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「好きを暮らしに」アキタクラシニスト事務局 伊藤美波さん

秋田市であたらしい移住体験を提供する「アキタクラシニスト事務局」。
首都圏の地方公務員という安定した立場を手放し、故郷である秋田のためにと日々活動する伊藤さんの想いを伺いました。

プロフィール
出身地:秋田県秋田市
経歴:大学卒業後、首都圏の地方自治体入庁。2015年、首都圏在住秋田出身の20〜30代女性らと「秋田に関わることでより豊かで自分らしい等身大の生き方を見つける」任意団体を立ち上げる。
現在の職業および活動:2016年秋田にUターンし、秋田や東北、地方経済を盛り上げるべく活動を続けている。移住経験を活かし、地方移住希望者への相談役も務める。

Q:アキタクラシニストの活動について教えていただけますか?

前身団体を2015年の終わりくらいに立ち上げました。秋田への移住をしたいと思った時に学校や会社には相談できる相手がいないので、気軽に相談できる場を作ろうと思ったことがキッカケでした。
前身団体は東京の活動がメインだったので、秋田のメンバーも集めて活動しようということで新たに移住支援を行うアキタクラシニスト事務局を立ち上げました。

秋田で好きなことや得意なことを活かしたライフスタイルを楽しんでいる方を「アキタクラシニスト」と命名しライフスタイルを紹介したり、都内イベントや移住ツアーを開催し、東京や仙台などから11名の方をお連れしてリアルな秋田暮らしを体験していただきました。

Q:様々な団体・コミュニティを運営されていますが、その中で大事にされていることは何ですか?

「顔の見える関係性」を大事にしています。
今はインターネットやSNSなどで、実際に会ったことがない人とも交流ができる時代だと思います。でも、顔が見える関係性が大切だと思い、定期的にイベントなどを開催しています。

都心で暮らしていた時は、隣に誰が住んでいるか分からない環境に漠然とした不安を感じていました。秋田で生まれ育ち、近所付き合いも日常的で、遊び友達も近くにいるという幼少期を過ごしてきたことも、このような価値観の背景にあると思います。
都心に出てきて、秋田の良さに気づくということが多かったですね。

Q:地方公務員という立場を手放して、秋田に帰ってこようと考えたキッカケについて教えていただけますか?

自治体での仕事は安定した仕事でしたし、やりがいも感じ、人の役に立てている実感もありました。

でも、2011年の震災があった時に自分の生き方をよく考えて、もう少し地に足ついた生き方をしたいと思い始めました。また2014年から『消滅可能都市』という言葉を耳にする機会が増え、もしかしたらふるさとが消滅するかもしれないのに果たして自分が首都圏に住むのが正しいことなのか悩むようになりました。
秋田県は毎年1万人以上の人口が減っていく一方で、首都圏はその何倍ものスピードで人口が増えている。このアンバランスさも良くないし、そうなっている要因に自分がなっていることも事実でした。

将来どうなるか分からないという不安もあるけど、それならばやりたいことをやってチャレンジする人生でもいいのではと決心して「秋田できっと私にもできることがある」との想いで秋田に帰りました。2011年から実に5年かかっての決断でした。

Q:5年かけて大きな決断をされたとの事ですが、その決断された背景についてもう少し詳しく聞かせていただけますか?

地方公務員時代に主に担当していたのが、生活保護業務でした。
生活保護制度は戦後の時代から大規模には制度が変わっておらず、現代に適応させる矛盾を感じながら、向き合っていました。一言で言えば”対処療法”的な制度で困難を抱えている方たちを本当の意味で支援できる枠組みではありません。

幼少期からの知的障害や発達障害がフォローされないまま年齢を重ねて、生きづらさからアルコールや薬物に溺れてしまった方々にも出会いました。もし、そうした方々への支援が、最初且つ最終的なフォローが生活保護ではなく、適切な時期に適切な支援を受けられていれば、全く違った人生になっていたのではないかとやり場のない悔しさを感じることもありました。

また、都会で福祉を受けている方は地方出身者が多いことにも気づきました。
高度経済成長期に地方出身者が若い労働力として建設ラッシュの現場を支えました。若い時は働けるのでいいですがしかし何十年と経ち高齢者になり、体は悪いところがあります。家族はいない、故郷にも帰る場所はないという現状です。
人口の一極集中は社会全体のみならず個々人レベルに落とし込んでもあまり良くないことだと実感しました。

私の目標は目の前で困ってる人がなんとか今日明日を生活できるようにすることではなく、地方経済を今より強くすることで困難を抱えうる人の数を減らすことです。
具体的な地図はまだまだ描けていませんが、「とりあえずできることからやってみよう」ともがいているところです。

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貴重なお話をありがとうございました!
伊藤さんの活動については、こちらから↓↓ 

【編集後記】
お話を伺って、自分の心に嘘をつかず必要だと感じたら行動を起こすことができる勇気を持っていらっしゃる方だと感じました。また、探究心や問題意識をお持ちで、人間としての魅力を感じました。伊藤さんの益々のご活躍を応援しています!

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この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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