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サービス業におけるホスピタリティ

今回は、私が最近受けたホスピタリティに感銘を受けて触発されたことにより、ホスピタリティについて文献(古閑 博美著 「ホスピタリティ概論」(学分社 2003年))を利用して、ホスピタリティの纏めてみました。

その私が感銘を受けた初対面で受けたホスピタリティとは、相手(私)を限られた時間の中でどうすれば楽しいと思わせる時間を過ごしてもらえるか相手の微かな言動や行動を察して、更に気分良く過ごしてもらうための提案を行う・気遣うことを感じ取れたことでした。

この相手の立場に立ってもてなす精神は、サービス業である税理士業の根底にあるはずで、顧問先のクライアントとの会話から察して、どの様な税務・財務コンサルティングを行えばクライアントが喜ぶかというスピリットで考えて行動を起こすことが大切ではないでしょうか。

たとえ、そのコンサルティングが顕著に結果に表れなかったとしても、クライアントの為に誠意を尽くした行動に気づいてもらえれば、クライアントはあなたをより尊い存在として格上げして、信頼することでしょう。

① ホスピタリティのルーツ

ホスピタリティは、「他者をあたたかく迎えもてなす」意のことばとして知られています。もてなす行為は、相手を受け入れることであり、引き受けたり迎え入れたりすることから始まります。

その語源は、ラテン語のhospes(客、客をもてなす主人、旅人、異邦人)に由来し、その派生語であるhospitalisは、交通機関や旅館等が整備されておらず、危険と隣り合わせになりながら巡礼する異邦人を歓待することを意味しました。

新約聖書では、そのもてなしは、対象を差別することなく「自分を愛するように他者を愛する」行為の表れとして示唆され、「神と隣人を愛せよ」というユダヤ・キリスト教の倫理が根底としています。

旅人を手厚く保護することから出発したホスピタリティの精神は、隣人愛と相まって、あらゆる場面で生かされます。

つまり、ホスピタリティは人同士の出会いのなかで起こるふれあい行動(人が人を人として視野に入れ、人として遇する行為)であり、発展的人間関係を創造する行為と言えるのではないでしょうか。

②ホスピタリティによるサービス

通常サービスというのは、相手にみえる(わかる)形で提供するのが望ましいとされ、その為のマニュアルは、あくまでサービスのスタートラインに立つための手引(書)であり、そこに示されていることは出来て当たり前のこととなる。

心地の良いサービスとは、①かゆいところに手が届く、②過剰かつ無意味な働きかけをしない、それを実現するにはマニュアルに沿ったサービスにとどまることなく、上記で述べた心からのもてなしであるホスピタリティ・スピリット(他者に尽力する精神)を欠かすことはできないでしょう。

③多様性を受容するホスピタリティ

そもそも人同士の出会いにおいて、人の心は他者に対して最初から開かれているとの前提には無理があります。見知らぬ人や文化や外見が異なる人に出会った際、人は身構えたり、不安を感じて距離したりするなどの排他的行為により、心身の距離を置く傾向があるものです。

慣れ親しんだ慣習や行為以外のものに出会うと、敏感に識別する能力を自然と発揮している、それは自文化中心的見方言われる態度です。

その態度は2通りあり、1つは興味や関心等が前向きで肯定的な意識や態度に結びつくもの。もう1つは、戸惑いや偏見、差別など否定的な意識や態度として表れます。

今日で、差別やいじめ、宗教的迫害等が発生する根本的な原因としては、後者の態度が根強いことから、平和で安全な社会の構築の実現がこれだけ文明が発達した世の中であっても解決には程遠いのです。

便利な機材や用具の開発と発明が快適なホスピタリティの実現に貢献していることは疑う余地はないですが、ホスピタリティは人の行為に基づくものなので、その理念と共に行為する個々人の意思や感情の動きを切り離すことはできません。

解決するのは、相手をありのままに受け止めて理解しようとするあゆみ寄りとその精神が大切である。それは、相手の身になって考えたり感じたりする意識を磨き、この行為を活発にすること、ホスピタリティ・スピリッツを持って行動することができれば、社会の平和につながるはずです。


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