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『オブラートに包む』って技を習っていない小1の口からもれた言葉は、40年以上生きてきた女を木っ端微塵に破壊する。

愛媛県松山市にある小さな港町三津浜。
商店街から一本南の筋にひっそりと佇む茶舗。
そこは世界旅行が好きで、行った国の珍な雑貨を買ってきては販売している店だけではなく、近所の子供らに懇願され駄菓子も売っている、コンセプトゼロの雑貨屋である。
そのコンセプトゼロの雑貨屋は、夕方になると西から東から子供たちがわちゃわちゃと集い始める。

駄菓子を買いにきたわけではなく
茶舗(家)の中で遊ぶために。
狭い家の中で(注*借家)鬼ごっこやらかくれんぼやらがはじまり、家の中がすごい事になっていても私は怒鳴りつけることはしない。
子供らがいなくなった後、静々と片付ける。

ぼたん雪が舞い散る冷たい今日、ワタル君が友達を連れてやって来た。
ワタル君が石油ストーブで温まった部屋の足元暖かいこたつに入って、
「ぼくんちね、エアコンだけなんよ。台所とリビングだけつけて。めちゃめちゃ寒いんよ!こんなストーブないしこたつも買ってくれん!」とトースターで焼いたお餅を頬張りながら、自分の家のエアコンだけじゃ寒いハラスメントや子供の願い受け入れられないハラスメントに嘆いていた。


エアコンだけって辛い…
全然体が温まらないよね…
と同調しながら聞いていた。

ワタル君はハラスメントを嘆いたあと、間髪いれずこう聞いてきた。
「キャンベルさんはひとりと猫2匹で暮らしとん?」
「そだよ〜♪ニャンコと一緒〜♡」
可愛く答えた私にワタル君は、邪気が『無』の口調でこう言った。
「よくそんなので生きていけるね。」

おぬれ〜‼︎
餅返せ〜‼︎
私の大事な餅返せ〜‼︎

石油ストーブとコタツが私をあたためてくれるんじゃ〜!
猫も〜!
猫も〜!
猫も〜!

…。
…。
…。

(誰か…  私の骨を… 拾ってやってくれないか…。)

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