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言葉。

言葉を贈ることは、どんなプレゼントやサプライズよりも難しいと思う。
相手の気持ちを考えて、何を発するべきなのか、どのような表現で伝えるべきなのか、考えれば考えるほど正解が分からなくて難しい。
それが大切な相手になればなるほど、大切に言葉を紡ぎたいと思うからこそ、気持ちばかり溢れて言葉が出てこない。

悲しい出来事を前に、悲愁する友人。
きっと1人で抱えきれないほど辛く、私に電話をくれた。
電話では笑い混じりに話していたが、声から悲しみが零れていて、その悲しみを必死に抑えようと気丈に振る舞おうとする姿にさらに胸が苦しくなった。

本当は、
「無理しなくていいんだよ。」「悲しい時は悲しんでいいんだよ。」って伝えてあげて、せめて私の前だけでも悲しみに浸って欲しかった。
けれど、あえて悲しみに触れず楽しい話をしているようで、私は合わせて話を進めることしかできなかった。

電話を切った後に、何度も後悔した。
気の利いた言葉が一つも出てこない。
私に電話をくれたのに、励ます言葉も、私だから届けられるであろう言葉も何一つ出てこない。
気持ちを考えれば考えるほど、どのような声かけが正しいのか分からなかった。

いつでも私はそばにいるよ、1人じゃないよってことを不器用なりに伝えようと何度も考えて言葉を贈った。
あくまで言葉の圧をかけすぎないように、クッションのように優しく支えられるように、あなたは一人ではないと伝えることが精一杯だった。

なかなか思うように会えないご時世だからこそ、言葉の繋がりが大切な世の中。
難しいなと感じる日々。
発する言葉から人柄が伝わると言うけれど、私は人を優しく包み込めるような言葉を探し、届けていきたい。
相手のことを想い考え届ける言葉、いつまで経っても正解が分からないままな気がしてならない。

いつか美しい言葉を紡ぐ人になりたい。

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