サラバ! 西加奈子

姉というのは奇怪な生き物である。
思春期を迎えるとおかしな服装を身にまとい、何かに熱狂する。
私の姉もそうだった。
上の姉は新撰組(大河ドラマの方)とロードオブザリングに熱狂した。
ロードオブザリングは私のものとばかりに私に視聴を禁止した。
(みたいものでもなかったが禁止されることには腹が立った)
下の姉はジャニーズとお笑いだった。
(今ジャニーズに狂っていたことを指摘すると顔を真っ赤にして否定する)
なぜあんなにも熱狂するのか不思議だったが、この本を読んで納得した。

彼女らは自分の幹を探していたのだ。
そしてその行動はよくあることなのだと
主人公の歩に共感しながら、私は読み進めた。
姉ってそうだよな。意味がわからないよな。などと歩と対話をしながら読み進める気持ちだった。
大体にして上の姉兄というのは弟妹にとって先達となり目標となり導いてくれることを期待する。
だが、姉にはそんな気などさらさらないのである。
姉は自分の幹を作ることで精一杯だし弟妹のことを見る余裕などない。
そんな姉を見て、自分は弟妹の面倒を見るんだということを決意するが、ほとんどの場合弟妹は生まれてこないのである。
ちなみに私の叔父さん(母の弟)はあだ名がアニキだったという。
本作はそんな小さな頃の思い出を思いださせてくれた。

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