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グラストンベリー、森道市場、ハイライフ八ヶ岳。インターネットが失くしてしまった「良心あるプラットフォーム」はフェスティバルにある

フェスティバルは楽しいけど、なんだかなぁって思いもある。フェスティバルは非日常空間だけど、社会とは確実につながっているわけで、社会が変わればフェスティバルだって変わっていく。良かれ悪かれ。

「ぼくはこんなフェスティバルが好きなんだ」って話をまとめました。ハイライフ八ヶ岳に込めた思いも。

(改めて読み返してみると……だいぶ雑な文章だけど………現場ではこれが限界……)

コントロールできない「ショービズ」の世界

ショービズ。ショービジネスの略。 芸能や興行。華やかで、みんなを笑顔にする仕事だけど、ビジネスであるならば、そりゃ合理化と効率化を図らねばならぬ。なるべく大きくして収容人数を増やし、なるべく同じセットで日本中・世界中を回れるようにして、なるべくチケットを売って、動員をして。

世の中にはいろんな人がいる。同じ事象を見て、嫌になる人もいれば気にならない人もいる。

サマソニはマルチバースだから──。

そんな音楽ライターの一言に、まぁそうかもしれないなと思ったり。普段は「同じように見えるけどなんか違う世界」にそれぞれが住んでいるんだけど、サマソニはマルチバースのみんなが集合してしまった。各々のマルチバースのヒーローが一堂に会したのがサマソニだったから。

もしくは、世界は変わっているのに「その変化に合わせて積極的に変わっていきたい人」と「世界が変わっていることに気づかす、変わっていかない人」の間に大きな溝ができてしまっているように思う。

大きいことは楽しいけど、大きすぎてコントロール不能だ。

グラストンベリーは「プラットフォーム」

2019年に行ったグラストンベリーフェスティバル。いやぁ、本当に楽しかったわけ。何が楽しかったかって、フェスティバルがちゃんと「プラットフォーム」だったからだと思う。

フェスティバルはいろんな人が関わっている。ステージで音楽が鳴り、エリアごとにテーマに沿った夢のような仮説空間ができあがり、世界中から出店やクラフトが集まる。それぞれの方法で表現する場でもあり、商売の場でもあるから「マーケットプレイス」とも言っていい。すごい活気があった。

おそらく、それぞれの持ち場でクリエーションをどんんどん発揮している。大きなステージ以外に、無数のステージがある。例えばバーの横には、バーの人が運営していると思われるフロアがあり、バーの人がセレクトしたDJによってタイムテーブルが組まれている。世界トップレベルのアーティストがたくさん来るのに、きっとここのバーでグデグデに酔っ払い踊って1日が終わる人だっているんだろうと思う。なんだかとても豊かだ。

森、道、市場で開けた景色

フジロックもサマソニもすごいけど、やっぱりどうしても「管理」の目線が入る。あれだけ大きければしょうがない。でも、マーケットを第三者が「管理」すると、どうしたって活気を抑制する方向に力が働く。本当は、マーケットに出ている当事者が「自主管理」をしていくのが良いと思うけど、普段から同じ場所にいるわけではない即席のマーケットであるフェスティバルの場では、それも難しい。

グラストンベリーのプラットフォームさ、マーケットプレイスさに一番近いと感じる日本のフェスティバルは「森、道、市場」だ。森道は、フェスティバルという入れ物。文字通り、北海道から沖縄まで出店者が集まり、それらをキュレーションする各エリアリーダーの「なんかやってやる!」という気合が半端じゃない。

いろんな縁があって、森道の運営に携わることになり、森道ができあがっていく様子をすぐそばで見ていると、これがなんでできるのかが見えてくきた。

大事なのは「なにやりたいですか?」と投げかけること。プラットフォーマーは、そのクリエイティビティが発揮できるようにあらゆるサポートをすること。規制や管理でなく、手助けなんだ。

ハイライフ八ヶ岳「シーズン2」の作り方

これからのフェスティバルがどうあるべきかが、少しずつ見えてきた。それをどうにかハイライフ八ヶ岳に実装できないか。そう考えて、四苦八苦してきた。

企画の中心を甲府チームが担い、「発酵」という山梨が誇る文化を掲げ、一つひとつの「やりたい」を重ねていく。

ブッキングは、ブッキングチームがそもそも持っているつながりの中から「この人に出てほしい」というアーティストをセレクトした。とくに関係性が近いアーティストには「何やりたいですか?」と実際に問いかけた。その結果生まれたのが、ハナレグミ×U-zhaanの「タカシタブラカシ」だったり、starRoさんの発酵トークや発酵ツアーだったりする。

コアとなる出店者さんにも「何やりたいですか?」と聞いて、例えばリビセンにはチーム諏訪として、諏訪の素敵なお店を連れてきてもらったりもした。

インターネットが実現できなかったこと

一つひとつの「やりたい」の蓄積が、生み出すかもしれないミラクルを信じて。インターネットってそういうもんだったんじゃないか。

WEB1.0も、WEB2.0の初期もそうだったはずなのに、2.0の後期からおかしくなっていった。プラットフォーマーは搾取するだけじゃん。どうなっちゃってるわけ?

今、インターネットが目指している、分散や共同所有の形。グラストンベリーや森道市場にあった。んで、ハイライフ八ヶ岳にも見えてきた。きっとこっちの方向に、僕らの世界の希望がある。

そんなわけで、ハイライフ八ヶ岳2022の本番日に。事前に書きたいと思っていたこのコラムも、けっきょく本番日の朝に急いで書き上げている。

当日券、あります。今日を持ってきてくた人は、会場にゴー!!


将来的に「フェスティバルウェルビーイング」の本を書きたいと思っています。そのために、いろんなフェスに行ってみたい。いろんな音楽に触れてみたい。いろんな本を読みたい。そんな将来に向けての資金にさせていただきます。