見出し画像

感覚を際立たせる

大切にしていることの一つ、『感覚を際立たせる』

感覚を際立たせるのは、ハンドリングを行う時も気を付けているのですが、そんなマニアックなことじゃなく、コミュニケーションをとる時も感覚を際立たせるって重要だなと思うことがあったので書いてみます。

視覚・聴覚・触覚を分ける

今日、5年目の先輩PTさんと利用者さんの同行をしてきました。(僕は新入りなので基本見学です)
ほぼ寝たきりの利用者さん。

寝たきりの方の多くは、感覚刺激に慣れてないんですね。
感覚を閉ざしているというか、感覚を受け取る必要がない時間が長いのでそうなっちゃうんです。

先輩PTさんはお部屋に入るなり挨拶し、体調を伺い、バイタルを取る。

別に何の問題もない・・・ように見える。

でも、ですよ。利用者さんの表情が徐々に強張ってきて、仮面のような機械のような感じになっていくんです。病院に入院したての患者さんのような表情とも言える、あの感じに。

あまり脳が良い状態に向かわなそうなので、隙を見てコミュニケーションを図る僕。

_______________________________

利用者さんの見える位置に僕の顔を見せる。

(目が合う)

そこで初めて自己紹介。「初めまして、リハビリのshinyaです。」

名刺をお渡しする。

(しばし名刺を眺める)

「これからたまに来ると思うのでよろしくお願いします。ニコッ☆」

(笑顔で頷く・・・名刺を置く場所を探すような仕草)

渡した名刺を返してもらう。

「名刺はこちらに置いときますね」

_______________________________

別になんてことない、自己紹介。

だけど、強張っていた表情がが緩んで、患者の顔から人間の顔へ。

たったこれだけ。

これだけのコミュニケーションで明らかに脳の活動が変化するんです。

----- 分解すると -----

顔を見せる = 視覚

自己紹介  = 聴覚

名刺を渡す = 触覚

名刺を眺める= 視覚

名刺を返す = 触覚

ここに置いときますね = 聴覚

-----------------

この感覚を際立たせるだけで、その後も良いコミュニケーション・良いリハビリが提供できる確率がグッと高まる
そう考えると多少時間はかかっても、この利用者さんには必要な時間。
言ってみればこのやり取り自体も治療と言えると思います。

もちろん脳の状態によりますので、通常の利用者さんにこのペースで自己紹介したら「バカにしてんのか!」と思われるので、そこはケースバイケースですが・・・

本当に導入で失敗しているセラピストさんは、前の病院に勤務していた時もたくさんいたので、本当に勿体ないなぁと思うのです。

という僕も、たぶん昔は出来ていなかったと思うので、全然偉そうなこと言えませんが、こんなことが分かるくらいには成長出来ているようです。

それではまたっ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?