見出し画像

みんなでビッグモーターになろう!!〜神宮外苑再開発と街路樹について〜

車を売るならビッグモーター♫というCMソングでお馴染みの某中古車販売会社。大手損保会社も巻き込んだ一大騒動は終わる兆しが見えませんが、今回はそんな某社が除草剤を撒いて街路樹を枯らしていた件に関連して一つ言いたいと思います。

それは、街路樹が邪魔になる状況は往々にして発生し得るのではないか、ということです(それで勝手に除草剤を撒いて環境を整備するかは別として)。

例えばこれを見るべし。

名古屋市役所と愛知県庁

これは先日名古屋に行った際に言わずと知れた帝冠様式の名建築・名古屋市役所と愛知県庁を写したものですが、手前の市役所の方は街路樹があるおかげで塔以外は何も見えないですね…。名古屋市の河村たかし市長は、他人の金メダルを噛むなど意味不明な行動を取りがちですが、なんかリーダーシップはありそうなので、なんとかしてここの街路樹を伐採して欲しいものです。

そんなことをしたら環境に悪い、自然を大切にしろ、一体お前は何様なんだ、という声が飛んできそうですが、果たして街路樹はそれ程までに自然環境に貢献していると言えるのでしょうか。

結論から言えば、街路樹を植えれば環境に優しいかどうかは、微妙だと言わざるを得ません。Wikipediaで街路樹について調べてみると、3.5mのケヤキを植えてから約50年経過すれば植樹及び維持管理の際に発生する二酸化炭素を回収出来るとする国の研究成果が紹介されています(https://www.nilim.go.jp/lab/ddg/seika/nendopdf/801.pdf)。この植樹の際に発生する二酸化炭素量ですが、植樹帯の道路工事や土壌改良の分は含まれていません。えっ…それで良いんか。だったら元からある森林や緑地公園に植えた方が幾分かマシなのでは…と私は思いますが皆様は如何でしょうか。

本当に自然環境に貢献しているかどうかを見極めるポイントは、そこに生態系があるかどうかでしょう。例えば東京であれば、皇居や明治神宮は豊かな生態系を備えていることで知られています。これらは東京という都市にとって何物にも代え難い貴重な財産と言えますな。一方で、ここ最近再開発を巡って賛否両論が絶えない神宮外苑は、明らかに景観重視の植生です。これらの違いは上空から見れば一目瞭然です。仮に再開発で去就に迷う小動物が出てきたとしても、まもなく赤坂御用地や新宿御苑に移住先を見つけることでしょう。

緑豊かな明治神宮(神宮内苑)
同縮尺の神宮外苑。右が赤坂御用地、左上が新宿御苑

というわけで、神宮外苑の銀杏並木などは正にこれに当てはまる例ですが、街路樹は環境のためというより、景観保全のために植えられている側面が大きいと言えるのです。即ち、人間の自己満足に過ぎません。街路樹を植えて環境を守った気になっているのは実に愚かな人間中心主義的発想だと言わなくてはなりません。

今回の騒動の中で、敷地の外周に木を植えることを盛んに宣伝しているイオンモールにおいて、某社がその植栽帯の一部をコンクリートで固めていたことが発覚したりもしました。某社はもう論外として、イオンも大概偽善者なんですよね。農地を潰して自動車社会前提の巨大モールを建設した分の環境負荷を取り戻すなら、植栽帯どころでは済まないのは誰の目にも明らかです。

まぁ、大阪維新の会のように管理費をケチるためだけに伐採するのも、神宮外苑再開発反対派のように一本たりとも伐採を許さないのも、目的意識不在になりがちな日本人らしくて素晴らしいと思います。流石は中国戦線の膠着状態を打破するために対英米開戦した人々の子孫ですね。今日も木立の中を心地良い神風が吹いていきます。

所詮、「環境にやさしい」なんて言葉は全て偽善です(流石に陰謀とまでは言いませんが)。ガソリン車を電気自動車に替えたところで、その電気はどのようにして作っているのですか?石炭火力を太陽光発電に替えたところで、太陽光エネルギーは再生可能でも太陽光パネルは再生可能なのですか?20XX年までに二酸化炭素排出量をゼロにすれば気候変動は止められる!という声をよく耳にします。計算上そうなるというのは理解できますが、正直言って産業革命の段階で人類は後戻りできない死出の旅路についたも同然でしょう。

…なんだかキリスト教徒が終末論を語っているかのようになってしまいましたが、そんな時こそ、この歌を歌いましょう!

4年連続買取台数日本一!
高価買取…成立!
やっぱりビッグが一番!!
車を売るならビッグモーター♫


二度、三度と歌ううちに、気分も晴れやかになってくるものです。話を戻すと、だから私は、景観を阻害する街路樹は伐採すれば良いと思うのです。勿論、表参道や御堂筋のような街路樹が景観の一部となっている場合は徹底して保護すべきでしょう。神宮外苑再開発についても、外苑を民有地だということを知らないのかと思うほどの過激な意見には賛同し兼ねますが、新しく出来る施設が銀杏並木の生育に悪影響を与えるのではないかという点はもっともなので、三井不動産や明治神宮は然るべき対応をして欲しいと思います。

あるいは、美しくはないがこれと言ってさしたる特色もない街路樹は、ヒートアイランド現象を抑止するなどのミクロな効果があるでしょうから維持すれば良いと思います。伐採するにもまた費用や環境負荷が掛かるでしょうしね。だがしかし、名建築の前にある街路樹は伐っていこうではありませんか!ついでに電柱の地中化とかも頼むわ!

【このnoteのまとめ】
・街路樹の二酸化炭素排出量削減への効果はかなり薄いので、景観にそぐわない街路樹は伐採しませんか?
・街路樹はヒートアイランド現象などには効果があるかもしれないが、基本的に木は山林や公園に植えるべきだろう
・車を売るならビッグモーター以外が望ましい

以下、おまけの写真&関連記事あり

街路樹がなく、見通しが確保されている(日本橋)
一丁倫敦と言われた街並みも今や一瞬倫敦である(丸の内)

上の記事では「木を伐るなんて、国際的な潮流から外れてんだよ」的なことを主張している私ですが、決して今回の記事と矛盾する主張はしていない(はず)。結局のところ、都市の緑が一つあった時に、それが環境に寄与しているのか景観に寄与しているのかを間違えるな、ということですね。

ところで某社の店舗って郊外のロードサイドにあるけど、お前は都市部の話ばっかりしてなくない?と思ったあなた、非常に鋭い観点ですね。郊外については上の記事中に少し触れているのでご一読ください。また、神宮外苑とは似て非なるものではありますが、PFIについても記述がございます。

いただいたサポートは活動資金とします。よろしくお願いします