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支援先のお局さん、番頭さんと仲良くなるために心がけること

年があけてバタバタしていると、新しい話がいろいろと舞い込んでくる。
とにかく作業的に処理する仕事と新しい仕事。
どうしても新しい仕事に目が向きがちだけれど、作業的に処理する仕事を整えていくことも好きだ。

どうしてうまく業務が流れないのだろうか、ストレスに感じる部分がどこか、そうした原因を探って改善していく。他の会社でうまく回しているやり方があるなら大いに参考にする。そうして事務的な業務を効率的に回していくための枠組みをつくる。

経理の仕事をしていてよかったなと感じることがある。
それは業務改善やシステム導入をするなら経理業務から変えていくことが一番効果的だからだ。取引はおおよそすべてお金の流れに行きつく。そのお金の流れがリアルな動きとしても帳簿上の動きとしてもきれいに流れていくようになると、業務がとても楽になる。

昨年もいろんな会社の業務改善の支援をしてきた。
「雑談しかしないですよ」と言って、経理チームに1年間伴走してきた会社では、本当に毎月1回1.5時間ほど訪問して雑談してきた。終わるころには「経理チームの顔が明るくなって、自主的に新しいチャレンジが生まれました」といってもらえた。

驚くほど多くの会社の社長が「うちの経理は後ろ向きで、保守的なんで変わらないですよ」と言う。きっと社長がそう思っているから経理は保守的になっていくのだと思う。

どこへ行ってもお局さんや番頭さんとは雑談で盛り上がる。実はお局さんや番頭さんと仲良くなれる能力では日本でも屈指なのではないかと自分で思っている。
雑談してお金もらってるのかといわれると詐欺みたいなので、どんな風に雑談しているかをあらためて考えてみた。

とにかく興味深く話を聞く

私は一応、外部の支援者として会社に入るので、最初はみんなとても警戒している。「またコンサルが来て業務をかき回すのだろう」大体そう思っている。なので、最初から業務の洗い出しのヒアリングは絶対にしないし、フレームやシートを用意して話は聞かない。メモも最小限にして目を見て真剣に話を聞く。

そもそもみんなお局さんや番頭さんの話を聞いていない。
これが結構致命的な問題だと思う。そして彼らが話す法律的・会計的内容を理解できる人も社内には少ない。彼らの伝え方が悪いことも多いけれど、とにかく彼らが話したいことを聞いてみる。そうすると大体が会社のことを心配するがあまりの話がほとんどだ。みんなとは言わないが、会社に対する愛が強い人が多い。

そんな話をとにかく興味深く聞く。なぜそれを心配しているのか。どうしてそうなっているのか。どうすればいいと思うのか。
そして、これは外部の支援者だからできることだろう。社内で毎日そんな話をされるとしんどいかもしれないけれど、外部の人間になら丁寧に話すことができるし、こちらも新鮮に聴くことができる。閉鎖された関係ではないので、自然と前を向いた話ができる。私はこれが外部の支援者を入れる最大のメリットだと思っている。

お局さん、番頭さんの価値を素直に認めて表現する

「すぐにネガティブなことを言う」
社長はよくそう話すのだけれど、自分がポジティブで相手をネガティブだと烙印を押しているだけだ。新しいチャレンジに積極的な人もいれば、そうしたチャレンジにつきものの懸念点に目が行く人もいる。それは単に役割の違いだ。
彼らは会社のことを思って、大きなけがをする前に心配をしているだけだ。ただ、問題点は分かっていて心配をしているけれど解決策が提案できないことも多い。だからといって対案を出せないからといって切り捨ててしまわないこと。そうした意見を踏まえてより良い事業に導いていくことがリーダーの仕事。

雑談の中で、そうした問題点に目を向ける彼らの価値を認めて、きちんと言葉にして表現するのが大事。というのも、私は専門家として彼らが懸念する問題点を理解できるからだ。社長は理解してくれなくても、外部の専門家が理解して共感してくれるというのはとても彼らの自信につながる。

一番負担になっていることを何が何でも改善する

そうして、彼らの話を聞き、役割を認めたうえで「日々の業務で一番負担になっていることは何か」を尋ねるようにしている。

大体において、過去において特殊な対応を必要として、それが原因でイレギュラーな業務が生じていることが多い。
以前社長が何気なく見たいと言ったレポートをつくるのに毎月半日かかっているということがあった。社長に聞くと今は見ていないとのこと。誰も見ていなかったレポートをつくるのに現場の人が毎月半日かけていた。その瞬間からそのレポート作成をやめたら、大きな業務改善になる。

また、特殊な顧客に対する資料作成でどうしても転記作業が必要となることもある。そうして教えてくれた毎日、毎月発生するルーティン業務を何が何でも改善する方法を見出すことが大事。その転記をなくせないか、安価なシステム導入で改善できないか、GASやマクロ、プログラミングを使って改善できないか。
一番負担になっていることなので、ちょっとした改善でも改善効果が高い。完璧な改善でなくても、少しでも改善できたという経験をそこで得るようにする。

社長側、お局さん・番頭さん側のどちらにも立たない

彼らの信用を得てきたら、彼らの耳の痛いことも話す必要があることがある。「どこをどのように改善するとコストがいくら下がって会社の利益に繋がるか」のような改善効果を数字で語ることが苦手なことがある。社長が関心のあることに寄せて説明できないから、反対しているように思われる。
たとえば「経理システムを改善してほしい」という提案ひとつとっても、提案の仕方次第では周囲から「経理が楽したいだけではないか」と協力を得られないことがある。

そうではなくて、経営陣は「このシステム投資がどのように効率化につながり、働く人の環境を改善し、会社の利益につながるか」を提案してほしいと考えているので、どのように経理側から提案すべきか考え方を教える。そのほか、経営陣が不満に思うだろう点を指摘して改善する方法を教える。

ここで大事にしていることは、私は社長の味方でも、彼らの味方でもどちらでもないというスタンスであること。会社の成長、社員の働きやすさや生産性の向上のために来ているという姿勢をきちんと伝えること。より良くなってほしいということを誤解なく伝えていくようにしている。

「楽しみですね」で終わる

何を話すかは決めていないことが多いのだけれど、最後は「楽しみですね」でその日の打ち合わせを終わりたいと思っている。先が見えない状況でも、一歩でも前に進めるものを見つける打ち合わせにしたい。だからそういう言葉で締めくくれるように意識している。


こうして整理すると、本当に雑談だ。
でも型を用意せずに会社のお局さんや番頭さんと対峙するのは、結構勇気のいることだ。「一体何がお前にできるんだ」という試されるところから、なんとか信用を勝ち取っていく。

だけど、自分が支援される側なら、型を持ってきてヒアリングしたり整理されたりするだけは嫌だろう。
そんなことを思いながら日々業務改善にいそしんでいる。
雑談でした。

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