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withコロナ時代に地方と東京のIT格差はさらに広がるのかもしれない

地方が好きだから言うんですけどね。

昨晩は金沢の橋さんにお声掛け頂いてこちらのイベントでお話しました。ゲストというより、今走りながら考えていることを聞いてもらえて楽しませてもらった。備忘録というか少し考えを整理しておきたい。

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withコロナに地方と東京とのIT格差はさらに広がるのかもしれない

タイトルの通り、冒頭から今抱えている問いをぶつけてみた。昨日東京は新規感染がまた50人を超えて、職場での集団感染に関しても話題となっている。

一方で私のいる大阪では、飲食店や休業要請を受けていた業種ではまだまだ営業上の課題を抱えているものの、オフィスワークに関してはほぼコロナ前の状況に戻ったといえるだろう。なんとなく密は避けているけれど、それほど危機意識はない。売上だけが全体的に下がっている。感染者が多かった大阪でさえそうなのだから、他の地方都市は推して知るべしだろう。

リモートワークもいいけれど、やっぱり集まって仕事する方がいい

そうして本来は地方と相性の良いはずのリモートワークが進まない。

たしかに集まって仕事をする良さが明確になった部分もある。単純に慣れとコミュニケーション設計の問題が大きいけれど、当然ながら生産性が落ちる部分もある。

だけど、まだまだ強制的な外部環境の変化を受けながらIT投資や働き方の変化を進める東京とそれ以外の地方では、さらにIT格差が広がるのではないか。それをとても懸念している。

東京も今後コロナがどこかの時点で収束した際に、リモートワークや柔軟な働き方のオプションを当然兼ね備えた会社が標準になる。その試行錯誤を今しながら経験値を蓄積している。

一方で、それ以外の地方はどうだろうか。「東京は大変だ、地方がやっぱりいい」と言っている間に、オフィスに集まる働き方一択の企業が大半のままなのかもしれない。リモートワークが素晴らしい訳ではなく、多様な働き方を試行錯誤するチャンスを失うことを懸念している。

「東京から地方へのオフィス移転の動きは加速するのだろうか」

そんな質問を豊田さんに投げかけて「当然ながらワーケーション的な働き方を進める企業は増えるだろう」という答えだった。なるほど、それは点でしかない訳だ。今でも先進的な企業が地方に拠点を持っている事例を目にするけれど、それは福利厚生や人材獲得の面からのメリットを享受するためであり、その周辺の企業は相変わらずで、地方自治体が考えるような地域の魅力向上につながる訳ではない。

もっと地域の経営環境を総務やバックオフィス人材の関係性を軸により良くしていくことができないか。いくら補助金でツール導入を推進しても地域のバックオフィス人材の意識が変わらない限り効果は出ない。そういった視点を持つ自治体はまだないだろうけれど、バックオフィス人材の育成に投資をすれば必ず面白い地域経済が生まれるし、世界レベルで急速に変化する働き方にもっと危機感を持って取り組まなければならないだろう。

デジタルが目的ではなくトランスフォーメーションが目的

コンサルタントの端くれとして補助金周りの話をよく聞くけれど、ITツールの導入をするだけでうまくいく企業などない。私はデジタルトランスフォーメーション(DX)の文脈の話はあまり知らないのだけれど、デジタルツールの導入が目的ではなくトランスフォーメーションが目的でなければならないという話があった。

本当にその通りで、僕自身クラウド会計の導入支援で呼ばれる機会も増えてきたけれど、担当者には初回は絶対にクラウド会計の話はしない。ツールの導入はきっかけにすぎない。「どの業務に一番ストレスがありますか?」「毎回やっていてしんどいなぁと思う作業あります?」ということを必ず聞く。そして、その担当者の一番負荷が高い作業に関してあらゆる方策を考えて解決する。そうした負荷の高い作業に対して、もちろんクラウドツールを使うこともあるけれど、むしろ経営者などを交えた組織内の調整で解決することが多い。

総務やバックオフィスで働く方は、手段の変更によって生じるトラブルを懸念する健全なリスク意識を持っているため、変えることに対して保守的であると思われることが多い。そうした懸念をきちんと理解しながら、業務の負荷を下げてあげることが大切。まず小さくても何か変化に対するアクションを起こすことで、自分の働き方が楽になることを実感してもらい、良い仲間になってもらう。それが何より大切だと考えているし、その後のデジタル化の促進はとてもスムーズになる。そこで起こそうとしている変化は、ツールの変化ではなく「考え方や行動」の変化だ。

優秀な人材獲得のため、地方の中小企業が補助金でリモートワーク環境の体裁だけを整えても、社内の組織風土が旧態依然としたままではいずれ去っていく。きちんとデジタルツールの導入と考え方の変革をセットで支援できる支援者がもっと増えてほしい。

経営者にバックオフィスの仕事の重要性を伝えるには、アライメントをとること

昨日の収穫だったのが「バックオフィスの仕事の価値が分からない経営者にどうすればその価値を伝えることができるか」という質問をした際に「総務がアライメントをとる努力をしているか」という話があった。

アライメントとは「車の車体とタイヤの位置関係を調整する」という意味で使われる言葉だけれど、経営者がビジョンに沿って事業を動かすときに、その懸念されるリスクの洗い出しや必要な準備に関して、指示を待たずして総務が行動できているかどうか。そうした行動は必ず売上に繋がる動きになるし、そのことをもっと総務が主体的にPRしていかなければならない。経営者が理解してくれないと嘆く前に、自らにそうした努力ができているかを問いかけなければならない。

「仕事が自分ごとになっているか」

一昨年のSILKの「働き方改革チャレンジプログラム」での一貫したテーマだった問いを思い出した。そうした視点を持つための仕掛けとして、異業種7社で一緒に働き方改革を進め、他社の経営者、他社の社員・バックオフィス人材との対話を通じて自分の仕事を省みてもらう。その延長線上にSOU-MU NIGHTがある。


大きな社会の変化は総務・バックオフィス人材の活躍の機会

総務が動けば仕組みが変わる。総務は変化を作る仕事。コロナ対策だという大義名分があれば、今までできなかったチャレンジもできる。それは総務にとって追い風でしかない。そうした言葉に勇気付けられる総務さんはたくさんいるだろう。もっと総務を起点として日本の企業が変わっていってほしいと感じている。

豊田さんも社外との関係性の話をしていたけれど、今僕自身も総務の仕事とは「社内と社外の関係性をデザインする仕事」だと考えている。

これまで以上に正解のない世界の中で、大切なことは速くチャレンジして失敗を重ねながらチャレンジを繰り返すこと。その経験値が会社を間違いなく強くする。そうした環境の中で致命傷を負わないためにはうまく社外との関係性を築くことだと考えている。自社だけで考えてチャレンジするのではなく、他社の総務さんと一緒に考える、専門家の意見を聞く、ベンダーから提案を受ける。そうした関係性を活かしながら、新たなチャレンジを繰り返す企業がこれからはきっと伸びる。だから僕達はそうした緩やかな関係性ができる場を作りたい。

経験豊富なみなさんと話をする中で、いろいろと考えが整理されていき感謝。

他社の総務さんとの繋がりに関心のある方、もしよければSOU-MUのオンラインコミュニティにご参加ください。





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