【おとなりさんちの話】異世代交流スペースComodo@唐津市
佐賀市に続いて人口の多い唐津市。学校によっては、いくつもクラスがあって、放課後児童クラブ(学童)*もギュウギュウなところがあるんだとか。こどもにとって、放課後くらい、自由にのんびりしたくなるものだろうに。
住宅街を入って、坂を少し登って行った先に玄関が開いている一軒家があった。ドアには ” みんな、おかえり!のんびりしにおいでー ”と手書きの文字が。
私の足音に気づいたからか、中から「どうぞ、入って~」と声が聞こえてきた。出迎えてくれたのは、自宅の隣のスペースを地域の居場所(名称:Comodo、コモド)にしている福浦さん(通称:えりつぃん)。「ちょうど、ご飯食べてた~」とパンをかじるえりつぃん。近くで、女の子が絵を描いてすごしていた。
気ままに好きなことをしているから、ついつい大人同士ものんびり話がすすむ。そもそも、えりつぃんが居場所をつくろうと思ったきっかけを聞いてみた。
「だいぶ前になるけれど、東日本大震災が起こった時、なにか自分にできることはないかと考えて、被災地に行った人から話を聞いてみたのね。避難所ではこどもの声に高齢者が元気をもらい、逆にこどもは遊んでもらって、お互いが助け合ってたって。ふと、自分の暮らしを考えてみると私のことを知ってくれている人がいないな、と不安な気持ちになったの。」
ご自身は唐津で育ったものの地域が違うため、周りは会釈をするくらいのかかわりだという。色々な世代の人が、ここを拠点に交われば、もっと安心が広がっていくと感じていた。
そこで、2014年~まずはご自身を含めた親同士の居場所として、こどもが大きくなるにつれては多世代の居場所として、開いていこうとしたそう。(この時に「Comodo」という名前が決まった。イタリア語で「快適」という意味らしい。)
「とはいえ、私はいるだけ。ソファで寝てしまうこともあって、この間なんて気づいたらこどもが帰ってたわよ。(笑)」
それでも、こどもにとっては心のよりどころになっているよう。お母さんといる時の様子とうってかわって、ここに来ると、元気いっぱいになることもあるとか。この日も、気がつけばこどもたちは人目も気にせず、鬼ごっこをして遊びはじめた。
ある日の夜、兄弟げんかをした子がつらい気持ちになって家のインターホンを鳴らしにきたことがあるという。
「ここに居続けることで、私の存在を頼りにしてくれているんだって思いました。あとね、まちでもスーパーで “えりつぃん”って声かけてくれる子がいて、すごい嬉しかったのよね。」
PTAとして学校との関係性をつくったり、地域でこどもの見守り運動をしたり。とにかく、えりつぃんのこどもたちへの愛情がたっぷりなのだ。
「多分、私がこどもみたいに、自由だから一緒の目線になって遊んだり話したりするのが好きなのよね。」
確かに、こどもたちと一緒になって鬼ごっこをしたり、けんだまを引っ張りだして披露をしたり。こどもだけじゃなくて、えりつぃんも楽しんでいた。
これから、もっと地域の人と人がつながって「あなたはこれができるね」とお互いが助け合えることを目指している。居場所をスタートした背景にあった、防災の意識をみんなが持てることが根底にはあるようだ。
「学校の先生も、まちでは地域のおじちゃん、おばちゃんでしょ。ひとりでもいいから、声をかけられる大人がいるといいな。」
えりつぃんは、きっと声をかけてくれる大人のひとりです。まちで手を振って挨拶できるような、みんながそんな人に出あえますように。
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異世代交流スペースComodo
おとなりさん:福浦さん(えりつぃん)
おとなりさんち:
毎週水曜日居場所▷たまり場 14:30~
毎月第4土曜日▷Comodo食堂 11:00~大人(Comodo食堂):200円~
Instagramでは写真を、noteでは文字を中心とした読みもので「こどもたちのおとなりさん」を発信していきます。
▶︎アカウントはこちら https://www.instagram.com/kodomo.otonarisan/
こどもをまんなかに、ほっとできる瞬間がそばにある社会を皆んなで緩やかにつくっていきませんか。
編集・書き手・写真 : 草田彩夏(佐賀県こども家庭課 地域おこし協力隊)
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