「宮崎県は農業県」という意外な発見

宮崎県での講演前後、畜産農家を県の方がご案内下さった。和牛と豚の2件。書けないことも多いので控えるが、当たり前のことを書くようだけど、「宮崎県は農業県」ということがよくわかる旅だった。これは、私にとって新鮮な驚きでもあった。

クルマでの移動途中、本州では見かけない山の姿に気がついた。伐採して地面が見えてる場所、苗を植えてる場所、幼木が成長途上の箇所、大木の生えてる場所、それらがパッチワークのように。私は岡山、奈良、三重、岐阜、長野などの山々を知っているが、「生えすぎた杉」ばかり。

聞くところによると、宮崎県は杉の生産で日本一になったという。どうやら宮崎県は、苗から育てて大きくなったら切る、という森林管理が昔からきちんとできている県であるらしい。他方、本州は豊かな森林資源があるのに放置されてる状態。産業として成立できていないところが多い。

また、本州なら草ぼうぼうの耕作放棄地をよく見かける。宮崎県も耕作放棄地はあると言うのだが、どこもきれいに耕されていて、どれが耕作放棄地なのか区別がつかない。草刈り代わりに耕してるにしても、本州の放置ぶりと比べると、きちんと管理されてる感が強い。あぜ道もきれい。

本州の農村部なら当たり前の光景になった広大な太陽電池(メガソーラー)が、宮崎県ではなかなか見当たらない(私が通りかかったところにはなかった)。狭いところに少し太陽電池を並べているのは見かけたけど、田畑に太陽電池を並べましたというのはどうも見当たらなかった。

これら、本州では見かけない光景は、「宮崎県では農業が大切にされている」ということの証拠のように思う。GDPだと、三重県は農業が0.8%しかないのに対し、宮崎県は5%近くある。食品関連(加工・物流)を含めばかなりの存在感。農業が主要産業と言ってよいだろう。

興味深いのは、太陽電池のように、ひところは農業よりも儲かっただろうものに手を出していないこと。食の重要性を忘れていない県民性が、そうした行動を取らせたのかもしれない。本州では機能不全に陥っている林業が、長期的視点できちんと運営されてるのも、短期的利益を追わないからできるのだろう。

最近はどこに出かけても農業の衰退が目立つ中で、こんなにも農業を軸に据えた経済社会を維持できてる県が存在したことに、ちょっと驚いた。
非農業が鼻息荒い時代には立場が弱かったのかもしれないが、これは次の時代の大変な財産になるかもしれない。いろんな考える材料を頂けた。

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