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ワインの製法を日本酒にとりいれる未来【バトナージュ】

いつもどおり酒場放浪記をみていたら
聞きなれないことばがでてきた。

「ばとなーじゅ」???

なにやら「バトナージュ」というワインの製法を日本酒に取り入れたとのことで後学のためにつらつらまとめていく。

バトナージュとは

まず、「バトナージュ」とはざっくりいうとこんなことらしい。

バトナージュとはワイン造りにおける作業工程のひとつです。ワインが発酵した後にタンクの底に沈殿した澱をバトン(=棒)で静かに攪拌する事をいいます。こうすることでワインに旨味が溶け込むのですが、それを日本酒に応用したのがこの三井の寿です。生老ねにならないように常に澱が下がらないようにカイを入れ、生のまま熟成させ豊かな味わいに仕上げました。たっぷりとした旨味と、日本酒の酸味がぎゅっと凝縮されたフルボディータイプのお酒です。

はせがわ酒店

ここでいう「生老ね(なまひね)」とは生酒の保管状態がよくないと出てくるなんともいいがたい、ひとによっては好きな、生酒といったらコレ!といういわゆるオフフレーバーのこと。

もっと気になるひとはこちらをどうぞ。

日本酒の場合、しぼったあとのお酒に櫂(かい)を入れることはしないで、澱(おり)が下がるのを待つのが一般的。

三井の寿(みいのことぶき)

そんなワインに使う製法を日本酒に応用したのが福岡県は「株式会社みいの寿」。

参照:株式会社 みいの寿|蔵元マップ|福岡県の蔵元・銘柄をご紹介<福岡県酒造組合>

大正11年の創業以来、一貫して造りにこだわり、製造する日本酒の90%以上が特定名称酒、それも純米酒がしめている吟醸蔵です。
蔵元自ら杜氏となり酒を醸し、酒造りは「化学とセンスと情熱だ!!」をもっとうとし酒造りをしています。
お陰さまで近年、全国新酒鑑評会では金賞5回、入賞2回の7年連続入賞中です。

株式会社 みいの寿|蔵元マップ|福岡県の蔵元・銘柄をご紹介<福岡県酒造組合>

スラムダンクの井上雄彦先生が好きなお酒で、それが縁で登場人物のユニフォームをオマージュしたラベルもあるのは聞いたことがあるひともいるかもしれない。

そんな酒蔵さんがバトナージュを用いたのがこちらの純米吟醸生。(私が調べた限りでは、自社サイトをお持ちでないようですが、ご存じの方はおしえてください)

参照:大和屋酒舗

「バトナージュ」で考える日本酒の未来

お酒の味は人それぞれなのでここでは言及しないとして、ワインの製法を日本酒に取り入れることについて考えてみたい。

一見、「ワインに迎合しているだけだ」とか「他がやってないからただやっただけだろ」とかそんな意見も飛び交うだろうが、個人的には「あり」だと考える。

一時期流行った?ワイン酵母の日本酒についてはまたどこかでまとめたいと思うが、日本酒の可能性を探るという意味では興味深い。

年々消費量が減少していて斜陽産業ともいわれるこれからの日本酒業界は、いままでの地位に胡坐をかくことなく、アミノ酸や酸味料、酵素剤、変な香りづけの液体などのチートを使わずに、日本酒の定義を守った上で、さまざまな可能性にトライしていかなければならないだろう。

もちろん、トレンドに流されずにその酒蔵のスタイルや味を貫くことも同時に大切である。

結論として、「ワインだとこうやってるから日本酒でもやってみたらおもしろいんじゃね?」(筆者の妄想)と思い立ってやってみた造り手の方には脱帽・リスペクトです。

ずっと前から注目ですが、これからも注目の酒蔵さんです。

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