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【新書の読み方】

“著者の主張や考えを論じる本”の読み方について話します。

この種の本は新書に多い。

新書とは文庫本より少し縦長の規格の本を指し、各分野の入門書や各著者の主張を論じたものが多く見られる。

このnoteでは、そんな【新書の読み方に関する一つの提案】を書いていこうと思います。

今回は、いわゆる速読とか、記憶力の高め方とか、そういう表面的な読書“術”ではなく、もっと根本的な本を読む際の視点に焦点をあてて書いていきます。


本の構造

まず、皆様に質問です。

本のコンテクストに注目されることはありますか。

もう少し具体的に言い換えると、書かれた社会的・学術的文脈、或いは、著者が書くに至った経緯など、その本を読むにあたって見え隠れする(完全には言語化されていない)背景を意識したことはありますか。

今回のnoteの結論にもあたることだが、私はここに【新書を読む意義】があると思っている。(もちろんこれ以外には多いが、ここが大きい)

新書は、他のジャンルの本よりも自由な主張がなされやすい。著者独自の調査をまとめたものであったり、個人的な経験に基づくものであったり、その内容は様々だ。

ただ、共通して『問題提起(意識)→根拠→提案・結論』という構造“論の展開”で話が進むことが多い。

例えば、有名な新書、アンデシュ・ハイセン『スマホ脳』では、スマホが普及してきた現代におけるスマホが脳に与える深刻な影響という問題提起をもとに、そこの根拠となる現代人のスマホの使い方や様々な面での変化を示している。そして、最終的に、読者はスマホに対して何をどのようにすべき、或いは、止めるべきであるかという提案(結論)が書かれている。

他にも、稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』では、サブスクをはじめとした現代のコンテンツ大量消費文化の進展に伴う人々の“映画”に対する向き合い方の変化という問題提起を出発点に、現代の消費社会が取り巻く映画産業と人々の生活観の変化を具体的に列挙している。そして、最終的には、今後も加速していく“ファスト映画”に対する著者なりの結論が述べられている。

(二冊とも超良書かつ面白い本なので、ぜひ読んでみて下さい!!)

このように新書では、独自の主張や考えが『問題提起(意識)→根拠→提案・結論』という構造で書かれている。

少し付け加えると、他の本にもそういう本はたくさんあるが、新書が特にこの構造が分かりやすく書かれ、また、丁寧に論じられている傾向にあると思う。それに対して、その他の本(特にノウハウ本や自己啓発本)では、分かりやすいように具体的な提案や結論重視の本が多い。

本の読み方

そんな中で、僕は本の内容以外にも目を向けることで読書の意義が一気に高まると思っています。

具体的な読み方としては、
①その本が汲むコンテクストを正確に把握する
②著者が書いた”論の展開”を意識する
という2点です。

①その本が汲むコンテクストを正確に把握する

まず、「①その本が汲むコンテクストを正確に把握する」について話します。

多くの新書の序盤には、その本を書くに至った経緯が書かれている。

“なぜその本を出す必要があると思ったのか”“どういうところに問題・課題を感じているのか”“どんな歴史の流れで書かれたのか”など、その本で取り上げる問題提起(意識)にいきついた理由(コンテクスト)が書いてある。

こういった部分を様々な本に渡って注意深く見ていくことで、自分なりの文脈で問題意識を見出すことができる。

具体的な読み方としては、“著者の視点に立つ”こと。

“自分もここは問題だと思う”“自分はここよりも違うところを取り上げるべきだと思う”“自分ならこんな風に考える”など、どういったものでもいいから、本の序盤を著者のありがたい問題提起に留め置かず、自分の考えを持ちながら、著者と対等な立場になったつもりで、著者が示すコンテクストを正確に汲み取ろうとすること、そして、それに対する自分の考えを持つことが非常に大切になる。

少し本題から逸れますが、読書ノートを書くならこういう部分の要点をまとめるのがおすすめです。読書ノートに関する質問はかなり来ます。僕はそのままノートに書き写すタイプの読書ノートは暗記には役立つ部分もあると思いますが、それ以外にはほとんど意味がないと考えています(このことについては後日詳しく)。その上で、読書ノートを書くならば、本に書かれた著者の主張と並行して、自分が汲んだ文章化されていないコンテクストや自分自身の考えを明確に言語化し、書いておく方がいいと思う。そして、その意味では、本に書きこむのでも十分だから、本そのものを読書ノートくらいに思って、自分の考えを随所に書きこむのがおすすめです。

本題に戻ります。

そもそもなぜ自分なりの問題意識が重要になってくるかというと、何かを行うきっかけが問題意識だからです。

例えば、論文を書く時には、研究を始める前に問題意識をまとめる必要がある。その問題意識が面白くないと、どれだけい良い手法を利用しても、面白い論文とは言われづらい。逆に、問題意識が面白ければ、平凡な手法を利用しても、面白い論文であると言われることがある。

また、その他の事業や政策などをとり行う際にも、根幹にあるのは社会に対する何らかの問題意識である。その独自性や重要性が最終的な行動の質を決定付ける大きな要素になる。

こういった自分独自の問題意識を探りながら読書していくことで、自分の主張や考え、行動に独自性と新規性、つまり、“面白み”が生まれてくる。

②著者が書いた”論の展開”を意識する

次に、「②著者が書いた”論の展開”を意識する」について話します。

これは先ほどから書いてきた「問題提起→根拠→提案・結論」という本の“論の展開”の構造を意識しながら読むということです。

本に書かれた文章は、多くの文章の専門家によるチェックを経て、読者に届けられる。

だから、本に書かれている文章やその論理構造のほとんどが適切なものだと言える。(もちろん「あれ?」と思う本もありますが、笑)

本が文章の教科書であるのと同時に、論理展開の教科書でもあるのだ。

そんな本は、内容そのものと同時に「論の展開」に注目しながら読み進めることで、自分の主張を話すとき、或いは、書くときの説明が格段にうまくなる。

そして、こういった読書にも、“著者の視点に立つ”ということが非常に効果的になってくる。

“この主張を通すためにこんな根拠が示されているのか”“この順番で書かれているから理解しやすいのか”“ここはこっちの方が分かりやすいのではないか”など、著者と対等な立場になったつもりで、単に著者の「論の展開」に倣うのではなく、批評的に読み進めていくことで、内容だけでなく、文章そのものに目を向けられるようになる。

まとめ

以上のように、“著者の主張や考えを論じる本”の読み方について話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

久々に3000文字も書いたので、支離滅裂な部分も多かったと思いますが、簡単にまとめると、「著者の視点、或いは、著者と対等な立場に立ったつもりで本を読む」という読書における一つの視点の提案でした。

もし最後まで読まれた方がいましたら、この投稿にいいねを付けたり、私のInstagramのDMに「読みましたよー」って報告していただけると嬉しいです!

そういったことがあると、「また書こう!」という気持ちになれます。(笑)

今回も完全な思い付きでした。

先日のInstagramのストーリーでこの読書法について簡単に取り上げたときに、ひとりのフォロワー様からこの読み方について詳しくまとめてほしいというご要望を頂き、最近できていなかったnoteを使おうと、、、

もう少し私的で本音的な文章に関しては、Instagramのサブスクリプション機能を使った読書コミュニティに挙げているのですが、これは外に出してもいいのかなと思ってnoteを選びました。

今後は、過去のコラムをまとめながら、noteも活用していこうと思います。

お楽しみに!

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