Daylight(略して DbD または デトバイ)にスマホゲームとして、『Dead by Daylight Mobile(DbDモバイル)』が4/28にリリースされた。

以前からお気に入りのDbDゲーム実況をちょこちょこと見ていて、自分でもやりたいなぁ〜と思いながらも、対応するゲーム機もSwitchしか持ってないし(Switch版は画質とかがちょっと好きじゃない)、今ゲームをガッツリやるのもめんどくさいと思ってて、なかなか手が出ずにいたところにこのモバイル版が出たので、ちょっと試しにやってみよう!となったのが最近。

残念ながらモバイル版はクロスプレー(他のプラットフォーム、例えばPC版の人とかと一緒にプレーする機能)は非対応なので、モバイル版ではないゲーム実況者とマッチするようなことはないけど、やってみたかったゲームだからやれて嬉しかった。


という前置きが長くなったけど、ここからが本題。

そのDbDモバイルをプレーしていて、「楽しいぞ?」と思うわけだ。
もともとどんなゲームか知ってはいたし、楽しいと思ってやってるんだから、まあ当然なんだけど、けどそれでも実際にプレーしてみて楽しい。
スマホだから操作感には不満はあるけど、ゲームとしては楽しい。

そこで「このゲームはなんで楽しいんだろ?なにが楽しいんだろ?」と考えてみた。(ゲームをやるといつもこんなことばっかり考えちゃう)
それをこれから書いていく。


良い意味で大雑把なチュートリアル

最近の他のゲーム同様、DbDモバイルも最初にチュートリアル、いわゆる基本操作とゲームルール説明がある(スキップもできる)。

「言葉だけの説明じゃなく実際にキャラを動かして〜」っていうのは大体おなじみだろうけど、改めて考えるとまあこれも大事よね。
文字だけで言われてもわからんからね。

で、そのチュートリアルが、本当に基本的な操作のみでサクッと終わる。
「こうやると上手くいきますよ」のような”コツ”を教えないのはもちろんのこと、「全く知らない人がこれで試合に放り込まれてもわかんないことだらけでしょ」ってなるぐらい説明が薄い。

「操作とルールはわかってるんだから、あとはやりながら勝手にいろいろ覚えな」のスタンスなのかもしれない。
でもね。
これが丁度いい。

まずゲームで楽しいのは何か。
長々と説明を効くことじゃない。
”プレーする”ことだ。
これは間違いないでしょ。
説明を効くためにゲームをやる人なんていないよね。

そして重要なのが、”コツ”を教えない ということ。
自分がプレーをして、自分でそのコツを見つけていくことが楽しさの一つなんだよね。

こういうこと言うと「それもわかるけど、コツがわからなければ上手くプレー出来ないじゃん」っていう人が出てくる。
でもね、こっちから聞いてもいないのに他人から与えられた”コツ”をただ実行するのは、もはや「やらされてるだけの作業」なのよ。

試行錯誤の末に誰かに教えを請うのはいいんだよ。
現代なら悩みを解決してくれそうな動画や記事を探すのもいいね。
それらも一つのコツを見つける行為だから、ちゃんとゲームの一部として楽しめる。
自分が困ったり求めたりという体験をした上で、そのコツに辿り着くからワクワクできる。
そしてそれが「ちょっともう一回やらせてみ?次はもっとうまく出来そう!」を生む。
これこそが夢中になる楽しさをもたらす”学習と実行”のサイクル。


「先にコツを教わる」ということを経験をするには、初めてやるゲームを攻略サイト見ながら全部その通りになるようにやってみるといい。
面白くないから。RPGゲームとかなら特に。
「ただの作業」の意味がわかるはず。
似たようなことを書いた記事↓。


ちなみにDbDモバイル内での専門用語もたくさん出てくるけど、それについての説明もアプリ内には全然無い笑
まあ現代は調べられるからね。
知りたいと思ってない時にそんな情報を詰め込まれても楽しめないからね。
そういう意味でも説明が不十分なのは良いことかもしれない。
「みんななら大丈夫でしょ」ってユーザーを信頼するのも大事。
似たようなことを書いた記事↓。


