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旧田中角栄邸全焼 田中眞紀子氏『線香を…』 なぜ線香をあげるの?【仏事のこと】

8日、東京 文京区にある田中角栄元総理大臣の自宅だった建物が全焼した火事で、娘の田中真紀子氏が「線香をあげて建物から出たあと、ガラスが割れるような音がして火事に気付いた」などと説明していることがわかった。警視庁と消防が出火原因の特定を進めている。

NHK NEWS WEB



新年早々、ショッキングなニュースが連なる。

この火災事故も、なかなかの衝撃だ。
線香で家が丸焼けに…⁉︎
私にとって線香は身近なだけにショックだ。
本当なのだろうか。正直、このタイミングで様々な憶測や邪推をしてしまう。
でも、私のような庶民に本当のことは分からない。

ただそれ以上に気になったのは、
私とは縁遠いような大物政治家の娘・田中眞紀子氏が
線香をお供えする」人だったことだ。

この記事では、なぜ線香をあげるのかということに注目したい。

なぜ線香をあげるの?

香りをお供えるするため


法華経の中にこのような一節が。


衆宝の妙なる香炉に、無価の香を焼いて、
自然に悉く周偏して、諸々の世尊に供養す。

『分別功徳品第十七』


なんだか頭にスッと入ってこない。
私が訳すならば、こうだ。


いろんな種類の宝石で作られた、怪しい程魅力的な香炉
そこへ価がつけられないくらい超高級なお香を焚く
自然とが立ち上れば、お部屋の隅々まで行き渡る。
そうやって、もろもろの世尊(仏様たち)を供養するのだ。


つまり、

煙をモクモクにして、お香を焚いている。

そんなイメージだろうか。


私たちは、仏様に『香り』という『お供え』をするのだ。

ただ「香り」を「お供え」するのであれば、
『ディフューザーじゃだめなの?』
『香水を振り撒いたらいいじゃん』

と思うかもしれない。(そう思っていた私)

しかし、『仏さまは生物を嫌う』と言われている。
ご飯やお茶の湯気や、お香の煙を仏は召し上がるのであって、
そのものを食べている訳ではない。(そりゃそうだ)

だから、火をつけ線香を焚くことは
作法の意義としては、大切なことだと言える。


香は心をスッキリさせる 線香はベストアイテム!


日蓮宗の僧侶が行うべき儀式について『禮誦儀記』という書物に、こう記されている。

香・花・燈明の三、最も心気を資け(たすけ)道念を補養するものなり。
燈明は心気を厳粛(げんしゅく)ならしむ。
は心気を澄静(ちょうじょう)ならしむ。
は心気を和雅(わげ)ならしむ。
香は線香幽香(ゆうくん)相続して最も宜しきものなり。

宗定日蓮宗法様式平成版より
一部抜粋

これも頭に入ってこない。

つまり、こうだ。

お香、お花、燈明(とうみょう)は、信仰を求める心を支える三つのアイテム。
燈明は気持ちをピリッとさせる。
お香は気持ちをスッキリさせる。
お花は気持ちをウットリさせる。
お香は線香がいい。
奥ゆかしい香りが長く続くから、まさにベストアイテム!


お香というものは、目に見えない仏様や精霊たちに捧げるだけでなく、
生きている人の心を落ち着かせ、
その信仰心を助けてくれるものなのだ。
長く香りが持続する線香は、
私たちの気持ちをスッキリさせるのに効果的なのだ!

安全な焚き方は?


今回の火災発生から
線香といえど、香を焚く際は十分注意する必要がある。

では安全な焚き方はあるのだろうか?
テレビでも報道されてはいるが
お作法的にも大丈夫な焚き方を紹介したい。


蓋のある香炉の場合には、線香といえども火点を左にして横たえるべきである。
火点を左にすることは「発心より涅槃に至る」如く、
段階的に仏の世界に近づく事を表している。

宗定日蓮宗法様式平成版より


本来、線香は香炉の中心に垂直に立てるのが一般的であるが、
線香を半分に折り、香炉の中に横たえてもよいのだ。
その時は、火がついた方を左にして横に置くべき、とされている。
左から右へ火が進む様子が、
だんだんと仏の世界に近づくことを表しているらしい。


最後に…


今回の火災は幸いにも怪我や死人は出なかったものの、
あのような豪邸が全焼する様は恐ろしい。
出火原因は確定せずとも、線香の火には十分用心すべきだろう。

ただ、ご先祖様に香をお供えする行いは立派なことである。
災難なニュースだが、眞紀子氏が仏壇に線香をあげると知って
供養する心に庶民もお金持ちも関係ないんだな、と感じた。


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