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京都で「はたらく」今を知る|LOTUS WEEKENDイベントレポート

11月3日から5日まで3日間のあいだ、浄土宗大本山「清浄華院」で開催された「いのち」やSDGsをテーマにしたイベント「LOTUS WEEKEND」。

私たち株式会社でかいうつわと京都市ソーシャルイノベーション研究所は、全体の企画の中で「生きる」を考える上で避けては通れない「はたらく」をテーマにしたセッションを開催。

各オーガナイザーを軸にたくさんの企業をご紹介したり、それぞれの方の「はたらく」について触れました。

2日間で合計6セッション。
100名超の方にご参加いただき、各セッションで聞いた「はたらく」は、とても貴重な言葉だったので印象的なものを連ねておこうと思います。

職人の手仕事で「はたらく」今を知る【セッション1】

最初のセッションは職人の手仕事で「はたらく」今を知る。
オーガナイザーの石井さんから2社の推しポイント紹介の後、それぞれの会社さんから取り組みの紹介がありました。

2社に共通して印象的だったのは「職人として当たり前の仕事を」という言葉。
その当たり前が今の社会では当たり前ではない。過去から引き継いできたものを未来に託す。この時間軸の捉え方こそが京都の「はたらく」魅力なのではないかと感じました。

〇100年先の修復時に、100年先の宮大工に良い仕事をしているなと思ってもらえるような仕事を。
〇かんながけがうまくできるようになって嬉しそうな若い職人の顔。工場でボタンを押して機械を動かすだけでは見られない顔。それがはたらくことだと思う。
〇目の前の仕事を一生懸命丁寧に。
自分たちが当たり前と思っている仕事がまわりから評価されるように。

オーガナイザー:石井 規雄
株式会社でかいうつわ 取締役 京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)イノベーション・コーディネーター

推し企業 有限会社匠弘堂

推し企業 株式会社西川紙業


U-35世代で「はたらく」今を知る【セッション2】

続いては京都で働く35歳以下のコミュニティU-35から、U-35世代で「はたらく」今を知る。
「やさしさをビジネスで叶えていく」炭竃くん。京都のデジタル畑で熱く活躍している異色の経歴を持つGnsの渡邊くん。その渡邊くんがイチオシの様々なキャリアを経て座禅を広めている品部さんという異色の組み合わせ。

このセッションを振り返ると「生きると働くを分けない」生き方を体現している話が印象的だった。
それぞれがユニークなキャリアを描いてきていて、そこには世間一般で評価されるキャリアの世界観ではなく、自分と向き合い、社会と向き合い、そのうえで自分が満足するために走り続けている「はたらく」。
この世界観が当たり前の世代が京都には広がり続けているのだと思うととてもワクワクする。

〇自己分析でわかった、「自分は特別ではない」
〇生き方と働き方を分離しない「はたらき方」が心地よい
〇わたしのこだわりは「死ぬ瞬間にやりきった」と思える仕事かどうか。自分が満足できるか、しているかどうかで判断している。
〇責任の所在は「わたし」 自分の満足の中にある「人の幸せ」 あなたの人生はあなたのもの

オーガナイザー:仲田 匡志 株式会社SOU 代表取締役

紹介者① 株式会社Gns 渡邊 高行
推し企業 禅僧 品部東晟

紹介者② 仲田 匡志
推し企業 株式会社kitasu

持続可能な社会づくりで「はたらく」今を知る【セッション3】

現代では触れる機会の減った「職人の手仕事」という長い時間軸を見据えた「はたらく」世界観に触れ、これからの社会を担うU-35世代の「生き方と働き方」の価値観に触れた。

そして第3セッションでは老いとともに就労ができなくなる高齢者の「はたらく」についてと、人以外の動物の生死に触れる仕事から「はたらく」について聞くことで、個人的に「はたらく」が「生きる」へ視野が広がった。