ということで「大雑把なチュートリアルが楽しさの一つ」の話でした。

「誰かが見つけた正解をなぞる行為」を求められるとゲームとして楽しむことは出来ない。




人との対戦、人との協力

DbDは「鬼1人、逃げる人4人、の計5人でやる隠れんぼ鬼ごっこ」っていうゲーム。何人か逃げ出すか、それとも鬼が全員捕まえるか。そんな単純な内容。

鬼=殺人鬼 または キラー
逃げる人=生存者 または サバイバー
ってゲーム内では呼ばれてる。殺人鬼って怖いね。

この殺人鬼も生存者も全部プレーヤー、つまり”人”がやってる

試合(マッチ)の流れとしては。

まずキラー1人とサバイバー4人の計5人が、鬼ごっこをやる塀で囲まれた場所(マップ)にバラバラに配置されてスタート。

サバイバーはマップ内にある発電機を5台修理すると脱出ゲートを開けるようになる。

キラーは発電機の修理を邪魔しながら、サバイバーを捕まえていく。基本的には3回捕まるとサバイバーは退場。(サバイバー4人を退場させるには12回捕まえるってこと)

サバイバーは捕まった味方を助けに行ったり、傷を直したりしながら、発電機を修理して脱出を試みる。

サバイバー4人が脱出するか退場したら1マッチ終了。

これを”人”がやる。

だから駆け引きが生まれる。
サバイバーはキラーに見つからないように隠れたり、キラーは狙った場所に追い込むような動きをしたり。
サバイバー同士でも、「誰が助けに行く?」「今は怖いから動きたくないな」「他のサバイバーはどこで何してるんだ?」「こっちにキラー連れてくるな」とか、協力するにも駆け引きがある。

そして変な動きも生まれる。
操作ミスはもちろんあるし、協力するべきサバイバー側であきらかに自分勝手に振る舞ったり、「いや流石にそれは無理でしょ笑」っていう無謀な動きをしたり。
キラー側が良いプレーや面白いプレーをしていたサバイバーをわざと逃がすことだってある。

「あいつは今何考えてるんだろ?」を読み取りながら、それに合わせてプレーを変えていく。
思い通りになるときもあれば、ものすごく動きを読み違えたりもする。
しかも基本的にはプレーヤー同士はしゃべれないから、ゲーム内のキャラクターの動きからいろいろ読み取る。
その過程で、やってほしいこと、やってほしくないこと、どんな時にどういう思考になるのか、などを学んでいく。
そして仲間内でやってなければ1マッチごとにプレーヤーも、使うキャラも、セットする能力やアイテムも変わるから、毎回新たな探り合いから始まる。

”人”がやるからこそ、無限の駆け引きが生まれ、毎ゲームが違うものになるというランダム性も生まれる。単調なプレーのレベルをコツコツ上げていく、とは違った面白さになる。
だから飽きが来づらいし、「ちょっともう一回やらせてみ?次はもっとうまく出来そう!」という夢中になる”学習と実行”のサイクルを作り出す。

ということで「”人”との対戦協力が楽しさの一つ」の話でした。

ちなみに低ランク帯(または人がいないときも?)だと、初級者の動きをするCPUが5人の中のどれかに入っていたりする。
徐々に慣れさせる難易度設計として良い仕様。



曖昧さがあるゲームシステム

DbDは「隠れんぼ鬼ごっこ」ゲーム、と言ったが、大体のマッチではこの”隠れんぼ”の部分がメインになる。

ゲーム実況とかだと、追いかけっこ(チェイスと呼ぶ)からの華麗なプレーの方が受けが良いだろうけど、実際にはチェイスはキラーとしてもサバイバーとしても無いに越したことは無いもの。

