住宅ローン金利上昇で日本も「ノマドランド」になるのか #映画感想文
「nomad」は遊牧民に由来することばで、特定の場所を持たない働き方や暮らし方を言います。
「ノマドランド」は、静かで美しい映画でした。同時に、実際のノマドワーカーが名演していて、ドキュメンタリーとフィクションの境目がなく、ノマド暮らしの過酷さや、心の傷を抱えてさすらう悲しみも、私の胸にどっと流れ込んできました。
ネバダ州に暮らす60代のファーンは、教師をしていたこともある聡明な女性。しかし、リーマンショックのあおりを受けて長年住んでいた家を失ってしまう。亡き夫が大切にしていたキャンピングカーに、とりあえず暮らせる荷物を詰め込んだ彼女は、アメリカを北に南に、季節労働をこなしながら旅をします。
ノマドのコミュニティは冷たいくらいあっさりしてます。お互いの危機管理のため情報交換はしあうけど、基本は単独行動。季節労働が終わると、おのおの次の地に移動する。今後いつ出会うかもわからない。
お別れのあいさつは「いつかまた、どこかで!」それだけです。
私の好きな場面は、ファーンがホームセンターで、かつての教え子に見つかってしまうところです。
教え子の女の子はファーンに聞きます。
「(みんなうわさしているけど)先生は、ホームレスになったの?」
ファーンは、一呼吸おいて静かに毅然と答えます。
「いいえホームレスじゃないわ。ハウスレス。別物よ」。
誰になんといわれようが、ノマドという生き方を選んだ、ファーンの誇りを感じました。
10/26付朝日デジタルに
「住宅ローンの金利上昇に備えを」
「金融緩和の長期化で金利感覚がマヒ」しているとの記事がありました。
現在住宅ローンを変動金利で組んでいる人は7割も!いるのだとか。
たしかに、こんな長いこと変動金利が低くて、経済のことがまるきしわからない私ですら、なんかおかしいと思ってました。
日本も、金利上昇とともに住宅ローン返済に行き詰まり、家を手放すひとが増え、ノマドランドのようになっていくのでしょうか。
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