老いとともに働くことができなくなる。誰もがそうなるという事実から目を背けず、働くことが難しくなった人への「就労的活動」の提供と社会との関わりにおける「はたらく」ことの大切さをNPO法人地域共生開発機構ともつくさんの話から。
また、一方でアドベンチャーワールドを運営する株式会社アワーズさんの仕事はゲストにsmileを提供する仕事であると同時に動物の生死と向き合う仕事。
人間にとって自然生態系を知る入口を提供するのとができる役割もある中で、会社も変革の過渡期。
全く違うフィールドの2社の話を聞きながら仕事のやりがいとは何なのか。そんなことを参加者との対話を耳にして感じました。

〇「就労的活動」高齢者が自分たちで役割を見つけ、それを否定せず肯定して「やりましょう!」と提案することで、社会とつながり自分の役割感が生まれ「自分らしさ」へとつながる。
〇判断することすら許されない生き物の生死と向き合う仕事。
〇事業承継の中で、理念経営を掲げ変化しようとする会社と旧来の価値観のハレーションの中で試行錯誤している。

オーガナイザー:熊倉 由実 株式会社でかいうつわ 取締役

紹介者 京都市ソーシャルイノベーション研究所 前田 展広
推し企業 NPO法人地域共生開発機構ともつく

紹介者 株式会社でかいうつわ 武田 幸子
推し企業 株式会社アワーズ


研究と越境で「はたらく」今を知る【セッション4】

2日目は研究と越境で「はたらく」がテーマのセッションからスタート。
大学の研究を世に放つための会社である京大オリジナルの坂越さん、そして今みんなが最も推したい経営者の洛西紙工小田夫妻を京都超SDGsコンソーシアムの河村さんが推してくれました。

坂越さんのこれまでのキャリアもユニークで「おせっかいばかりしている」という言葉。仕事なのかそうではないのか。それを分けすぎないところに魅力があるのだと思う。
河村さんも「何屋かわからない働き方をしている」という言葉。
2人とも自分の価値観を軸に目の前の人の価値を読み解き、伝え方を編集をして世に放っていく。

研究で深めた世界観があるからこそ越境する意味がある。ふと気づいたのは1日目の職人の手仕事にも似た世界観。
大学が多く研究者が多い街、伝統産業が多く職人が多い街。
京都にはそれぞれの領域に深さと歴史があるからこそ、そのかけ合わせをする越境におもしろさを感じる人も多いのだろう。そのかけ合わせからまた新しい価値が生まれると知っているからこその越境。

いま段ボール製造の会社でアトツギとして新たな挑戦をする小田さんを応援したくなるという背景がこの街にはあるのだろうと感じた。

〇おせっかいばかりしている。大学の研究だけではなく本人も気づかない価値を見出す・編集・翻訳をすることのおもしろさ。
〇何屋か分からないはたらき方をしているし、そういう人が周りにも多い。
〇支えたい・応援したいと思わせる経営者だと思う。

オーガナイザー:井上 良子 京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)イノベーション・コーディネーター

紹介者 井上 良子
推し企業 京大オリジナル株式会社


紹介者 京都超SDGsコンソーシアム 河村 翔
推し企業 洛西紙工株式会社


京都×生き方×はたらき方【セッション5】

ここまで4セッションを重ねてきて見えてきた京都で「はたらく」ということ。
ここで、京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)所長の大室さんと「世界中の境界線を溶かす」ことを自らの夢として活躍する平原依文さんと、これまでの「はたらく」を共有したうえで「京都×生き方×はたらき方」をテーマにトークセッションをしました。
由緒あるお寺の本堂と顔はめパネルはなかなかに斬新でした。

大室さんからは、

京都にはいろんな「あいだ」を大事にする文化がある。お寺もあいだの一つ。両極のあいだから新しいものが生まれる。一から多を生むという発想。だからこそ企業単体ではない取り組みができるし、これからの時代はますますそうした考えが大事。