サバイバーは静か〜に地味〜に隠れながら行動する。
キラーはこっそり追い込む状況を作りながら捕まえに行く。
そして、お互いがかち合えばチェイススタートって感じ。

で、これの何が楽しいのかというと。
ただの隠れんぼならとにかく静かにしている、ただの鬼ごっこならイケイケで捕まえに行くのみ、になるんだけど、どっちでも無いからそうはならない。
どこかで「静かにする」のか、どこかで「動く」のか、静と動を使い分けなければならない。
その静と動の曖昧さがそんな駆け引きを生む。
駆け引きは楽しさに繋がる。

どっちかだけ、をひたすらやるゲームも面白いけどね。
行くの?行かないの?を考えるゲームの方が自分は好き。

そしてそんな曖昧さを生む仕様だから、イケイケなゲームと違って、程よく考える時間が出来るし、その時間が独特の緊張感も生む。
見つかるかな〜どうかな〜って身を潜めてるときのドキドキは、ただ単純に攻めればよいイケイケなゲームでは味わえない。


それと、このゲーム。
明確な勝ち負けの定義が難しいという、ゲームとしては珍しい曖昧さがある。
サバイバーは自分が脱出できたら自分個人の勝ちなのか、それとも全員が脱出できたら勝ちなのか。
キラーはサバイバーを何人退場させたら勝ちなのか。
そんな定義は無い。
ゲーム上でもマッチ後の結果画面では「何人脱出」「何人退場」というのがわかるだけで勝ち負けは書かれていない。(退場についてはもっとグロい表現です)

ここもこのゲームの楽しさの一つだと思ってる。
「完璧=サバイバーが全員脱出/キラーが全員退場させる」を目指しながらも「状況に応じてより良い結果を得るように立ち回ることが当たり前」という環境は、「正解以外は不正解」と言われるような環境よりも、ストレス無く「ちょっともう一回やらせてみ?次はもっとうまく出来そう!」に導ける気がする。
何を勝ちとするかを曖昧にすることで、きっと負けたときの心理的なダメージが少なくなるのだと思う。

まあよく考えたら、小さい頃にやってた鬼ごっこだって、何が勝ちかわからないけど夢中になってやってたもんね。
今だって教えてる子ども達見てると「それどうやったら勝ちになるの?」ってなるような思いつきの遊びを無限にやってるし。

夢中になるには「ハッキリ」させずに「曖昧にする」ことも大事なのかもしれない。

ということで「曖昧さが楽しさの一つ」の話でした。


ちなみに、DbDの「勝ち」は「1マッチでたくさんポイントを稼いだ人」という見方も出来ると思ってる。
DbDではマッチ内での行動にそれぞれポイントが付くんだけど、それがランクに影響したりキャラクターの成長に必要だったりするから、みんなマッチでポイントを集めてるとも言える。
だからポイントを稼いだ人こそ勝者といえるのかもしれない。
ただ相手(特にキラー)が何もしてくれないとポイントも伸びないので、敵なのに協力関係にもあるという曖昧さもまた面白い。



無料、ランク、コレクション

DbDモバイルは基本プレイは無料。
新しいキャラクターをすぐに手に入れたりするには課金が必要だったりするけど、すごい時間と手間をかければたぶん全キャラクター無課金で行ける。
まあだから誰でも試しにやってみやすいってやつだね。

無料にすることは楽しさと関係があるのか?と言われれば「ある」と答える。
DbDの楽しさの一つは「”人”がやってること」と上で言ったけど、無料だとこの”人”が増える可能性が高い。
有料にしたらかなり強めの興味がある人しか手を出さないけど、無料だったら「とりあえずダウンロードしてちょっとやってみようかな〜」ぐらいにはなりやすい。
しかも前述のようにサクッとチュートリアルで、さっさと本プレーをやらせる仕様。
もちろん無料だからこそすぐに離れる人もいるだろうけど、「人がやるからこそ面白い」というこのゲームの特徴をよくわかっているやり方だと思う。


