初めて殺されそうになった日

過去話

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包丁を突きつけられて死んでくれと言われた日
生まれなきゃ良かったと言われた日
お前には父親の血が流れてるからそんなふうなんだと言われた日

12歳、中学1年生の夏の終わりだった。

家出した

自転車で20分の道の駅まで自転車を飛ばした

涙が止まらなくて手の震えも鼻水もなにもかも止まらなかった

たすけてと言った

泊まるところがない、たすけてと言った

そのとき大好きだった友達が家においでと言ってくれた

電話が鳴り止まなかった

LINE♪とずっとずっとなっていた

震える手で今日は友達の家に泊まると言った

こわかった

向かい側にあったマクドナルドに行った

目はパンパンで顔はぐしゃぐしゃだったのを隠しながらポテトとアップルパイを頼んだ

暫くすると呼ばれて暖かい紙袋を受け取った

あたたかかった

夏の終わりの夜9時頃で肌寒かった

でもセミは鳴いてた気がする

マクドナルドの紙袋のあたたかさにばかり気が取られてなにもわからなかった

自転車のかごに入れて自転車をとばした

寒かった

体力なんてなくて死にそうになりながらとばした

こわくてこわくて暗くてこわくて逃げたくて死にそうになりながらこいだ

友達の家の前に着くとドアがあいて出迎えてくれた

自転車はそこね、と言って手招きしてくれた

明るかった

友達も友達の家族も何も聞かなかった

しばらくしたら母親が来た

私に刃物を向けていたときとは顔も声もなにもかも違っていた

よく覚えていない

友達の部屋で寝た

ふとんでねた

眠れなくて寝たふりをしていた

1時くらいに友達のお母さんが来て、寝たかな?と部屋を覗いた

鼻がムズムズしてくしゃみをしてしまった

しまったと思った

どこかに行ったと思ってたらふとんを持ってきてくれてかけてくれた

冷房の温度を調節してでていった

涙が止まらなかった

いつのまにか寝ていた

朝起きたらパンとたまごとかウインナーとかが用意されていた

いいにおいだった

食べたらふるーつもでてきた

いちごとばななだった、きらきらした朝だった

自転車で友達と学校に行った

きれいだった

いつもと違う道を通って、川沿いの道を通った

きらきらしていた

こんなにきれいだったかなと思った

死にたかった

死にたかった

家に帰ったら殺されるかなと思った

家に帰ったら死のうと思った

家に帰るとだれもいなかった

母親がしばらくするとかえって来た

しずかだった

なにもいわれなかった

私は部屋に戻ってぼーっとしていた

何も覚えていない

死のうと思った