【書評】逆ソクラテス(伊坂幸太郎 著)
こんにちは。こちらの本を読んだので感想をつらつらと書いてみます。
子供たちが主人公となる5つの短編で構成されています。独立した話にはなっていますが、共通の先生(これは作者の恩師の名前を借りたそうです)がいたり、ラストシーンでは別の短編とのつながりをほんのりと感じさせてくれたりもします。
そして、書籍のタイトルの「逆ソクラテス」。これはソクラテスが唱えた「無知の知(自分は何も知らないことを、知っているという態度)」に対して、(先述した共通して出てくる先生とは別の)先生が「劣等生」と一度先入観を持った生徒を、始終下に見続ける態度をとっているので、「無知の知」とは逆であることが、書籍のタイトルになっています。そんな先生に対して、主人公の少年はこう言うのです。
「僕は、そうは、思いません」
年齢を重ねるとそんな言葉を言いたくても言えない場面は確かにあるし、自分だって「逆ソクラテス」と思われているかもしれない。「社会生活とはそんなものである」とすることは簡単だけど、本当に本当に大事だと自分自身がジャッジできれば「私は、そうは、思いません」と言ってもいいのではないか、もしかしたらそのことが人を助けることになるかもしれないし、助けられるのかもしれない。そんなことを思いました。
全編を通して、読後感が爽やかで一つ一つも短く読みやすいのでおススメしたい作品です。
ということで今回の記事はここまでです。お読みいただきありがとうございます。ではまた。
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