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書評:図解雑学シリーズ「IT基礎」分野

ITの基礎の基礎を学んだ著作達

今回は、ビジネス書ではないのだが、私が職業柄特に若い頃に学ぶ必要があった、ITの基礎を学んだ際にお世話になった著作達をご紹介したい。

今回取り上げるのは、『図解雑学シリーズ』にいくつか存在するコンピュータおよびコンピューティングの技術的仕組みを解説した著作達。

私が社会人になったのは2002年のことであったが、当時はまだ私の感覚だと「パソコンを持っていて当たり前」という時代ではなかったように思う。

かく言う私は、大学卒業の半年前に初めてWindows 98のパソコンを購入したのであるが、何ら操作らしい操作も覚えずネットサーフィンを少々嗜んでいた程度であった。

言わばパソコンに関してはほぼ素人で、社会人になったばかりの頃は『Word』や『Excel』のアイコンすら知らず、起動させることすらできなかった。

そんな素人が会社の新人研修で取り組まねばならなかったのは、『Java』ベースのプログラミング。

より具体的には、

◯『HTML』と『JavaScript』によるUI構築
◯『Java』によるビジネスロジック構築
◯『Access』によるデータベース構築
◯『SQL』によるデータベースアクセス構築
◯『Tomcat』によるWebアプリケーションサーバ構築

これらを組み合わせ、簡易なショッピングサイトを構築するというのが、新人研修で行われた技術トレーニングの内容であった。

どの言葉も全く聞いたことのないものばかり。
理解できる要素が文字通り1つもない、雲を掴むようなトレーニング内容だった。

会社から貸与された参考書は『やさしいJava』というJavaプログラミングの基礎の基礎の書籍のみで、これだけだとJavaの最低限の文法は身につけられるも、トレーニングの全体像を掴むことはできない。

そういう状況だったため、コンピュータの基礎の基礎から学ぶ必要があったのが当時の私であった。

まずはコンピュータの基本的なアーキテクチャである「CPU、メモリ、ハードディスク」という、いわゆるノイマン型コンピュータの仕組みから学んだ。

※余談だが、ここでCPUの仕組みがトランジスタとその集積回路であることを学んだことは、その後半導体業界のクライアント企業とお仕事をした際に大いに役立った。

また、コンピュータが電気信号のオンとオフという情報によって処理を司どるという仕組みについては、文字コードの仕組みを学ぶことで理解できるようになった。

※こちらも余談だが、これが理解できることで、何故初期のドラクエの「つよさ」などのステータスのMAX値が「255」であったのかが理解できたり(1バイト=8ビットを2進数で捉えると0〜255の256種)、昔のExcelの最大行数が65,536行であった理由が理解できたり(2バイト=16ビットによる2進数表記は10進数における256×256=65,536)、コンピュータの「何故?」がクリアになっていく。

※また文字コードを入念に理解したことは、後の仕事で「住所コード」を取り扱った際に、いわゆる「外字」の取り扱い方法を設計するための基礎ともなった。

ネットワーク技術についても、「OSI参照モデル」から1つずつ丁寧に勉強し、「TCP/IP」の仕組みを理解した。

※更に余談だが、ネットワークの基本的な技術を学んだことは、後に無線LANの安全管理基準を策定する仕事に携わった際に大いに役に立った。

また、今回ご紹介の著作達は「コンピュータの基礎技術」に係るものであるが、『Java』を始めとしたプログラミング言語はトレーニングおよびその後の実務を通して死ぬほど学び、実践した。

このようにコンピュータの仕組みを丁寧に学んだことは、コンピュータにできることとできないことに対する論理的な判断の基礎となっている。

特にビジネスにおいては、コンピューティングに任せることができる領域、任せることができない領域、そして何よりも重要な「任せるわけにはいかない領域」に対する判断力が研ぎ澄まされる。

また直近でも大企業のコンピュータトラブルの事件があったが、こうした事件の背景にある技術的な原因の予想と平時に取られるべきであった予防的処置や安全対策についても予想がつくようになる。

またこれから本格化するAI時代の到来に対しても、基本的なコンピューティングの仕組みを知ることで、AIにできることできないことに対する「技術的な見解」を持つことができるだろう。
コンピュータがコンピュータであるが故の制約は必ずあり、過度に恐れる必要はない。

こうしたコンピュータの基礎技術については、今では『コンピュータはなぜ動くのか』(日経BP社)をはじめとした一連のシリーズで大変素晴らしい著作が発刊されている。

エンジニアリングやITコンサルに携わる方にとってはより学びやすい良書と出会える時代になったと思う。

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