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【ほっこり読める小説】塩のサジ

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オリジナルの小説を書こう!と長年の夢を形にしました。「塩かげんのサジかげん」と題し、省略して「塩のサジ」。10分程度で読めるショートショートをベースに書き連ねていきます。まずは、…
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#ミステリー

【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第九話>

立木陵介の予約 窓の外からまっすぐに淀みなく、一直線に傘が飛ぶ。傘は的確に獲物を捕らえて…

塩かげん
13時間前
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【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第八話>

目覚めていた音丸慎吾嵯京湾・海浜倉庫五十二区画の管理室の手前、10トントラックが行きかう港…

塩かげん
8日前
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【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第七話>

特別潜入捜査員、実谷重綱の耳 死んだ男の世話に忙しい女が二人。男は呪現言語師だったことは…

塩かげん
2週間前
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【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第六話>

音丸慎吾の尻ぬぐい 音丸と二人、菜緒は三角ラトイと泉岳イミズの行方を捜した。当てはないが…

塩かげん
2週間前
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【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第五話>

アイスクリームとラクトアイスの違い クーラーが必要以上に効いた部屋で、菜緒は二個目のアイ…

塩かげん
2週間前
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【短編小説】特潜・実谷重綱が伺う

 沢城壮太は、震えていた。足もとからガタガタと震え、全身に悪寒が走る。風邪の時とは違う。…

塩かげん
3週間前
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【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第四話>

千堂寺譲一は見逃さない「ここにいたのは、全員呪現言語師ですか?」 「ひとりか、ふたりか、全員か、わからん」 千堂寺譲一は、遠くを見ている。音丸慎吾には目も合わせない。わざわざ呼んだのだから、椅子ぐらいだしたらどうだ、お茶ぐらいだしたらどうだと、千堂寺は考えていた。 「で、その呪現言語師ってのは?」 「あ、コトダマってわかるか?言霊」 「ええ、言葉にすれば、叶うみたいな」 「まぁ、ちょっと違う。言葉には霊力が備わってる。で、これが言霊。それを具現化するのが呪現。呪うに現在の現

【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第三話>

 澤登高一郎の舌先三寸※描写の中に一部残酷な表現があります。  菜緒は、無言で澤登が拘束…

塩かげん
1か月前
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死神を面接

「じゃぁさぁ、もう他にウソはない?言ってないこととか。全部、今なら考慮するから」 「いや…

塩かげん
2か月前
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隣の殺人鬼はノーカウント【SIDE-B】

SIDE-B 前略、笹岡倉穣一から殺人鬼へ   窓越し、またあの夫婦が騒いでいる。相変わらず朝…

塩かげん
2か月前
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隣の殺人鬼はノーカウント【SIDE-A】

 SIDE-A 拝啓、依田慎太郎と麻衣子から、殺人鬼へ  朝、玄関先に犬が死んでいた。死んでい…

塩かげん
2か月前
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【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第二話>

饗庭明日彌、蜘蛛の巣を見る DNA鑑定が何でもかんでも簡単におこなわれるわけではない、そ…

塩かげん
2か月前
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【連載小説】蜘蛛の手を掴む<第一話>

第一話:菜緒の左手 立木陵介が妻の姿を最後に見たのは、玄関だった。朝の七時半。正確には見…

塩かげん
2か月前
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【短編小説】ただ、恐ろしい

 池田優作の平日は職場と家の往復だ。自転車で通勤できるほどの距離だ。片道自転車で十五分、広々とした街路樹が並ぶ通りが気持ちいい。優作は昨日、職場からの帰宅時に事故にあった。車に後ろからはねられたのだった。  幸いにもケガ一つなかったが、念のため入院することとなった。接触した車の運転手は塾に送迎中の母親で、憔悴しきっていた。  不幸中の幸いの事故のように見えたが、優作は記憶がすっぽり抜け落ちていたのだ。事故前後の短期の記憶障害なのか、何十年もの過去に遡っての記憶障害なのか、