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親になって、2人の親を亡くして、そして医療AIスタートアップに入った話

はじめまして!
Ubie/Ubie Customer Science(以下UCS)のMossanです。
現在は医療機関様向けSaaS「AI問診ユビー」の営業マネジャーをしています。

昨年7月、UCSにjoinする前に有給消化で1ケ月家族と過ごしていた際に、自身の節目ということもあり、今回の転職経緯を書きました。
が、仕事が楽し過ぎて、夢中になってしまい、
すっかり発信することを忘れていました(笑)

入社して過ごした時間も追記して、 10ヶ月超しの入社エントリにしたいと思います。

是非、こんな方に読んで頂けたら嬉しいなと思っています。

・働く目的の再設定を考えている方
・未開マーケットを切り開いていく志向性をお持ちの方
・Ubieに興味を持って頂いている全ての方

自己紹介

改めて、Mossanです。
これまでの職歴は下記の通りですが
基本的に営業関連の仕事をしてきており、 Ubieで3社目になります。


日系大手企業(2010~2012)
・新卒で大手企業に約3年在籍
・法人/官公庁相手に法人営業

組織人事系コンサル(2013~2020)

・組織創りから顧客の経営を強くしたいと思い、転職
・ビジネスパーソンとしての基礎(スキル/スタンス)を
 学ばせてもらった企業で、今も大好きな会社
・ 組織コンサル、採用担当などやり、
  最後はグループ会社の経営ボードとして事業推進

親になった2週間後に親を看取った

2019年1月30日、第一子となる娘が生まれてきてくれました。
陣痛が始まってから、テニスボールで妻をフォローすること約13時間。
(※フォローによって重度の腱鞘炎を患う、完治1週間)
生まれてきてくれた瞬間の気持ちは形容し難いですが、本当に嬉しかったです。

娘が生まれた翌日に両親が見舞いにきて、ひどく喜んでくれたのですが、この時は、これが親父との最後の会話になることは全く予想しておりませんでした。

娘が生まれて約10日後、兄貴から電話がかかってきました。それは親父が倒れ、意識不明のまま入院していることを知らせる内容。
詳細がわからず、とにかく状態を見てみようと翌日に見舞いに行ったのですが、既に親父とは全く意思疎通がとれず、とても不安を感じました。

実は現在も明確な死因はつかみきれていない点あるのですが
・脳内出血をしていた
・胃がんや糖尿病、肝硬変など多くの病気を抱えていた
・上記これまでの病歴を鑑みると手術による治療は難しそう

といったことを聞き、どうすれば良いのかわからないという感情が強烈に芽生えました。

結果的には娘が生まれてからわずか2週間後の深夜に、おふくろ、兄貴、姉貴、私の一家4人で看取ることになりました。
本当に、本当に久しぶりに親父の手を握りました。

『孝行のしたい時分に親はなし』とは良く言ったもので子供目線では親父にできた親孝行なんてなかったと振り返りましたが、おふくろから
「父さんは××ちゃんが生まれるのをずっと心待ちにしていたんだよ。
 早く会いたいな~って何度も言っていたんだよ」という話を聞き、生誕を心待ちにしていた娘の顔を見せることができたことは自分にとっての唯一の親孝行でした。

義母の闘病生活 

親父が亡くなり49日も終わったタイミングで
残念なことに、また悲しい知らせが入ってきました。
それは義母が胃がんにかかっているというものでした。胃がんは(ステージによっては)がんの中でも比較的、治療可能性の高いものなのですが義母は特殊なスキルス性胃がんにかかっていました。
既に発覚した段階でステージ4、現時点の技術では治癒が限りなく難しい状態でした。

義母には本当に可愛がってもらっていました。
数えきれないくらい一緒に食事に出かけ、映画を一緒に見て、旅行して。

気丈に、気さくに振る舞う義母、そんな義母を元気づける為にこれまた気丈に、気さくに、気楽そうに振る舞う妻を見ながら、何かできないかと、すがる想いで情報収集をしていました。

