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人のことをリスペクト出来る人だけがリスペクトされる側の人間になれる

トヨタ自動車の元代表取締役社長、
豊田章男さんは時間が空くと
工場を訪問して、その中を
見て回ったり、休憩している
若い作業員たちと缶コーヒーを
飲みながら雑談する事があるそうです。

そこまでなら、
よくある話なのですが、
豊田章男さんは工場を出ると、
くるりと振り向いて、工場に向かって、
頭を下げて一礼するそうです。

会社で働く人たちのことを
心からリスペクトしているからこそ
出来る行為なんだと思います。
名指導者、名将と呼ばれる人たちには
相手のことをリスペクトしているという
共通点があるように思います。

名監督と呼ばれた
元プロ野球選手の野村克也氏は
『野村再生工場』と呼ばれ、
活躍出来なくなった
別チームの選手を獲得して、
大活躍する選手へと
次々に変貌させていきました。

野村氏は

『野村再生工場を
成功させる秘訣は何ですか?』

と質問されると
いつも、同じ返答だったそうです。

それは

『その選手に対する愛、そして情熱です』



経営の神様、
松下幸之助の元で働いていた
ある取締役だった方は

『この人のためなら
命を投げ出してもいい』


そう思っていたそうです。
人にそう思わせてしまうくらい、
人を惹きつける魅力ある
人だったんでしょうね。

僕は23歳の時に
米軍基地へ就職しました。

初出勤の時に上司から

『アメリカ人の女性ボスが
君と会って話がしたいと言っている
彼女のオフィスに行きなさい』


そう言われました。

ドアをノックして入ると、
そこには想像よりもはるかに
若くて、美しい白人女性が
座っていました。

彼女の名前は忘れもしない。

『ミセス・ジョーンズ』

5分くらいだったと思います。
これから、よろしくお願いします。
というような話をした記憶があります。

それから、数か月後、
ミセス・ジョーンズが
アメリカへ帰る事になりました。

そこで、30名ほどの人が参加して、
ランチ送別会が行われたんです。

和やかな雰囲気の中、
時間が過ぎていましたが、
最後にミセス・ジョーンズが
挨拶をはじめると彼女はすぐに号泣。

それにつられて、
もらい泣きする人が数名。

すると、突然、
ミセス・ジョーンズは
そこにいる日本人従業員の
名前を一人ひとり、
顔を見ながら呼び始めたんです。

まぁ、数名の親しい人、
直接、一緒に仕事を
していた人たちの名前を呼んで
終わるだろうと誰もが思っていました。

ところが、彼女は次々に
そこにいる人たちの名前を
呼び続けます。
呼ばれた人も驚いた様子でした。

僕は席の一番、後ろに
座っていました。

僕は初出勤の時に
5分程度しか話をしていないし、
あの日以来、一緒に
仕事もしていないし、
一度も会ってさえいない。

僕の名前なんか
覚えているはずがない。

常識的に考えて、
誰でもそう思うと思います。

僕だけ名前を覚えて
られていないのも何か嫌だなぁ。
そう思っていました。

そして、ついに来た僕の順番。
目を真っ赤にした
ミセス・ジョーンズが泣きながら、
僕の目を見て一言、言いました。

『ミスター、シンザト』

その瞬間、鳥肌が立って、
目頭が熱くなってしまいました。

異国の地で一緒に働く
30名の人の名前を正確に
覚えることが出来ます?

数か月前に5分しか会って
いない人の名前を
覚えていられますか?

その時に感じた感動、光景は
今も僕の頭の中に鮮明に
残っています。

よくよく考えたら、
ミセス・ジョーンズがやった事は、
ただ、みんなの名前を呼んだだけ。
でも、一緒に働く人たちに対しての
リスペクトがなければ、
絶対に出来ない事だと思います。

もう、30年くらい前の話です。

30年たった今でも
僕は彼女に心を
鷲づかみにされたままです。
僕の記憶から
一生、消える事はないと思います。

本当にすごいリーダーを
20代前半で目の当たりしました。
その出来事がその後の
僕の人生に大きな影響を
与え続けています。

『お客は神様です』
という言葉が
あまり好きじゃないです。

本来、お互いがお互いの事を
神様だと思い合っている状態が
理想なんだと思います。

仕事は価値の交換です。
お金を払う人が偉い。
そんな話ではないはずです。

僕の中で豊かな人生とは、
心からリスペクト
出来る人たちに囲まれて、
その人たちに必要と
され続けている状態です。

お客さんやフォロワーの
数の多さよりも、
お互いのことを
リスペクトし合えれる
一人の人との繋がりの方が
はるかに価値を感じます。

僕は元々、
団体行動がものすごく苦手です。

友だちもクライアントも
やみくもに増やしたいとは
思わないタイプの人間です。

心からリスペクト
出来る人たちと繋がって、
一緒に仕事したり、
くだらない話をしながら、
一緒に笑うことが出来れば、
僕はそれだけで十分、幸せです。

それが僕にとっての
成功の定義だったりします。

人のことをリスペクト出来る人だけが
リスペクトされる側の人間になれる。


そう思っています。

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