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「やりがいのある仕事」という幻想 森博嗣

 01.
「仕事にやりがいを見つける生き方は素晴らしい」という幻想

 この言葉は、ほとんどどこかの企業のコマーシャルの文句に過ぎない。仕事に生きがいを見つけることと人間の価値とは無関係である。つまり、仕事は自分の生活を維持していくために必要なものである。ライスワークである。そして自分のやりたいと思えることはライフワークである。ライスワークとライフワークを一緒にして考えるから、働きづらくなる。

02.
好きなことが最良とは限らない。

仕事で自分の好きなことで稼げればそれに越したことはないが、しかし、それが最良とは決して言えない。そして、好きなことを仕事にしてしまうことの問題点もある。それは好きなことは変わってしまいやすいということである。そして好きなことが変わるたびに仕事を変えていると、それは効率的ではない。

03.
どうしたら、好きなことが見つかるのか?

 それはたくさんの種を撒いて、種が出るのを待つことである。たくさんの興味あることを色々と試してみて、そこで楽しいと思えるものを続けてやっていくことが大切である。最初から自分がこれがやりたい。これをやるために生きたいと思えるようなものに最初から出会えることはない。自分のやりたいことや夢は、育てていくものである。

 つまり、時間やお金をかけて、自分のやりたいことに自分の資源を投資していって、初めて具体的な夢という形になっていく。最初から、これが俺の夢だ。みたいなもに出会えると思ってるから、あれも違うこれも違うという風になってしまうんだと思う。

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