より暴力の少ない社会を実現するために-社会彫刻 ヨーゼフ・ボイス
皆さんはこれからの世の中をどんな風にしたいと考えていますか?
僕は少しでも暴力が減ればよいと思っています。
「でもそんな風に自分が頑張っても世界なんて変わらないんじゃないのか?」という疑問がありますよね。
そのような問いに対してドイツのアーティストのボイスはこのように言っています。
「社会彫刻」と言うコンセプトを提唱し、全ての人はアーティストとしての自覚と美意識を持って社会に関わるべきだ、と主張したのはアーティストのヨーゼフ・ボイスでした。ボイスによれば、私たちは世界と言う作品の制作に集合的に関わるアーティストの1人であり、であるからこそ、この世界をどのようにしたいかというビジョンを持って、毎日の生活を送るべきだと言うのです。
僕たちは世界を彫刻するアーティストなのだとボイスは突きつけてくるわけです。しかもアーティストという自覚と美意識を持てというわけですよ。
彫刻なんてしたことがない人でも(僕もそうです)、ビジョンのないままに彫刻を始めると惨憺たる結果になることは目に見えますよね?
そんな風に世界を作るなというのがボイスのメッセージです。詳しくは知りませんがボイスが生きたのが1921-1986年のドイツということで、ナチスの台頭や第二次世界大戦、ベルリンの壁の建設などが彼のこのような考え方に影響したのは間違いないはずです。重みがありますね。
じゃあ僕はどうしたいのか?
冒頭述べたように世界にある暴力を減らしたいです。
具体的には動物に対する暴力の量を減らしたいです。殺処分される犬や猫、過酷な飼育環境にいる家畜を少しでも幸せにしたいです。
そのためにもう何年もやっている取り組みのひとつがケージフリー(平飼い)の卵を買うことです。ケージフリーや平飼いとはぎゅうぎゅう詰めのケージに入れるのではなくて、砂場などのある自由度の高い環境で飼育することです。
もちろん、敷地あたりの飼育できる鶏の数が減るので、飼育効率は悪くなり卵の値段も高くなります。でもそれでも僕は鶏が幸せな方がいいんじゃないかと思うわけですよ。
ただケージフリーに問題がないわけじゃなくて、ひよこ鑑定士にオスと認定されたひよこはすぐに殺される運命にあります。
それを回避できたメスのひよこが、産卵鶏として狭いケージかケージフリーでの一生を送ることになります。ケージフリーの卵なんて日本では取り扱いの量がめちゃくちゃ少ないので、残念ながら、ほとんどが狭いケージに入れられています。
つまりケージフリーの卵かどうかに関わらずオスのひよこは助けられないということです。
平飼い卵という社会彫刻
じゃあ、不買の方が良いのでは?とも考えます。卵の消費量を減らして悲しい運命にある鶏の数を減らす方が合理的な気がします。
ただそれでも僕が近くのスーパーのバイヤーさんにケージフリーの卵を入れてくれとお願いするのは、スーパーにそのような商品が陳列されることで人目に触れることができるからです。
僕の持論なのですが、僕たちは知っていることしか想像することができません。
スーパーに陳列された割高の平飼い卵ってなんだろう?と一人にでも思ってもらえたら、その人が暴力の少ないような社会の彫刻に賛同してくれるかもしれません。今はそう思って、平飼い卵を買っています。
もちろん、日々の生活がギリギリという方に平飼い卵を買って欲しいとは思いません。ただ少し余裕があるのであれば、鶏に優しい社会の彫刻を一緒にやりませんか?と思っています。
ちなみにこれまで引越しなどのたびに近所のスーパーに「平飼い卵を導入してほしい」と言っていますが、全てのスーパーでご採用頂きました。
おわりに
僕の目指す社会の姿を通して、ボイスの社会彫刻のことを考えてみました。
皆さんも皆さん自身の目指す社会の姿があると思います。そしてそれを実現しようとするアーティストです。
皆さんの目指す社会の姿などがあればぜひコメント欄で教えてください!
ボイスの考え方は山口周さんの『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?』という本から学びました。
僕たちの世界において暴力がどのように推移しているのかということは『暴力の人類史』という本にとても詳しく載っています。ビルゲイツ推薦の本らしいです。驚きの価格ですが、人類必読の本だと思っています。
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