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書評:『グロービス経営大学院MBAシリーズ』


ビジネスの全般を体系的に学べる本格的なビジネス書

今回ご紹介するのは、『グロービス経営大学院MBAシリーズ』というビジネス書。

経営大学院(MBA)においては一般に、経営という営みが多かれ少なかれ必ず働かせねばならない基本的な機能(ファンクション)が、それぞれ1つの基礎科目と位置付けられ、履修される。

そして各機能(科目)では、当該機能に係る5W1Hを学ぶことになる。
5Wで概念とその意味を正確に捉え、1Hを通して実践における活用方法を数多の事例を基礎としたケーススタディで体得していくことが目指される。

ビジネスマンが、もし自身が身をおく企業等の活動を本当に理解し、ゆくゆくにおいてその総力を活かし切っていくためには、単に俯瞰で概要を捉えるに止まらず、誰が何にどう関わっているのか、どのようなインプットからどのようなアウトプットを生成するプロセスであるのか(内容)、それはどのようになされるのか(方法)等、具体的に具体的に、当該企業の全機能を理解する必要があるだろう。

そうした必要性と目的において、本シリーズはビジネスにおける基本的な機能を網羅するとともに、当該機能に対する学術的概念化の成果と、多くの有益な事例の研究とケーススタディを備えている。

言わば本シリーズは、

◯ビジネスとは何か
◯ビジネスにおいては何がなされるべきか
◯ビジネスはどのように営まれるべきか

の体系、型であり、ビジネスを知る上でその精度の高さにおいては右に出る日本の著作シリーズはないと言ってもよいのではないかと思われる。

私自身は職務上、クライアント企業の問題解決を支援する職業に従事してきたことから、企業なる組織のあらゆる機能に対して、その目的と手段のベストプラクティスを自身の知的「型」として保持し、それに照らし合わせる形で個別具体的なクライアント企業の機能の課題・問題を特定し、それらの解決を支援する必要があった。

このような私自身の職責を果たしていく上でも、本シリーズは最良の手引書の1つとなってくれている。

ここからは私の個人的体験になるが、特に私自身の実務においては、『MBAマネジメントブック』と『MBAオペレーション戦略』の2冊には大変にお世話になった。
(写真左の2冊)

『MBAマネジメントブック』は、経営管理における管理対象と管理手法を網羅する著作。
経営における管理とは、経営上の各機能のパフォーマンスとその成果を管理することである。
そのためこの1冊を読み込むことで、経営における機能を俯瞰することができることになる。
言わば、経営を知る上での入り口(まずは全体像を捉える)に位置する著作という意味で、有益であった。

『MBAオペレーション戦略』は、経営における基幹業務、即ちプロフィット機能として企業が担うバリューチェーン業務の構築とその実践を司どる著作だ。
企業は、基幹業務においてこそ何よりも企業のミッション・ビジョンの実現に合致し、競合との差別化を図ることで、競争アリーナである市場において戦っていくための基盤を固めることができる。

私は、経営や仕事における「感や経験」に基づく判断を些かも否定するものではない。
むしろ最後に競合との勝敗を決める重要なファクターであるとすら思っている。

しかし、全てが「感や経験」である必要はない。
企業が大きくなり、人材の流動化も進めば、人依存・属人化した営みを廃し、良いやり方にならって機能・業務の仕組みを構築することが、結果として「感や経験」も含めたあらゆる知恵の総動員が求められる高度な判断に対しリソースを集中することも可能になるのではないかと思う。

企業の経営に従事するビジネスマン、または企業の経営を支援するビジネスマンには、是非オススメしたいシリーズだ。

読了難易度:★★★★☆(←シリーズ全体だとボリューム大)
必要なところから読める度:★★★★★
内容の新しさ:★★★☆☆(←但し改訂は随時行われている)
トータルオススメ度:★★★★☆

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