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資生堂の6年分の決算からみた今後の化粧品ブランドのあり方(2021/2/9発表の最新決算情報もあり)

こんにちは。
日中のデジタルマーケティング事業を展開しているmeyco株式会社の代表 山本(通称:やましん)です。
私は仕事柄、化粧品企業をはじめとするECのプロモーションをさせていただくことが多いのですがその中でもよくある質問として「中国市場どうなの、いけるの?」という質問を多く受けます。

もちろん、いけるいけないで考えると各企業様の状況に応じて様々であると同時に、その進出方法に関しても目指す規模によってやり方も様々です。
今回は「日本企業の中国進出といえば!?」と聞くと真っ先に出てきそうな資生堂の決算を元にその「進出可能性や進出〜成功に至るまで」を紐解いていければと思います。
ちょうど昨日(2021/2/10時点)に決算が出ていたので今後の方向性なども私の解釈と共にお伝えいたします^^

資生堂とは?

日本初の世界で活躍するグローバル化粧品会社です。過去、皆も知っているような有名な商品を数多く生み出しております。

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直近の決算ではコロナ影響が大きく、減収減益となっていました。そんな中、アジアを中心としたグローバルでの成長は大きく、中国市場でも売り上げを伸ばしています。(添付:中国市場での売上/営業利益推移)

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こちらは資生堂の中国市場での売上と営業利益のグラフです。2017年度以降グングンと売り上げを伸ばしており、直近を除いて平均して年次20%ほどの成長率を保っております。また、利益率に関しても2017~2018年度に大きく改善しており、中国市場における資生堂内での売り上げ及び利益シェアも拡大しております。

また、中国市場での売り上げ拡大に伴って、資生堂グループ全体の中での中国売り上げ比率は14%ほどから約20%ほどにまで引き上がっております。グループ全体として伸長している中で比率を増やしているということは中国市場がその中でも成長しているということですね。また、直近の決算でも日本市場は減収減益の中、増収していることもあり、今期に関しては全体売り上げの25%以上を占める市場となっております。(添付:中国市場とその他市場での売り上げ比較)

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また、資生堂には下記のジャンルがあります。商品ジャンル別での売り上げ推移を見てみましょう。

①プレステージ・・・デパートや化粧品専門店などでカウンセリングを通じて販売している、高価格帯化粧品やフレグランス。
②コスメティクス・・・ドラッグストアや量販店を中心に、お客さまに自由に選んでいただく中価格帯の化粧品。市場・ブランド・チャネルの特性に応じてカウンセリングも行う。
③パーソナルケア・・・ドラッグストアや量販店を中心に展開。
低価格帯のスキンケア、シャンプーなどのヘアケア、ボディケア商品。
※ブランド別のより詳しい内訳はこちら

まずは日本市場です。

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日本市場では、コスメティクス分野が一番の売上となっております。圧倒的なブランド認知とポジションがあることから売上規模に関しては圧巻ですが直近の成長率に関しては横ばいという形になっております。また、コロナの影響を受け、今回は大きな減収となっております。

次に中国市場です。

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中国市場に関してはデータが2017年度以降しかありませんが着実に成長しております。また、日本市場との違いとしては2018年度以降、プレステージ分野の成長が著しく、冒頭で述べた高利益率の体質に変更させられたのもここの影響が大きいと思われます。(添付:プレステージ商品一覧)

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また、直近でも資生堂から出たニュースで下記のようなものもありましたね。(日経より引用)

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ここにもあるように資生堂としては過去の経験を踏まえ、「売上を伸ばし、利益を担保する」といった視点からこのような戦略を取っていると思われます。また、今後グローバル売上比率を上げたい、といったメッセージは決算にも現れており、今後の日本の人口減少などを鑑みた上で海外比率を上げていくことを目指しております。

また、余談にはなりますが2019年時点での資生堂の売上に対するマーケティング比率は約16%ほどみたいですね。2017年度以降、戦略変更もあってか売上に対するマーケティング比率、効率の改善がみられます。

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また、今回の方針でも発表しておりましたが中国市場でのデジタル投資を大幅に行なっており、デジタル媒体だけでも+20%程の投資を推進しております。より、力を入れていきたいというメッセージが分かりますね。

今後の化粧品ブランドのあり方

今回実施した、資生堂の決算の読み解き内容はもちろん、私のこれまでの経験も含めた上での解釈も含めて今後の化粧品ブランドのあり方に関しての私の考えた大切だと感じることを記述させていただきます。

①高付加価値商材の販売

日本でもD2Cをはじめとして2020年にも数多くのブランドが新規展開されました。しかし、もちろん全ての商品が売れるわけではなく、熾烈な競争が進んでおります。その中ではまず確実に「値段訴求」のものは勝ち残れません。となると、何で差を作るのか。商品の特徴や明確な競合優位に関してはもちろんだと思いますが何よりも「ブランド戦略」が非常に重要になると考えております。SNSが進歩し、「あの子が使っているから」「SNSで今話題だから」などの情報があり溢れている中で「使ってみたいな」と思われるブランド力をつけなければ長期的な未来はないと考えます。

②グローバル前提での販売網の確保

日本市場に関してはここから先、成長アジア諸国と比較した時にそこまで大きな市場成長は見込めないと考えております。その中でトップラインをどんどん上げていく上で成長市場である他のアジア諸国への販売は必須戦略だと考えます。私が実施している中国市場はもちろん、他のアジア諸国の購買力も年々上昇してきております。直近、GDPをみてもアジア諸国が欧米諸国に追いつきつつある現状もあります。今後、リソースを張るとしたら間違いなくここ(アジア成長市場)になると思います。(日経より引用)

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③マーケティング費用の選択と集中

化粧品事業を大きくしていくにあたってマーケティングコストはほぼ確実にかかります。ブランド費用から獲得系施策コストなどかかるコストは様々です。その中でも「いかに安く抑えれるところは安く抑えて一点集中で費用をかける」ことが重要な施策だと考えます。もし、どこかのマーケティング担当者の方がこの記事をお読みくださっていれば一度、貴社のマーケティングにかかっている費用全てを思い描いてください。たった1%のコストカットをはじめとする愚直な努力が内部留保を増やし、それにより新規投資ができる、このPDCAを続けることが大事だと思います。

最後に

今回は資生堂の決算を参考に化粧品事業のビジネスモデル分解から業界の雄の中長期戦略を元に「今後の化粧品ブランドのあり方」を記載させていただきましたが、やはりマーケティングの肝は「P:Product(商品)」になると最近すごく感じます。

弊社は「P:Promotion(購買促進)」をサポートさせていただく機会が多いのですが、プロモーションだけでできる範囲も決まっております。また、それだけでは確実にうまくいきません。「P:Price(値決め)」や「P:Place(流通)」の要素も含め、包括的に実施することが大事だな、と改めて感じます。

また、このあたりのお話などいろいろな方としたいので少しでもご興味のある方はDMなどお気軽にいただければ嬉しいです^^

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皆さま、今後ともよろしくお願いいたします!^^

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