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社会起業における会計の役割ってなんだ

今週は大学院での講義が終わり、岡山に顧問先訪問して新しい出会いがあったり、SILKの働き方改革チャレンジプログラムでお世話になったモーハウスの光畑さんとお話したり、いろいろなことがあった。振り返ると結構いろいろあったな。

もう少し書き残す頻度を増やしていこう。

最近の考えをまとめる時間として、金曜の大室さんの話は良いきっかけになったので今回はそのことを。

ちなみに大室さんというのは長野県立大学の教授で私がコーディネーターを勤めているSILKの所長でもあり、うちの事務所の記事では

問いを投げ込んでその場にいる人々を混乱させるのが得意です。

と紹介されている人。

プロトタイプをつくり続けることの意味

対極性という話の中で、Aと対極にあるBを設定することという話があった。

でかいうつわという会社をつくったというのは税理士という仕事からある意味対極的なポジションに視点を置いて、その間のグラデーションを見れるようにしたことが大きかったのかもしれない。

何も中身のない遊びの会社なのだけれど、それによって税理士の仕事との間のグラデーション部分に勝手に思考が向くようになった。

それはSILKのコーディネーターと税理士との間とも違う、もう一つの視点であり、支援者という個人の視点からでかいうつわ=プラットフォームであること。
自分がなれるかどうかよりもその視点を得られたのは大きい。

そもそも「でかいうつわ」という会社名も「うつわっていう会社名がいいと思ってんねん」って飲み会の席で話した際に「そんなんおもんない。でかいうつわくらいがええんちゃう」って言われたのがきっかけで、馬鹿笑いしていたのがその後本当に会社名になった。

コンセプト文の「社会のうつわをでかくする」「会社のうつわをでかくする」というのも、後付けだ。

「何をする会社ですか?」とよく聞かれるので仕方なく考えて、この会社名、このメンバーだったらどんなコンセプトがいいだろうかということでコンセプトをつくった。

そうすると、自分の中でも「もっと社会のうつわをでかくするには自分は何ができるだろうか」「もっと会社のうつわをでかくするためにどのような支援ができるだろうか」ということを考えるようになった。
そのコンセプトに共感してくれて「一緒になにかやりたいですね」とお話してくれる方も増えた。

大室さんの話の中でも、「直感のまま行動して概念やコンセプトは後付け」というような内容があったけれど、それやんと思った。

対極の間にあるもの。その間にはなく包括する外側にも目を向けること。プロトタイプをつくること。それを繰り返すこと。その感覚がぼやっとイメージできた。

会計を動的につかむためのプロトタイプをつくる

その話を聞きながらもう一つ、ふと頭の中に浮かんでメモしたこと。

会計が単なるアウトプットに終わらず、その算出プロセス自体がどのように事業の成長、働く人の幸せ、社会への価値創出につながるかの仕組みまで内包して設計するにはどうしたらいいか

自分がいまやりたいのはこれだなと思っていた。

会計は決算書で表現できないことをそぎ落としていく作業でありながらも、それは視点が違えば「そぎ落とされた結果のみに触れる人」と「そぎ落としていく過程に触れる人」に分かれる。

結果のみに触れる人は会計が「静的なもの」に見える。

過程に携わる人は会計が「動的なもの」に見える。

会計が動的なものに見えると、自社の目に見えない事業活動が会計で表現できることが理解でき、目の前の事業と会計がリンクして見えるようになる。

経営者なら当たり前と思うかもしれないのだけれど、決してそうではない。

税理士に会計処理を丸投げしていると、一体何がどうなってこの数字が出てきたかが分からない。

自社で経理をしている場合でも、クラウド会計がどのように数字をバックグラウンドで処理しているかが分からない。

それは会計以外のすべての領域で「つくる側」と「提供される側」の分断が進んでいることの一つだ。忙しすぎて、専門化が進みすぎて、すべての領域で「つくる側」に回る時間的な余裕はない。

すべてを自分でする必要はないけれど、それでも会計が「動的なもの」に見えるという感覚は起業家にとっては必須の感覚だ。

それは会計が事業の死活問題に直結するからであり、すべての事業活動が集約されて表現できるのは今でもなお会計だからだ。

今のクラウド会計をつかった「同時に同じものをつくっていく過程を経営者・専門家・経理が共有しながら見ることができる」という点をもっと事業に活かしていくことができないか。
当然理解している会社もあれば、それをまだまだ活かしきれていない点を深めていきたいと思った。

特にSILKで関与しているような社会起業の領域は、そもそも事業化へのハードルが高い領域も多い。

イノベーション=アイデア創発(結果)+事業化(原因)

この事業化への難しさ、言語化する、数字化する作業の行き来の部分については、会計を動的にとらえる思考ができるかどうかが重要になってくる。それが会計が社会起業という場面で価値を生む。

完成度を高めてからリリースしようと思っていたところがあるけれど、プロトタイプでも現時点で出していくことにした。

「もっとできるのにやろうとしてない」

そんな言葉を投げてくれることに感謝しながらも、「くそっ!」と思いながらも「社会起業×会計」のプログラムを考えてみようと思います。

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