そしてランクシステム。
これは近年の対人系ゲームには必ずと行ってよいほど実装されてるね。
上級者と初級者が一緒にプレーしたらどちらにも良いことが無いし、上を目指す楽しみにもなるからランクで分けちゃおうってやつね。

仲間内だったら上級者と初級者が一緒でもワイワイできて楽しいけどね。
基本的にオンライン対戦系は相手とのコミュニケーションはゲームのキャラクターを通じてのみだからね。
プレーレベルに差があると、ただの迷惑として伝わってしまいがち。
基本的なシステムだけど、改めて大事なものだと思う。


最後に、コレクション要素。
DbDではキャラクターの見た目を変更するコスチュームが買える。
ゲーム内で貯めたポイントや、課金で得た専用のポイントを使って。
コスチュームによる性能差は一切ない。(見つかりづらいとかはあるけど)
でもお気に入りのコスチュームをみんな探し求める。なぜか。自分も。
そしてコスチュームを手に入れれば、それを着てお出かけがわりに1マッチ、となるのは自然な流れ。

でDbDにはそのコレクション要素が、実はもう一つあると思ってる。
それが能力。
ゲーム内では「パーク」と呼ばれてるものなんだけど、キラーもサバイバーもそのパークを装備することで、マッチ内で様々な能力を使うことが出来る。
DbDモバイルでは、キャラクターのレベルを上げることでそのパークを手に入れられるんだけど、キャラクターごとに手に入るパークが異なるし、他のキャラクターでそのパークを使うには更にレベルを上げなければならない。
お金に物を言わせて課金で獲得できるものでもないし、全部集めるとなると誰でもちょっと大変なんだけど、その苦労こそが楽しさを生み出すと思ってる。
何が良いって、これは課金専用じゃないから時間をかければ誰でも揃えられるものなんだよね。(とはいえ未獲得のキャラクターを課金で買えないとものすごく時間はかかるだろうけど)
しかも、コスチュームと違ってマッチ内での性能に差が出る能力だから、手に入れたら試したくなるし、一度使ってみたパークでも、新しく手に入れたパークとの組み合わせも試して見たくなる。
他の人が使ってる未知のパークに夢が膨らむかもしれない。
これは集めたくなるね。

コレクション要素は、揃っていく楽しさと、手に入れたら使ってみたくなる楽しさがとても良い。


ということで「無料、ランク、コレクションもそれぞれが楽しさの一つ」の話でした。



最後に

ゲームで感じた楽しさを考えてたら、サッカーや指導での楽しさにも通ずるものがあるな!と思って記事にしました。

コレクション要素もたぶん指導に入れられる。
パークの代わりに「時間をかければ誰でも手に入る能力」をリストにして、”保有能力”みたいにそれぞれが手に入れた時にチェック入れられるようにすれば、コレクション心をくすぐるかもね。

【保有能力】
・『ミドルキッカー』説明:利き足で20mをノーバウンドで蹴れる
・『スラローマー』説明:1m間隔に置かれたコーン6個を○秒でスラロームドリブルで駆け抜けられる
・『ハードマーク』説明:同程度の足の速さのマーク相手と2m以内の距離を10秒間キープできる

とかね!

試合中にやった行動を”称号”としてやってもいいかな。

・『鋼の心』説明:試合中にベンチや客席の声に反応しない
・『パスカットキング』説明:1試合に3回パスカットをする
・『セクシーパス』説明:走っている味方の速度が落ちないビタビタのパスを通す
・『SBマスター』説明:SBとして出場した試合で10試合勝つ

とかね!

スマホゲームやSwitchゲームに慣れている現代っ子にはこういうのはすごく刺さりそう。

サッカーもゲームだから、他のゲームから得られるものは多いね。


では、まとめ方がわからないですし、そろそろ終わりにしましょう。

気が向いたらDbDモバイルもやってみてくださいね〜


終わり

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