見出し画像

『うまくなったなー。』~自分の事以上に嬉しい後輩の成長~

医師には専門的で高度な技術の習得が求められることがある。消化器内科の内視鏡(カメラ)もその一つである。動画コンテンツで自己学習できる機会も増えてきたが、技術の向上のためには、やはり師匠(先輩医師)からの指導がかかせない。私はこれまで素晴らしい師匠に恵まれて、技術を磨いてくることできた。医師として学年が上がってくるにつれて、先輩として後輩を指導する立場になってきた。

後輩に教えるにあたって、自分の手技を見直すとともに、どのように自分が教えてもらってきたのかを振り返ってみた。キーワードは「言葉にすること」なのかなと感じた。見て学ぶことはもちろん大事であり、私も師匠の手技をじーっと観察し、手や体の動き、息遣いまで真似て手技を上達させてきた。しかし、それと同時に私の師匠は「言葉にすること」に長けていた。感覚論だけではなく、できるだけ理論的にしかもかみ砕いた言葉で何度も説明をしてくれた。そのおかげで迷いなく自信を持って手技に臨むことができるようになってきた。

教える立場になって、私も「言葉にすること」を心がけている。そして言葉で上手く説明できないことは、自分が十分理解できていない部分であることにも気が付いた。その部分は改めて自分の手技を見直し、言葉で説明できるくらいまで深く考え直す。大変な作業ではあったが、後輩の指導を通して、自分の手技も成長し、洗練されていっていることに気が付き驚いた。誰かに教えるということは、自分の成長においても大切なプロセスなのだ。

後輩の手技を見ていると、『うまくなったなー。』と感じることがある。ほんの少し前まではできなかったことをできるようになった後ろ姿を見ると心がぽっとあったかくなって本当に嬉しい気持ちになる。後輩の成長は自分の成長以上に嬉しいんだなと感じるとともに、時間をかけて自分を育ててくれた先輩方に改めて感謝の気持ちが生まれた。これからも後輩達と一緒に成長していきたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?