スキルス性胃がんになった患者さんのブログを100名以上は拝見し、(英語はほとんどできないながら)情報収集で海外の論文も見ましたが、同様のケースで完治した例は見当たらず、有効な手立てもみつかりませんでした。

そこから、自分にできることは一回でも多く、一瞬でも長く、幸せを感じてもらうことだと思い、週末は娘を連れて、義父や妻と一緒にお見舞いにいくのが習慣になっていました。
義母は娘を見ると、本当に喜んでくれました。
自身が大変な中でも冗談を言って、いつも大きく笑いかけてくれて、最後には「きちんとご飯食べれてる?」とこちらの心配までしてくれて。
お見舞いに行ってるのに、こちらが元気をもらっていました。

もしかしたら、もしかしたら奇跡が起きて、治るのではないか?
そんな希望すら抱いてしまうくらい、義母は明るく、気丈に振舞っていました。

しかし病魔は確実に義母の体を蝕んでいました。
義母が体調を崩しているという知らせを聞き、
仕事のアポ帰りに自分一人でお見舞いに行った際、
病室からは普段とは違う悲痛な声が聞こえてきました。
直観的に「今、病室に入るべきではない」と感じ、少し時間をおいてから病室に入ると、義母はいつも通りに笑って迎えてくれました。
ただいつもと違ったのは、力を振り絞って
自分に感謝の想いと今後の申し送りをしてくれた事。

ここで泣いては絶対にダメだと思って、義母の話を聞きながら、思いっきり足をつねっていたのですが
それでも涙をとめることはできませんでした。
その日の深夜に逝去しました。
ガンが発覚してから約3ヶ月後のことでした。

今の世界には手軽に自身の健康状態や病状にたどりつけるインフラはない

鷲田清一という哲学者の言葉を借りれば
「生と死は文字上では対義語だが、現実では生の中に死が孕んでいる」
まさに、いつだって、誰にだって、どこでだって死の可能性が孕まれていることを実感しました。

よくCMなどで『まさか自分がガンになるなんて…』といったフレーズがありますがここ十数年、日本人の死因の第1位はガンであり(*1)、粗く
確率だけ見れば、生涯で2人に1人はガンになると言われています(*2)。
今後の人生100年時代を見据えると逆にガンにかからないほうが珍しいくらいかもしれません。

そんな事実を少なくとも自分は全く知らなかったため、親父や義母のことをきっかけに
"そもそも、何故手遅れになってしまうのか?"
"どうしたら、手遅れになることを防げるのか"
ということを調べていきました。

最初は病院に問題があるのかと思っていたのですが
もちろん全くのお門違いで、かつそんなに単純な話ではありませんでした。

プロセスは長くなるため割愛しますが、自分なりに調べ、辿り着いたのは
"今の世界には手軽に自身の健康状態や病状にたどりつけるインフラはない"という課題です。

皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
「少し体調が悪いな」と感じても仕事を優先する。
「まあ、すぐに病院に行くほどではないかな」と後回しにする。

結果的に予兆を逃してしまい、気づいた頃には重症化しているケースも少なくありません。

図1

この見逃しを低減させていきたい。
医療におけるユビキタス社会の実現に向けられる会社やサービスはないか、
探している中で、知人を通じて、本当にたまたまUbieに出会いました。

掲げているビジョンに共感する企業は数社ありましたが
その中でも

・裏打ちされた事業戦略があると感じた点(マネタイズやスケールに向けたシナリオ)
・日本初のサービス、未開マーケットでアンラーンの機会が多そうな点
・これから組織を創り上げていくフェーズで、関与レベルが高いと感じた点
・社員の人材レベルが高く、周囲から学びを得て自身のレバレッジを高められる点

