ベルマーレが目指すべきは、“シモーネ・インテル風サッカー” 浦和戦で露呈したビルドアップの課題
浦和のパスワークを止められず
3月6日に行われた明治安田生命J1リーグの第3節で、浦和レッズに0-2で敗れた湘南ベルマーレ。
[3-1-4-2]の布陣を基調とするプレッシングとビルドアップが機能せず、攻守両面において不完全燃焼に終わった。
キックオフ直後から、瀬川祐輔と町野修斗の2トップが浦和の2センターバックに対してハイプレスを敢行。浦和の両サイドバック、酒井宏樹と大畑歩夢には平岡大陽と茨田陽生がアプローチし、敵陣でのボール奪取を試みた。
湘南の守備隊形やプレッシングの段取りを見抜いた浦和陣営は、マイボール時にアレクサンダー・ショルツと岩波拓也の2センターバックが両サイドに開くことで、湘南の2トップがアプローチしにくい状況を作ることに成功。湘南を守勢に追いやった。
ボールの奪いどころを定めきれず、守備隊形が曖昧になった湘南は、16分にインサイドハーフの茨田と右センターバックの舘幸希の間を江坂任に突かれ、チャンスメイクを許す形に。江坂の先制ゴールは、この直後の大畑のクロスから生まれている。
ハイプレスが機能しない場合の“第2プラン”がなかった湘南。今後は状況に応じて布陣を[3-4-2-1]に変え、アンカーの田中聡の両脇のスペースを埋めるなどの対応が必要になってくるだろう。
“手詰まり感”のあるビルドアップは今節も
湘南は54%のボール支配率を記録しながら、枠内シュート0本でこの試合を終えることに。3バックを起点とする遅攻は、この日も機能不全に陥っていた(数値はデータサイト『SofaScore』より)。
浦和の守備を崩せなかった要因は、大きく分けて二つある。
一つ目は、右センターバックの舘と左センターバックの山本脩斗のコンビによるパス交換がほぼ無く、浦和の守備隊形を横に揺さぶれなかったこと。
第1節の柏レイソル戦と同じく、最終ラインで漫然とショートパスを繋いでは、相手のハイプレスを浴びるという場面が多かった。
山本から舘、もしくはこの逆のパス交換で浦和のハイプレスをいなし、そのうえでパスを受けたセンターバックがボールを前方に運べていれば、この試合の展開は変わっていただろう。今後、湘南が突き詰めるべき攻撃パターンの一つだ。
二つ目は、最終ラインの面々がボールを保持した際の、茨田と平岡によるサポートが足りなかったこと。
ビルドアップの際に2インサイドハーフが自陣へ降り、相手のボランチを釣り出す。この瞬間に2インサイドハーフが最終ラインからの縦パスをワンタッチで叩き、味方にボールを渡すことができれば、チャンスに繋がる。
浦和戦では2インサイドハーフによるこの動きが少なく、故に最終ラインの面々が苦し紛れのロングパスや、ウイングバックへの横パスを送る場面が散見された。
同じく[3-1-4-2]の布陣を採用しているイタリア・セリエAの強豪インテルは、ビルドアップの際にニコロ・バレッラとハカン・チャルハノールの2インサイドハーフが適宜自陣後方へ降り、ワンタッチでパスを叩くことで相手のハイプレスを無力化している。
ベルマーレがロールモデルにすべきは、智将シモーネ・インザーギ擁する同クラブのビルドアップなのかもしれない。
画像:TACTICALista(https://tacticalista.com/)で作成
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