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しおの雑文庫

43
つれづれよりもラフに、楽に。 雑な話をしていく。 iCaとかで適当にテーマ決めて書きます。
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#短編

星の箱

星の箱

 箱をこじ開けると、悪魔が飛び出た。
 星雲とブラックホールを混ぜ合わせたような靄は響く笑い声とともに渦を巻き、ヒトの形を成していく。掌に乗るほど小さな箱の上に、先の尖った靴が揃えて乗った。重さがまるでない。ホログラムでないのなら、悪魔だ、と青年は思った。
「眩しい!」
 細身ので長身すぎる、真っ黒な服に身を包んだ男は、近すぎる照明に退いた。
「箱を地面に置くかなにかしてくれないか」

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風の街

風の街

 むかしむかし、あるところに少年がおりました。
 そこは寂れた場所で、見えるものといえば風化した白い壁、屋根のない家、誰もいない通り道、死にたくなるような青空だけでした。
 その街はなにもなく開けた場所でしたが、風は吹き抜けませんでした。
 少年は毎日、ぼろぼろになった壁の縁に座り、雲のない空を見上げていました。うっすらとでも雲が見えれば、風が吹いているかどうかを見定めることができるか

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