を感じて、Ubieへの入社を決めました。

UCSでの仕事に関して詳しくはこのあたりにまとめてあります。

・ARR10億を実現する営業/マーケ組織拡大への7STEP〜ARR10億の記事
・GritがもたらしたUbie Customer Science(UCS)への信頼――一人のセールスが病院決裁者の相談相手になるまでGRITの記事

約10カ月働いてみて

医療機関様向けSaaSである「AI問診ユビー」の営業をする中で、喜ばしい瞬間は数多くあるのですが、その一つに医療機関様から強いご期待や応援を頂く瞬間があります。

とても印象的だったお客様がいらっしゃいます。ある島の病院長で、40年以上にわたって医師としてご経験を積まれてきた方でした。

商談を始めた段階では、
「AIなんかに患者のことは任せられないよ。単に身体を診れば良い訳じゃないんだ」
という反応でしたが、、院長先生がそう思うに至った背景や、これまで医師として大切にされてきた事、今の課題などを聞かせて頂く中で院長先生がずっと感じられていた医療現場での大変な状況を伺うことができました。

それは、病院から外に出れば、スマホを通じてAmazonで自由に買い物ができ、Youtubeで自由に映像を楽しめ、Uberで食事もとれる程に自由である一方で病院ではまだ多くのことが(制約があるものも多く)アナログに対応せざるを得ない状況であるということ。

院長先生はこの状況を解消すべく、これまで多くの企業やサービスに期待をもって投資されてきたそうなのですが、期待した効果は出ず、むしろ現場に混乱を招くことのほうが多かったようです。それでも、AI問診が少しだけ気になり話を聞いてみようと思ったとのこと。その話を聞いた私は

・自分たちが何故このサービスを創り出したか?
・自分たちが今後、病院の課題解決に限らず、中長期的にその枠組みを
 超え、地域社会や今後の医療へどのような貢献を目指しているのか?

などを、できる限り丁寧にお話させて頂きました。
商談後、院長先生からあるメールを頂きました。

そこには、島を訪ねてくれたお礼と共に、AI問診に可能性を感じ、
医療現場の状況を変えるべく、まず自分たちの町でチャレンジみたいという前向きな言葉が綴られていました。

こういったご期待を頂くことは本当に身が引き締まります。この病院様にはAI問診を導入頂き、現在もご活用頂いています。
しかし、売って終わりではなく、病院で導入の効果がしっかりと出るまで、そしてもっと先を言えば、院長先生がお話しされた医療現場全体の大変な状況を真に支える存在として「本物」になれるよう、努めていかなくてはいけないととみに感じます。

最後に

自分が長々と書いた入社理由や目指している世界が
具体的にどんな階段を設けて登ろうとしているのかの詳細について、気になる方はぜひお気軽にDM頂ければと思います。

Hello, healthy world.
テクノロジーで人々を適切な医療へ案内する。

Ubieのビジョン、ミッションです。
私達は健康が空気や水のように自然なものになった世界を目指しています。

ビジョン

図2

誰もが医療情報へアクセスでき、手遅れになる人がいなくなる世界に少しでもご興味持って頂けた方は、ぜひ遊びにきてください!

Ubie Customer Science HP
Ubie Customer Scienceオンライン会社説明会(毎週水曜19:00開催)

長文をご覧頂き、本当にありがとうございました!
少しでもUbieにご興味を持って頂けたら嬉しい限りですがそれ以上に、読んで頂いた方が日ごろ忘れているかもしれないご自身の身体を労わり、体調チェックに向けて頂けたら最高に嬉しいです。
※医療機関に行く時間がないという方にはBtoC向けサービス、
「AI受診相談ユビー」で簡単に一次チェックが可能です

図3


そしてご両親が健在な方は(今週末が父の日でもありますので)親の顔を思い出し、親孝行に向けて頂けれると著者冥利に尽きます

*1:厚生労働省 令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/kekka.pdf
*2:国立がん研究センター がんに罹患する確率
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html


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