白雪姫を羨む女
眠っているほうが幸せ。
それだけが幸せだから眠り続ける。
私の眠りを覚ますものは何もない。
白馬の王子様でもない。だって彼氏いねえし。
なんでもその王子様の召使が白雪姫の入った棺桶を落としてしまった時の衝撃で毒りんごが喉から出てきたのが原作らしいけど。
なんともロマンティックのかけらもない滑稽な話だ。
そこにあるのはただ永遠の逃避のみ。
そんなあなたにあこがれていた。
私は生きることにめんどくささを感じていた。
けど自殺するほどは思い詰めていなかったし、する勇気もなかった。
死を前にしたら、まぁ寝て考えようと虚勢を張って過ごしていた。
寝ているときだけが幸せ。
しかしその瞬間を認識できないのが皮肉すぎるが。
あぁ白雪姫、私はあなたが羨ましい。
認知することなく死ねて、起きれば王子様がいるという奇跡。
けれど生き続ける、逃げた先の夢の中で。