(第24回)白杖を持つことへの心理的抵抗について(個人的経験談)


・前置き;「慣れる」としか言えないけども…

こんにちは。
今回は白杖を持つ、持たなければいけないと思っている方に向けて記事を書いています。
白杖を持つ事に抵抗を覚えている方に対しての、私なりの提案と思って読み流していただければと思います。
白杖を持つ事に対しては最終的には慣れるとはいえ、そうは言ってもその慣れる状態に至るまでが個人的には辛かったです。
特に職場とかで白杖を使い始めた時などがとにかくストレスでした。周りの目がとにかく気になりました。
正直なところ、職場で白杖を使って移動するのは今でも少なからず心理的な抵抗があります。(心理的な抵抗と、職場の物理的環境ゆえに歩きにくさも合わさっているのですが)
今回は、個人的な経験談を基に個人的な思いをお伝えしたいと思います。

・白杖を持つことがなぜ嫌だったかを考える

過去の経験を基に、白杖を持つ事がなぜ嫌だったかを分解して言語化してみました。

なぜ白杖を持つことに抵抗を覚えるのか?
目立つから。
なぜ目立つのが嫌なのか?
周りから自分が障害者だと知られてしまうから。
なぜ周りに障害者だと知られるのが嫌なのか?
自分は普通に生きたい。障害者として生きることは普通ではないから。障害者として生きなければならない人生を送るのが嫌だから。

この思いがぐるぐる回ってしまい、白杖を持つことに対してネガティブであったり、ストレスを思たりと、マイナス要因でしかありませんでした。

今まで健常者として生きてきた普通の人生を今後も送りたいという理想があって
障害手帳を取得したり、白杖を持ったり、多くの人の支援を受けながら生きていかなければならないという現実がある。
この理想と現実の埋められないギャップがストレスとなり、苦しみとなっていました。正直、今でもそうです。

・一つの提案:白杖を持つことの意識を少しスライドさせてみる。

白杖を持つことへの抵抗について一つ提案できることがあるとすれば、障害者だから白杖を持たなければいけない。ではなく、便利な道具だから白杖を日常生活で使うという風に意識をスライドさせてみる事が私からは提案できると思っています。
個人的な感覚としては白杖は便利は便利です。使いこなせたらすごく便利です。
パームチップの白杖で地面をスライドさせて、地面の感覚を得ながら、道端に何か異物が落ちてたり、車止めとかあれば白杖が先にぶつかってくれます。身代わりになってくれます。
使い方を知れば便利な事がわかる。便利だったら生活の中で使う頻度も高くなる。健常者だろうが障害者だろうが関係なく便利だから使う。
こういう風にもし、意識をスライドさせる事ができたら、多少は心理的抵抗が薄れるかも知れません。

・便利な道具として使う為に使い方を知る。歩行訓練士からの手解きを受ける。

便利だから白杖を使うという風に意識をスライドさせてみてはどうでしょうかという提案をしました。
その為には白杖を異物としてではなく、日常の生活の中で便利に使いこなせるようにすることが必要です。
使いこなせるようにするには使い方をまず知らないといけないかと思います。
白杖の使い方を知る為に歩行訓練士に一度手ほどきを受けてみる事は一つの方法かも知れません。

色々順序立てて考えてみました。
今の自分が当時の自分にアドバイスしてあげられるとすればこういう事でしょうか

・もう一つの提案:折り畳み型の白杖やシンボルケーンをカバンに忍ばせておく

色々お伝えしましたが、そうはいっても白杖を本格的に使うことを本能的にためらう方もいるかも知れません。
それはそれで仕方のない事だし、当然のことでもあるので、そう思うご自分のお気持ちを大事になさってあげてください。あなた自身のお気持ち自体はは誰を傷つけることでもなく誰かに迷惑をかけることでもないと思います。

ただ、白杖を使いこなせなくとも、持っているだけで色々な意味で身を守ってくれる面があるということは知っておいて欲しいです。
どういうことかというと、白杖を持っているだけで未然に事故を防げる場合があるということです。
具体的な事例を挙げます。
・子供やベビーカーにぶつかって転倒したり、相手を転倒させたり怪我させる事を防げる。
・高齢者などにぶつかる事を避けられる。
・車との衝突事故などを防げる。
などです。

通行人にぶつかってしまった時、自分の病気ゆえに相手にぶつかってしまったという負い目もあり、謝るしかないかと思います。
でも相手からしたら白杖を持っていないあなたは健常者にしか見えなく。悪意を持ってぶつかってきたと激昂する人もいるかも知れません。
こうなってしまうと非常に辛いと思います。
でも、白杖を持っているだけれこれらの事故は未然に防げる可能性が非常に高くなります。
人が多少は避けてくれるようになります。
事故になってしまうかも知れないと不安になりながら歩く事の心理的負担がかなり軽減されると思います。
ですので、日常は白状がなくても移動できるような方は、折り畳み型の白杖やシンボルケーンをカバンなどに常に忍ばせておき、人通りが多い場所や、夜などの歩行が不安な場所でだけ使ってみるというのはいかがでしょうか。
そういった場面で少しずつ白杖を持ってみて、白杖を持つことの有効性を少しずつ確認していく事もいいかも知れません。

・もし、しんどすぎる時はとにかく休むことを最優先にして

色々申し上げてきましたが、ただ、当時の自分はこういった言葉すら受け入れられないくらい落ち込んでると思います。
人生のどん底にいる時に、生活が安定しているような他者のアドバイスは何にも届かない。
他人の共感すらも届かない。
ここからまずスタートしなければいけない。
この状態のマインドを一瞬で、1日でプラスの方法に転じさせる事ができるスキルを私は持っていない。
私から言えるとしたら一度何もせず、ただひたすら何も考えず休んで、メンタルが落ち切った後に自分がどうなりたいか、どうなったら今より少し楽になれるかを考えて一個ずつ一個ずつ自分の生活を開拓して行った感じです。
だから、もし白杖を持つことを考える以前に今後の生活に対して絶望を感じている場合はとにかく今は休んでください。というのが私の考えです。

・あとがき:理想を再定義、再構成することがもしできたら…

白杖を持つ事に対しての心理的抵抗について書きました。
この記事を書きながら思っていたのですが、意識を少しスライドさせるという事について、感じることがありました。
それは白杖を持つ事に対してだけではなくて、病気を抱えて生きる事全体に対しての心理的アプローチを自分に対してどう行うかという事です。
記事の途中で理想と現実のギャップが自分を苦しめると書きました。
苦しいのは健常者として当たり前に生きるという理想と現状のギャップを埋める事ができないからです。
なら、この「理想」の定義や解釈を再構成する事ができればいろんな意味で効いて来るのではないかと少し感じています。
「変える」ではなく、「スライド」させる。
自分の意識を半歩くらいずらして立ってみる。いけそうならもう半歩ずつずらして半歩ずつ味方を変えてみる。
そんな事ができればもしかしたら気持ちも多少が変わって来るのかなとも思いました。
最後は独り言になってしまいました。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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