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寒くなっても衣替えせずまだ夏を引きずってやるから
ありふれた夏の瀬におまじないみたいな恋をした。
indigo la End
川谷絵音の作る音楽が好きだった。
歌詞に重ねて聴いた、何度も聴いた。
そんな秋の日を思い出す。
「川谷絵音ってずるいよね。」
そう言っていた、好きだった人を思い出す。
私の好きなものを好きになってくれて、染まってくれてありがとうね。
自分は染まりやすくてあまり自分を持っていないから好きな人におすすめされたものにはすぐハマる。
一方、彼は自分は自分、と意志の強い自分を持ったかっこいい男だった。
自分の好きな曲が好きなんだよね、って言って流行り物にも簡単には染まらないタイプのその人が、私が勧めた曲にハマってくれていることが嬉しかった。
いつも、彼が曲を紹介してくれて私が染められてばっかりだったのがなんか不服だったけど、ちゃんとバッチリハマってくれていて安心したのを覚えている。
一方的は良くないからね。
自分に自信があってキラキラしている人だった。
だけど、陰鬱な音楽が好きな人だった。
同じ匂いがした。
根が陰なんだよねって自分でも言っていたけど確かに、そんな気がしていた。
1番好きなタイプの人間だった。
そんな人がいつも私のことを好きだよって言ってくれて、そりゃさ、好きになっちゃうよね。
けどなんか悔しくてなんでかはわかんないけど、そっけなくあたっちゃった。
きっと傷つけたよね。
ごめんね。
完全に、好きだったよ、ずっと。
そんなことしてたら触れ合える距離に君はいなかった。
本当にこの歌詞の気持ち。
隙を見せるのはこれからだったんだけどな。
タイミングを失った恋というものはどうしようもなくて。
あの時君の思いに応えることができていたらよかったのになんて思っているのにもうどうしようもなくてこの曲を聴いていた。
そんな秋の日をこの曲を聴くたびに思い出す。
結局君のことが好きなんです。
いっぱい話せていっぱい出かけて、たくさんの曲を共有できて幸せだったよ。
ありがとう。進もう。
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