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書評:佐伯啓思『大転換―脱成長社会へ』

イデオロギー論や文明論の地平から現代を読み解く広角的な言説

今回ご紹介するのは、佐伯啓思『大転換―脱成長社会へ』という著作。

2008年リーマンショックの頃の佐伯先生の著作なので今となってはやや古いと言えるかもしれない。

当時金融危機に関するする経済学者等の著作を数冊読み比べしたことがあったのだが、そんな中で是非紹介したいと思ったのか本著であった。

因みに、佐伯先生の著作には学生時代から随分とお世話になってきた。その特徴を一言で言えば、「広角的な言説」とでも言えるのではないかと考えている。

リーマンショック当時で言えば、他の経済学者が当面の金融危機を乗り越えるためにどうすべきか、今後日本が勝ち組になっていくには何が必要か、といった議論に汲々とする中、佐伯先生は常にイデオロギー論、文明論という地平から現代という時代を読み解き、そして将来を大望しようとチャレンジされておられた。

本著は今でも全く色褪せることのない著作だと信じている。

本著に限って言えば、小冊子のような淡白な著作であったため、論証はどうしても浅く、またナイーブな側面も多々見受けられたことは否定できない。

しかし、時代を大局的に捉えるヒント以上のものを十分に与えてくれる貴重な著作でもあるのだ。

経済政策のような短期的施策のみを取り扱うする著作に飽き足らない人にはオススメである。

読了難易度:★★☆☆☆
時代俯瞰度:★★★★☆
大局把握度:★★★★☆
トータルオススメ度:★★★☆☆(←やや古い著作のため)

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