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書評:烏賀陽弘道『世界標準の戦争と平和』

世界標準の地政学と安全保障論を体系的に学ぶ

今回ご紹介するのは、烏賀陽弘道『世界標準の戦争と平和』という著作。

地政学という学問領域は、日本ではようやく最近注目を集めるようになったばかりと言えるかもしれない。

しかし欧米では、特に安全保障戦略の面で地政学的見地に立脚しない戦略が立てられることなど皆無と言っても過言ではないほどに、安全保障界隈では常識として君臨する領域だ。

私達日本も、少なくとも欧米の常識と会話のプロトコルを疎通させていくためにも、地政学的素養は身につけていかねばならないだろう。

そんな中本著は、著者が米コロンビア大学院で地政学を学術として体系的に学んでおり、入門書の位置付けの著作でありながら極めて汎用性の高い基礎を紹介してくれる、大変優れた良書である。

また、地政学という学問的基礎の紹介に留まらず、地政学的視座から現実の国際情勢、国際問題を見る具体的なケーススタディをいくつか紹介してくれている点も秀逸だ。

殊に日本安全保障論のケーススタディでは、日本及び周辺国の地政学的ファンダメンタルを考慮すれば、個々の問題の重要性、重大性の判断が可能、というような意見が示されており、安全保障上の重点を的確に捉えた問題設定をしていくための手引きになってくれることだろう。

地政学・安全保障論の和書としては相当な良書である。

読了難易度:★★☆☆☆
地政学の基礎学べる度:★★★★☆
ケーススタディ具体度:★★★★★
トータルオススメ度:★★★★★

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