そのような話が出たうえで、平原さんからは

海外で幼少期を過ごした際に、自分の強い意見がないことにアイデンティティの弱さを感じたことがあった。でも「あなたの、そのどちらの意見も理解するあいまいさもアイデンティティの一つだ」と言われたときに、そうしたあいまいさの大切さを理解した。あいまいさがあるからこそ境界線を溶かすことができる。

というような話があった。
まさにこれまでのセッションで聞くことができた内容が「あいまい」「あいだ」というキーワードに紐づいたように感じた。

#紹介文化の京都 #いけずの文化 #人の生き方に寄り添ってくれる
#リアルクラファン #新しいものが好き #古いものが大事の裏返し
#あいまい #仏教から来るあいだの文化
#もっとお寺を開く #あいまいというアイデンティティ
#境界線を溶かす #一から多を生む
#企業単体ではない取り組み #世界観を押し付けない
#あいまいを大事にすることがイノベーション人材につながる
#死と生のあいだ #裏と表
#はたらき方と生き方のあいだから変化が生まれる #京都の提供する価値

大室 悦賀 京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)所長 長野県立大学大学院ソーシャル・イノベーション研究科 研究科長

平原 依文 HI合同会社 代表

田中 慎(ファシリテーター) 株式会社でかいうつわ 代表取締役
京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)イノベーション・コーディネーター


社会課題解決で「はたらく」今を知る【セッション6】

そして最後のセッションは社会課題解決で「はたらく」今を知るをテーマに。
とはいえ、私の裏テーマとしては、大阪など他地域からこのイベントに来てもらいたいという想いもあり、大阪を変える100人会議・PRリンクの神崎さんにお声がけさせてもらい山陽製紙さんというとても素敵な大阪の会社を推していただきました。
また、私からはお寺という場所でこの企業を絶対に推したいという意味でTERA Energy株式会社を紹介。

山陽製紙の原田夫妻のお話は一つ一つが背筋が伸びる想いで、優しさの中にある力強さ。こうした経営者の話を聞ける機会がありがたい。参加者からは「環境に配慮することを当たり前にとらえ、経営者の考えに曇りがなく、社内の常識にしているところの凄さを感じた」という声も。

TERA Energyの神島さんは1年半前に栃木から京都に移住転職してきて、社会課題を解決しているというより「より良い未来に向かって仕事ができている」と話す姿が印象的だった。

両社ともより良い未来を実現することが理念であり、「はたらく」うえでの当たり前にしている点において、これまでのセッションで聞いてきた「はたらく」の未来が見えたようにも感じた。

〇働いている中で、一歩ずつでも社会をよりよくしている実感がある。
〇我が社が存在している理由は何か?
〇お祭りではなく理念祭。理念は社員と会社をつなぐもの。

オーガナイザー:田中 慎 株式会社でかいうつわ 代表取締役
京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)イノベーション・コーディネーター

紹介者 田中 慎
推し企業 TERA Energy株式会社

紹介者 株式会社PRリンク 神崎 英徳
推し企業 山陽製紙株式会社


京都で「はたらく」今を知る

各セッションをそれぞれ聴いても面白かったと思うけれど、2日間のすべてのセッションに参加して全体を振り返ったときに、この場で生まれた話が重なり合い、「はたらく」を軸に次の新しい関係性に繋がっていくイメージができた。

みなさんのはたらく哲学が聞けたのは「推し企業紹介」という温かな関係性をベースにしていたこととともに、お寺という場の力も少なからずあったように思う。

たくさんのよい対話が生まれたからとても価値のあるイベントになったけれど、全部後づけで結果論だ。

場をつくり、ライブでみんなから生まれる感じが、でかいうつわっぽくていい。

そんな「はたらく」について生まれた言葉を書き残すとともに、出展者同士で楽しく顔はめパネルで遊んでいた写真も残しておきます。


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